リアル店舗の魅力とは?消費者と店舗側それぞれの視点を解説!
近年、リアル店舗の規模を縮小してECサイトに注力する企業が増加しています。しかし、小売業の店舗運営に関わる中で、リアル店舗の重要性を感じている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、消費者と店舗側のそれぞれから見たリアル店舗の魅力を解説します。リアル店舗とECサイトの強みを生かしたビジネスモデルも紹介しますので、ぜひ店舗経営や出店の参考にしてください。
消費者から見たリアル店舗の魅力
消費者側から見たリアル店舗の魅力として、次の要素が挙げられます。
- 商品を体験してから購入できる
- 専門家の意見を聞いて判断できる
- 欲しい商品をすぐ手に入れられる
3つの項目について、それぞれ詳しく解説します。
消費者目線のリアル店舗の魅力1:商品を体験してから購入できる
消費者側から見たリアル店舗の魅力は、実物を見て触る、試着・試飲をするという形で商品を体験してから購入できることです。消費者にとって、触覚や嗅覚といった五感を使って商品の全体像をつかめることは、リアル店舗ならではの良さであるといえます。
ECサイトで商品を購入する際は画像や紹介文、レビューなどから判断しなければならないため、「想像していたものと違った」とギャップを感じるケースも少なくありません。しかし、実際に体験できるリアル店舗では、消費者は商品にギャップを感じにくいでしょう。
中には商品紹介で動画を活用したり、実際の使用イメージを掲載したりといった工夫を凝らしたECサイトもあります。しかし、実際に商品を見てから購入を決めたいと思う消費者は多いようです。
自分の体験によって商品の必要性を判断できる点も、消費者側から見たリアル店舗の魅力といえます。
消費者目線のリアル店舗の魅力2:専門家の意見を聞いて判断できる
消費者側から見たリアル店舗の魅力は、店舗で扱う商品の知識を持った専門家ともいえる店員から意見を聞いたうえで、購入判断ができることです。
リアル店舗にはいつでも商品情報に詳しい店員がいるため、商品を購入すべきか迷っている消費者は直接その場で説明を受けられます。店員の説明を聞いて商品の詳細を知ることで、消費者は購入を判断しやすくなるでしょう。
専門的な商品の場合、リアル店舗であれば購入前に使い方や類似品との違いといった、気になる点を店員に質問できます。一般的な商品の場合でも、トレンドや利便性、おすすめのポイントなどさまざまな説明を店員に聞けるため、本当に買うべきものかを判断しやすいです。
自分では決めかねているので商品の購入を後押ししてほしい、店員に説明を受けることで安心できる、と考える消費者もいるでしょう。買い物時に話す機会を重ねるうちに店員との信頼関係も生まれるため、消費者にとってリアル店舗には魅力があるといえます。
消費者目線のリアル店舗の魅力3:欲しい商品をすぐに手に入れられる
消費者の立場から見たリアル店舗の魅力は、そのときに必要だと思った商品をすぐに購入できることです。
ECサイトでも商品の注文はすぐにおこなえますが、受け取り日時の設定を必要とする場合もあり、商品の到着には日数を要することはデメリットといえます。
しかし、リアル店舗の場合は商品到着日などのスケジュール調整を必要としないため、ECサイトよりも購入のハードルは低いです。
翌日配達に対応しているECサイトも存在しますが、「必要な商品をすぐに購入したい」というお客様のニーズを満たすには、リアル店舗の存在が必要不可欠といえます。
店舗側から見たリアル店舗の魅力
ここでは店舗、つまり経営側から見たリアル店舗の魅力を取りあげます。
- 極端な価格競争が起こりにくい
- ブランドコンセプトをアピールしやすい
- 顧客ロイヤリティを高めやすい
なぜこの3つが店舗側から見たリアル店舗の魅力なのか、理由をそれぞれ解説します。
店舗目線のリアル店舗の魅力1:極端な価格競争が起こりにくい
店舗側から見たリアル店舗の魅力は、極端な価格競争が起こりにくいことです。
ECサイトを利用する消費者は、掲載されている商品のジャンルや価格帯などの検索条件を設定して絞り込み、類似品と簡単に比較できます。
「できるだけ安い商品を購入したい」と考えるユーザが多い場合、販売価格を落として自社商品をアピールする必要も出てくるでしょう。そのため、ECサイト同士で極端な価格競争に発展する可能性があります。
