スーパーの売上を上げるには?売上減少の4つの要因と役立つ分析手法
スーパーマーケットの経営において「売上が下がっているが、原因を把握しきれない」「スーパーの売上改善をしたいが、どこから取り組めばいいのか」などの悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。
スーパーの売上を上げるには、売上を下げている要因を特定したうえで、適切な分析手法を用いて効果的な対策を講じることが欠かせません。
今回は、スーパーの売上が下がる4つの要因、売上を分解して考える方法、売上減少の要因発見に役立つ分析手法を解説します。
記事の最後では分析の具体例も紹介しますので、スーパーにおける売上減少の原因を明確にしたい方や売上アップのための効果的な販促施策の考え方を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
スーパーの売上を下げる4つの要因
スーパーの売上を下げると考えられる要因は、次の4つです。
- 市場環境の変化
- 顧客ニーズの変化
- 商品・サービスの質低下
- 競合他社への顧客の流出
この章では、これらがなぜ売上の減少につながるのか、また、どのように対策すればよいか、それぞれ簡単に解説します。
スーパーで売上を下げる要因その1:市場環境の変化
市場環境の変化は、スーパーの売上に直接的な影響を与える重要な要因です。
経済状況の悪化や顧客の節約志向が強くなると購買力が低下するため、高価格帯の商品が売れにくくなります。また、業界トレンドの変動により、一時的に特定の商品やカテゴリに需要が集中することもあります。
こうした外部要因には柔軟な対策を取り、売上回復を目指すことが欠かせません。
スーパーで売上を下げる要因その2:顧客ニーズの変化
過去に人気商品として売れていた商品でも、顧客ニーズの変化とともに売れなくなることがあります。
昨今はSNSや口コミの影響により、流行する商品や注目されるカテゴリが急速に変わる傾向にあります。そのため、ニーズを的確に把握できなければ、売上ダウンを招きかねません。健康志向や環境意識の高まりといった価値観の変化も、売上に影響します。
売上減少を防ぐには顧客の動向をこまめにチェックし、ニーズを満たす商品やサービスを提供する姿勢が求められます。
スーパーで売上を下げる要因その3:商品・サービスの質低下
商品やサービスの質が下がることは、リピート率や顧客満足度の減少に直結し、スーパーの売上を下げる要因となります。
例えば、
- 商品の品質が安定しない
- 売り場がわかりにくい
- スタッフが不親切である
- 店内の清掃が行き届いていない
という場合、顧客の信頼を失いやすいでしょう。
特にリピーターの購入金額が売上の大半を占める店舗では、商品やサービスの質が下がることで大幅な売上ダウンにつながる可能性があるため、顧客満足度を高める施策を実行する必要があります。
スーパーで売上を下げる要因その4:競合他社への顧客の流出
競合他社がマーケティング戦略を変更した場合、自社の顧客が流出し、売上が下がる可能性があります。競合への対策として挙げられる戦略は、新商品の投入や価格戦略の見直し、ブランディング戦略の見直しなどです。
競合の施策が魅力的であるほど顧客離れは加速しやすいため、競合の動向を追いつつ、プライベートブランド商品を充実させる、特別感のあるサービスを提供するといった、顧客を引き留める対策が求められます。
スーパーの売上を上げるには、売上を分解して考えることがポイント
スーパーの売上を上げるには、障壁となっている問題を特定して効果的な改善策を打つことが重要です。そのためには、売上を分解して考えましょう。
売上は、下の計算式でわかるとおり、「客数」と「客単価」で構成されています。
さらに客数と客単価をそれぞれ分解すると、売上の構成要素が見えてきます。
今回は、さまざまな分解方法の中から、以下の計算式を紹介します。
- 客数 = 来客数(来店した客数)×買上率(来客数のうち商品を購入した割合)
- 客単価 = 買上平均単価(顧客1人あたりの平均購入金額)× 買上平均点数(顧客1人あたりの平均購入点数)
売上を分解して不足している要素を発見したら、それを補うための施策を検討することで売上アップを目指せるでしょう。
売上減少の要因を見つけるのに役立つ4つの分析手法
売上減少の要因を見つけるのに有効な分析手法として、以下の4種類が挙げられます。
- ABC分析
- RFM分析
- デシル分析
