【調査・戦略策定用】出店戦略にマーケティングを活用する方法を解説します
小売業の出店地の選定を行う際、エリアマーケティングの概念は欠かせませんよね。特に新規出店を任されている企画担当者の間では、マーケティング目線での出店戦略に頭を悩ませている方が多くなっています。
競合他社がひしめく現代では、好立地での出店や出店後の集客などは、どの業界でも競争が激しくなり、自社に最適なマーケティング手法を選択しなければなりません。実際のところマーケティング戦略は、これまでさまざまな識者によって提唱されており、その手法や参考にすべきデータなどは数多く存在します。
そこで今回は、マーケティング戦略を構築する流れについて解説しながら、新店舗を出店する際に役立つ3つのフレームワークを紹介していきます。この記事を読むことで、効果的なマーケティング手法について詳しくなり、店舗出店が捗りますのでぜひ最後までご覧ください。
目次
出店のためのマーケティングの前提
新しく店舗を出店する際は、まずマーケティングの前提を把握しておく必要があります。
そもそもマーケティングとは、商品が効率的に売れるように販売戦略を練ること。
つまり、市場調査から宣伝・販売までの全過程に関わる企業活動を指します。特にマーケティング戦略を練る際は、会社の経営戦略に沿った出店であることが前提です。
事業ビジョンに沿ったマーケティング戦略を用いることで、価格に見合った出店候補地の選定が可能となり、出店地域で自社の商品を効率的に販売できます。また最適な出店計画を練るには、出店候補地の特性から潜在ニーズを探る必要があり、営業時間の人口ボリュームや年齢層、世帯数などを割り出さなければなりません。
「調査分析」「戦略・戦術概要」の2つの工程
ここからは、より具体的なマーケティング戦略の練り方について、「調査分析」と「戦略・戦術作成」
の2つの工程に分けて解説していきます。
調査分析
効果的な出店計画を練るには、まず市場の調査・分析が必要です。
出店計画を練る際の市場調査・分析では、出店予定地の人口や世帯数、年齢層から商圏の特性を割り出し、所得や購買力などの顧客の情報を把握します。
また商圏分析のポイントは、住人のライフスタイルを調査し見込み客を予測すること。見込み客の分布が分かれば、DMやチラシの配布地域が明確となり、戦略策定がスムーズに進みます。さらに、商圏内の交通状況や競合他社の存在といった周りの環境も、出店計画を練る際は調査しなければなりません。
戦略・戦術作成
市場調査を終えたら、本格的に出店の戦略・戦術を練っていきます。
新規出店において効果的な戦略を練るには、店舗運営が上手くいくように、出店予定地の商圏における目標設定が必須となります。その際はSMARTと呼ばれる手法を用いるのが便利です。
SMARTは「Specific(具体性)」「Measurable(測定可能)」「Achievable(達成可能)」「Related(関連性)」「Time-bound(時間制約)」の頭文字をとって名付けられた手法で、主に目標設定の場面で使われます。
例えばSMARTを用いて目標設定すると、「2021年3月までに月間売上2億円を達成する。そのために、2020年12月末までに従業員を80名確保する」といった形で、具体的な行動指針まで明確になります。
会社全体の目標を社員個人の目標に落とし込むことで、仕事の優先順位が明確となり生産性が上がるので、SMARTは多くの企業で取り入れられている手法です。
出店予定地の調査分析、戦略立案の段階で役立つマーケティングフレームワーク
効果的なマーケティング戦略を策定する手法として、前述のSMARTの他に、以下で紹介する3つのフレームワークが挙げられます。
3C / 4P
マーケティング戦略のフレームワークとして、まず3C分析・4P分析を紹介します。
3P分析とは、「Customer(顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」の3Cを分析し、経営戦略の方向性を定める手法のことです。
また4P分析では、「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(立地)」「Promotion(販促)」の4Pをもとに戦略を立案します。
両者ともマーケティング戦略の精度を上げる手法として用いられますが、出店計画を練る際は、まず3C分析で自社の取り巻く環境を分析しなければなりません。3C分析をおこなったうえで、4P分析を実施し、競合と自社を比較することで、効果的なマーケティング戦略が可能となります。
PEST分析(マクロ環境分析)
PEST分析とは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの要因から戦略を練る手法のことです。
主に法律や税制といった政治的な動きを調査したり、物価や為替の変化を分析したりして、市場のニーズを見出します。
またPEST分析を用いて効果的な戦略を練るには、消費者のライフスタイルや流行の変化、さらに最新の技術に関する情報を追いながら、自社に与える影響を分析しなければなりません。
例えば消費税の増税から駆け込み需要の発生を予測や、AI技術の発達を見越して無人レジを導入するかどうかなどがPEST分析で判断しやすくなるでしょう。
5Force分析
5Force分析とは、
- 売り手の交渉力
- 買い手の交渉力
- 競争企業間の敵対関係
- 新規参入業者の脅威
- 代替品の脅威
の5つの要因をもとに戦略を構築する手法のことです。
この5つの要因によって業界全体の収益性が左右され、影響力が強いほど業界の収益が低く、新規参入するには魅力がない業界として捉えられます。
例えば、強力な購買力を持ったユーザーが多く存在する業界では、消費者がギリギリの値引きを要求するため、業界全体の収益性が低くなりがちです。また、供給過剰な状態が続く業界では、希少性の低い商品が多く存在し、価格を上げるのが困難な状況が続いています。
新しく店舗を出店し収益を伸ばすには、戦略策定時に5Force分析を用いて、収益性の低い業界を避ける必要があります。
まとめ:出店戦略で役立つマーケティング手法について
売上が上がりやすい繁盛店を生み出すためには、広告を数多く出稿したり、サービスや商品の質を高めたりするだけではなく、その立地やターゲットとなるお客様の属性に合わせたお店作りも重要な要素の一つ。
出店戦略は、今回ご紹介したフレームワークを活用することで、市場調査や分析が効率的に進むようになります。
しかし、効果的な店舗出店をおこなうには、まずマーケティングの目的をしっかりと理解し、戦略構築の流れを把握することが重要です。そのため、ご紹介したフレームワークを活用して、効率的に調査・分析を進めていきましょう。