しかし、リアル店舗であれば競合店の調査や価格調整は必要なものの、価格競争の激化に至ることは少なく、過度な値下げは発生しにくいといえるでしょう。
店舗目線のリアル店舗の魅力2:ブランドコンセプトをアピールしやすい
店舗の内装や装飾、陳列場所などを工夫してブランドコンセプトをターゲットへアピールしやすく、ブランドの広告塔として機能することも、店舗側から見たリアル店舗の魅力です。店舗によって扱う商品カテゴリを変えられるのはもちろん、内装デザインの変更やイベントの開催を通して、いつでも異なる体験を提供できます。
ECサイトのメリットは「常に同じサービスを消費者へ与えられること」ですが、リアル店舗のように店内の雰囲気を伝えることはできません。
リアル店舗でブランドコンセプトを上手にアピールし、提供している商品だけでなく店舗に対するファンをも増やすことで、固定客の増加を促せるでしょう。
店舗目線のリアル店舗の魅力3:顧客ロイヤリティを高めやすい
店舗側から見たリアル店舗の魅力は、顧客との直接的なコミュニケーションによって、顧客ロイヤリティを高めやすいこと。顧客ロイヤリティ(ロイヤルティ)とは、「企業や店舗に対する顧客の愛着や信頼の大きさ」です。
来店した顧客の様子を直接見ながら販売して好感や快適さを与え、商品への満足感を持ってもらうことでロイヤリティを高められます。顧客ロイヤリティの向上は、顧客の定着化やファン化に必要不可欠な要素です。
パーソナライズ化された接客ができる点も実店舗の魅力であり、顧客の状況に応じた適切なアドバイスによって再来店を促せるでしょう。スタッフによる良質な対面接客は、長くブランドを利用する固定客の増加を促進し、売上向上が期待できます。
店舗専用アプリでさらなるロイヤリティの向上が期待される
さらにリアル店舗の顧客ロイヤリティを高める施策として、店舗の専用アプリを取り入れる方法もあります。
登録した顧客へ新着情報のシェアやクーポンを配布するなど、会員限定の機能を充実させることで顧客との接点を増やせるため、ファン化に効果的です。
リアル店舗の魅力をより強めるためのオムニチャネル化とは?
リアル店舗には他にはない魅力があるものの、現代のマーケティングにおいてECサイト(別名「オンラインショップ」「ネットショップ」)の勢いが強いことも事実です。
リアル店舗の魅力を生かしつつ、今後も生き残っていくためには、あらゆる販売経路を統合して顧客にアプローチする「オムニチャネル化」が求められます。この「販売経路」とはリアル店舗やカタログでの通信販売、ECサイト、SNSなどです。
オムニチャネル化によってリアル店舗の魅力を生かして、より顧客に愛されるブランドを目指せるでしょう。スマートフォンやSNSなど、デジタル技術の普及によって多様化したニーズに応えるためには、顧客自身の都合に合わせてリアル店舗とECサイトを使い分けられる環境作りが欠かせません。
オムニチャネル運用のポイントは顧客データの活用
オムニチャネルを取り入れ、「ネットで事前に注文した商品を、店舗で受け取れるサービス」を実施している事例があります。リアル店舗やECサイトのほか、メルマガ・SNS・テレアポなどのシステムやAIツールと連携して顧客データを一元管理・分析し、自社との接点を増やしていくことで、1人ひとりの顧客に合わせた対応が実現可能です。
また、POSシステムを導入すると顧客の具体的な購買行動を計測できるため、ソリューションを発見しやすくなるでしょう。
販促経路を拡大する際は、チャネル構築のコストを考慮した上で、費用対効果の高い施策を打ち出していくことが欠かせません。時代の変化に注目し、戦略的な対策を考えましょう。
まとめ:オムニチャネルの活用でリアル店舗の魅力を生かそう
- 消費者から見たリアル店舗の魅力は、五感で体験できること
- 店舗側から見たリアル店舗の魅力は、顧客ロイヤリティを高めやすいこと
- リアル店舗の魅力を高めるポイントは「オムニチャネル化」
どれほどECサイトが普及しても、リアル店舗が完全になくなることはないでしょう。
消費者から見るとリアル店舗には、直接商品に触れ、店員の話を聞いてすぐ購入できる魅力があります。一方店舗側から見るリアル店舗の魅力は、ブランドコンセプトをアピールしやすいことなどです。
複数のメディアを統合したオムニチャネルを活用して集客をおこない、ECサイトの良さも生かしつつ、より魅力的なリアル店舗を作りましょう!