- 行動トレンド分析
分析手法の概要などをそれぞれ簡単に解説しますので、分析をおこなう際の参考にしてください。
売上減少の要因を見つけるのに役立つ分析手法その1:ABC分析
ABC分析は「全体の8割に影響を与えるのは上位2割である」というパレートの法則に基づいておこなう分析手法で、以下のようなランクによって重要度を分類します。
- ランクA:全体の80%までを占める主力商品
- ランクB:全体の80〜90%を占める中間商品
- ランクC:その他の低貢献商品
ランク分けにより売上貢献度の高い商品グループを特定できるため、施策の優先度が明らかになります。
《活用例》
- 売上貢献度が高い商品グループの販促を強化し、積極的にアピールする
- 売上貢献度が低い商品を分析し、改善や改良をおこなう など
売上減少の要因を見つけるのに役立つ分析手法その2:RFM分析
RFM分析は、顧客を「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入回数)」「Monetary(累計購入金額)」の指標で評価し、顧客ごとの価値を可視化する分析手法です。
この分析を活用すると、売上減少の要因を特定できるため、顧客ごとに最適なアプローチをおこなえます。
《活用例》
- 購入回数(F))スコアは高いが、最終購入日(R)スコアが低い顧客に再来店を促すクーポンDMを送付する
- 購入回数(F)スコアが低く、最終購入日(R)が高い顧客にリピーター化を促すポイント制度を案内する など
売上減少の要因を見つけるのに役立つ分析手法その3:デシル分析
デシル分析は、顧客を購入金額の高い順から10段階に等分する手法です。この分析により、売上の大部分を占める優良顧客と購入金額の少ない客層の構成比を、明確に把握できます。
《活用例》
- ランク上位の顧客に対してプレミアムキャンペーンを案内し、特別感をアピールする
- ランク下位の顧客に対して、割引券やセールの案内で購買意欲を促進させる など
売上減少の要因を見つけるのに役立つ分析手法その4:行動トレンド分析
行動トレンド分析は、自社の顧客データと売上データから「どの客層が、どの時期に、どの商品を購入しているか」を分析し、顧客の購買パターンを把握する手法です。
《活用例》
- 売上が落ちたシーズン商品の、前年の購入履歴から客層を分析し「なぜ売れなくなったか」の仮説を立て、販促に反映させる など
このように、行動トレンド分析をおこなって売上減少の具体的な要因を特定すると、状況に合った対策を打つことが可能です。
スーパーの売上を上げるのに役立つ分析の具体例
「顧客・地域・商品」の3つの視点で売上を分析すると、売上減少の要因を特定しやすいでしょう。
分析対象と分析方法・分析結果の例を、3つの視点に立ってまとめたのが下の表です。
分析対象 | 分析手法 | 分析結果の例 |
顧客 | RFM分析 |
|
地域住民の動き | 行動トレンド分析 |
|
商品 | ABC分析 |
|
これに対し、売上を上げるのに有効な施策として、次のようなアプローチが考えられるでしょう。
《分析結果をもとにした売上アップにつながる施策例》
- 休眠顧客の再来店を促すために、割引券の送付や高ポイント還元イベントを実施する
- 繁忙期でも平日午後の来店数が少ない地域の店舗では、この時間帯にセールをおこない、集客を促進する
- 売れ行きが悪い高価格帯の商品は、売れ筋の関連商品とともに陳列するなど、在庫を減らす工夫をする
- 売れ残りが減らない場合、今後の仕入れ量を減らした上で大幅な値引きに踏み切る など
まとめ:スーパーの売上を上げるには、売上減少の要因を掴んで対策しよう!
- スーパーで売上を下げる要因は4つ
- スーパーの売上を上げるには、売上を分解して考えるのがポイント
- 売上減少の要因を見つける際は、状況に合った分析手法を用いる
スーパーの売上減少に影響する要因としては、市場環境や顧客ニーズの変化、商品・サービスの質低下、競合他社への顧客の流出などが挙げられます。
減少要因を探るには、売上を分解して何が自店舗に足りないのかを考えてみましょう。売上アップの障壁となる要素を見つけるには、売上を構成する「客数」と「客単価」をさらに分解します。
スーパーの売上アップに取り組む方はまず、売上を下げている原因について仮説を立て、その問題を解決するために必要なデータを整理することから始めましょう。売上減少の要因を特定するのに役立つ分析手法も紹介しましたので、合わせて活用してください。