テイクアウト専門の店舗を開業するメリット・デメリット、必要な資格を解説!
商品を持ち帰りや配送で提供する「テイクアウト専門店」は開業のハードルが店内飲食型に比べて低く、少人数世帯などの需要も高まっているため、今後期待できる飲食店業態です。
今回は、実際にテイクアウト専門店を開業するとどのようなメリット・デメリットがあるのか、必要な資格は何かを解説します。
目次
テイクアウト専門店を開業するメリット
テイクアウト専門店は、店内で飲食物を提供せず、持ち帰りやデリバリー対応をおこなう飲食店業態のこと。
店内の混み具合を気にする必要もなく、自宅や職場で気軽に美味しい料理が食べられるテイクアウト専門店の需要はさらに増えるでしょう。
では、テイクアウト専門店を開業するとどのようなメリットが発生するのでしょうか。開業を検討している方に向けて、テイクアウト専門店のメリットをピックアップしました。
固定費コストが節約できる
テイクアウト専門店は最低限、キッチンと販売スペースを確保していれば開業できます。店内の広さにこだわる必要がないため、通常の飲食用店舗を借りるよりも月々の費用を抑えられます。
また、対面販売やデリバリーであれば接客内容も少ないため、最低限の人員で店舗を営業できます。店舗経営における経費の大部分を占める賃料と人件費が削減できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
入店者数に制限が無い
飲食店には席数の上限を超えた人数を入れることはできません。コロナ化であれば、感染症対策のために席の間隔を空ける店舗や人数制限を設ける店舗も多いので、一回あたりの客数はさらに厳しく制限されてしまうでしょう。
一方、テイクアウト専門店は席数の制限がないため、客数の上限を設ける必要もありません。
もちろん入店できる人数に限りはありますが「商品を選んで購入する」という短いペースで顧客が回転するため、店内飲食型よりも多くの客数を望めるでしょう。満席で入店できない状態は「人気がある」と受け取られる一方で「いつも入れない店」と判断されてしまう可能性もあります。
テイクアウト専門店なら、利用者にそういったストレスを感じさせずに商品を提供できるでしょう。
立地の影響力が少ない
飲食店は視認性の高さやアクセスの良さが売上を左右するケースがありますが、テイクアウト専門店はその限りではありません。
電話やインターネットでの注文をメインにすると立地に左右されないため、安い物件選びも可能です。注文を受けた後は、来店客に渡すか配達するだけなので、多少不便な場所でも十分運営していけるでしょう。
Uber eatsのような配達サービスと提携するのも方法の一つです。
さらに、テイクアウト専門店には車での移動販売という手段もあります。仕込み場所など必要な設備や細かい規約はありますが、物件にかかる費用を抑えやすくフットワークの軽い移動販売は今後の社会情勢にマッチしたスタイルです。
テイクアウト専門店を開業するデメリット
テイクアウト専門店には店内飲食型とは違うデメリットも存在します。新事業を始める場合には、どんなリスクがあるのかをあらかじめ把握し、改善策を練っておくことが重要です。
いざというときに戸惑わないよう、テイクアウト専門店のデメリットをチェックしておきましょう。
商品の販促に力を入れる必要がある
店内飲食型の店舗では顧客を席に案内した時点で「メニューを注文する」という行動はほぼ確定されます。
しかし、テイクアウト専門店の場合は顧客がメニューに興味を示さなければ、注文をせずに退店されてしまうかもしれません。
テイクアウト専門店では商品の購入に繋げるためにはどんなメニューを提供しているのか、イチオシメニューは何かなどといった魅力やアピールポイントをわかりやすく伝える必要があります。
商品単価はあまり高くない
テイクアウト専門店のメニューは、店内飲食型に比べて単価の低い傾向があります。例えば多くの飲食店のランチ相場は900〜1,200円程度ですが、
弁当チェーンの場合は500〜800円程度に相場が下がります。
消費者はテイクアウトに対して「お買い得」という印象を持ちやすいので、店内飲食と同等の価格を設定するのは難しいでしょう。
また、同じメニューであっても地域によって適正価格が変わってきます。材料費・容器代などのほかに、商圏調査やエリアマーケティングを入念におこない
「設定した商圏では何がどの程度の価格で売れるのか」を精査してメニューの価格設定をしましょう。
テイクアウト専門店開業に必要な資格
テイクアウト専門店は資金面などから見ると比較的開業しやすい飲食店業態です。しかし、開業するために必要な許可証や資格は、一般的な店内飲食型の店舗と変わりません。
テイクアウト専門店の営業に必要な資格や許可を確認して、開業時に行政トラブルが発生しないように備えましょう。
飲食店営業許可証
「飲食店営業許可証」は飲食物を提供する店舗が必ず取得しなければならない許可で、テイクアウト専門店も例外ではありません。飲食店営業許可証は、飲食物を提供する知識や設備が整っている証明として保健所が発行します。
飲食店営業許可証を取得するための要件は
- 食品衛生責任者を配置している
- 保健所の許可がある
上記2点です。
店舗の改修工事が必要な場合もあるため、管轄の保健所に事前相談しておきましょう。
営業許可の申請には
- 営業許可申請書
- 営業設備の大要・配置図
- 食品衛生責任者設置届
- 申請手数料
が必要です。
貯水槽や井戸水を利用するなら水質検査成績書、法人として営業をおこなう場合は登記事項証明書も必須です。
申請後に営業地域を管轄する保健所の担当者が店舗の設備などを確認する立ち入り検査をおこない、問題なければ営業許可証が交付されます。
飲食店営業許可証を持たないまま飲食店を営業すると、食品衛生法・風営法違反として懲役または罰金が科せられるため注意しましょう。
食品衛生責任者
「食品衛生責任者」とは、食中毒や食品衛生法違反がないように施設の管理運営をおこなう立場の人を指します。
飲食店営業許可証を取得するために必要な食品衛生責任者の資格は、「食品衛生責任者養成講習会」を受講することで取得できます。講習会では公衆衛生学・衛生法規・食品衛生学の講習が合計6時間おこなわれます。飲食店を開業すると決めたらはじめに取得しておきましょう。
なお、栄養士や調理師などの資格を持っている場合は講習会の受講が免除されます。受講資格は自治体によって異なるため、開業する地域の講習会実施団体にお問い合わせください。
業種によって他に必要な許可・資格がある
テイクアウト専門店をはじめとした飲食店は、基本的に飲食店営業許可証と食品衛生責任者を取得していれば開業できます。
しかし、同じ飲食店でも業種が異なると、ご紹介した以外にも取得しなければならない許可が発生します。
例えば、ケーキやクレープなどのスイーツ類を作って販売する場合は「菓子製造業営業許可証」、
アルコール以外のドリンクを販売するには「喫茶店営業許可証」など、細かな分類がされているのです。
自店舗が何を販売するのかが決まったら、商品の提供に必要な許可や資格をよく確認して漏れがないようにしましょう。
まとめ:テイクアウト専門店で新しい時代を乗り切ろう
新型コロナウイルスの流行をきっかけに、飲食店業界では経営方法の変更が求められるようになりました。
顧客のライフスタイルも変化し、転機を迎えている企業も多いでしょう。
感染リスクの少ない環境で美味しい料理を食べられるテイクアウト専門店は、新しい時代を支える店舗業態となる可能性を秘めています。
これまでの経験を活かしつつ、社会で求められる業態を上手に取り入れて新しい時代の波を乗り切りましょう。