スーパーで集客するターゲット層はどう選ぶ?役立つ分析手法を解説

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近年、EC市場の進化や顧客ニーズの変化に対応するため、マーケティング戦略に力を入れているスーパーは少なくありません。そのような中で、営業先の店舗が勝ち残るための戦略を提案するには、スーパー業界に関する知見を深める必要があります。

しかし、スーパーのマーケティングを提案する営業職の中には「ターゲット層を具体的にイメージした、店舗に合う施策を提案するのは難しい」と悩んでいる方も、いるのではないでしょうか。

今回は、スーパーにおけるターゲット層の分類や、売上を伸ばすためのポイント、ターゲット設定に役立つ4つの分析手法を解説します。
スーパーのターゲット層に対する理解を深め、相手先の課題解決につながる施策を提案したい営業職の方は、ぜひ参考にしてください。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

スーパーのターゲット層は大きく3つに分けられる


スーパーのターゲット層は、大きく分けて次の3つです。

  • シニア層
  • 単身者や共働きの世帯
  • ヤングファミリー層

各層の特徴と施策例を解説しますので、地域特性や店舗の営業状況に応じたターゲット層を絞り込み、的確なマーケティング戦略の提案に役立ててください。

スーパーのターゲット層1:シニア層

スーパーのターゲット層のうち、シニア層は主に平日の午前中に来店することが多いようです。
開店直後から徐々に来店の増えるシニア層は、昼食や夕食の材料をまとめて購入する傾向があります。自宅で炊事するための鮮魚や野菜、果物に加え、サラダ・惣菜といった一品ものも選ぶようです。

そのため、シニア層向けの施策として、

  • 健康意識が高い顧客向けのオーガニック食品
  • 夕食のおかずに加えやすい少量パックの惣菜
  • 地産地消を取り入れた産直品

などの販売を提案するとよいでしょう。

スーパーのターゲット層2:単身者や共働きの世帯

単身世帯や共働き世帯は、平日の勤務終了後、17時過ぎから営業終了までの間に来店することが多いようです。どちらの世帯も忙しい生活を送っているため、温めるだけですぐ食べられる惣菜や、簡単に料理できるミールキットを購入する傾向があります。

特に、夜間には単身世帯の来店が増えるため、営業先の店舗には、惣菜や軽食の在庫を切らさないようにアドバイスするとよいでしょう。

また、同じカテゴリの商品をまとめて陳列する、視認性の高い案内板を設置するなど、顧客が短時間で買い物を完了できるように、売り場レイアウトを工夫することも提案してみましょう。

スーパーのターゲット層3:ヤングファミリー層

ヤングファミリー層とは、高校生以下の子どもがいる子育て世帯を指す言葉です。両親の年代は子どもの年齢によって20~40代、もしくは50代まで含まれます。平日の夕方、子どもの送迎ついでに来店する傾向があります。

手軽さを重視するこの層には、カット野菜や刺身・切り身といった、料理しやすい食材が人気のようです。

ヤングファミリー層をターゲットとしているスーパーに提案する場合は、すぐに使えるミールキットを豊富にそろえる、試食コーナーを設置するなどの施策が効果的でしょう。これにより、忙しい家庭のニーズに応える売り場作りの実現を後押しできます。

スーパーで売上を伸ばすには「ターゲット層」の絞り込みがポイント


スーパーの売上を伸ばすためには、ターゲット層の明確な絞り込みが欠かせません。なぜなら、ターゲット層を絞ることで、効率的なマーケティングと他店との差別化が可能になるためです。

ターゲット層を絞り込む際は、営業先の店舗が収集している顧客データを活用します。データ分析をおこなう前には、分析精度を向上させるためにも、次のことを忘れずに確認しておきましょう。

  • どのようなデータを収集しているか
  • どのような取り組みで顧客情報や購買情報を集めているか
  • ID-POSを導入しているか
  • 会員情報は適切に収集されているか

店舗へのヒアリングが済んだら、既存顧客の購買傾向を分析した上でターゲット層を絞り込み、提案する施策を整理しましょう。同じニーズを持つ顧客をグループ化することで、その層に特化した、効果的な販売戦略を立てられます。

スーパーにおけるターゲット層の設定に役立つ4つの分析方法


スーパーのターゲット設定に役立つ分析手法として、ここでは「顧客データ分析」と「商圏分析」の括りに分け、計4種類の方法を解説します。

データを元にターゲット層を見極めることで、以下のような効果が期待できます。

  • 商品ラインナップの最適化
  • 地域特性に応じたアプローチ
  • パーソナライズされた販促施策の実行(特定の優良顧客へのクーポン配布など)
  • 来店可能性の高いターゲットに絞った販促による広告費の最適化 など

スーパーのターゲット設定に役立つ分析:顧客データ分析

ID-POSデータや会員情報といった顧客データをさまざまな切り口から分析することで、顧客の傾向をつかみ、狙うべきターゲット層を発見しやすくなります。
POSデータとID-POSデータの違いは、顧客情報と購買データが結びついているかどうかです。

  • POSデータ:いつ、どこで、どの商品が、何個売れたかという“商品”を軸とした購買データ
  • ID-POSデータ:POSデータの項目に加え、誰が購入したかを取得可能な“人”を軸とした購買データ

ここでは、ID-POSデータをはじめとした顧客データ分析の有効な手法として「属性分析」「量層分析」「トライアル・リピート分析」の3つのやり方を解説します。

顧客データ分析の手法1:属性分析

「属性分析」とは、顧客の年齢・性別・家族構成などの基本情報をもとに、購買傾向を把握する分析手法です。この分析結果をID-POSデータと組み合わせることで、具体的なターゲット層が明確になります。

例えば、特定の商品が購入される頻度を年齢や性別で比較することで

  • この食品は20代女性が特に購入している
  • このお菓子はファミリー層が多く選んでいる

といった消費行動の特徴をつかめます。
属性分析の結果から「誰に向けて」「どの商品を」「どのように訴求するべきか」を具体化すれば、売り場の改善やプロモーション施策に反映できるでしょう。

顧客データ分析の手法2:量層分析

「量層分析」とは、顧客の購買金額や購入頻度をもとに層別化し、それぞれの層の特徴や利用状況を分析する手法です。ID-POSデータと組み合わせることで「高頻度で少額購入する層」や「低頻度だが高額購入する層」といった、顧客ごとの購買行動を詳細に把握できます。

量層分析は、顧客をニーズ別に分解して捉え、各層に最適な施策を展開するうえで役立ちます。

例えば、購買頻度が高い層に対して会員特典やポイント還元キャンペーンを強化することで、さらなる来店促進が見込めるでしょう。また、購入金額の多い層には、高品質な商品や限定商品の訴求による売上アップが期待できます。

量層分析によってパーソナライズされた施策の提案が可能となり、店舗全体の顧客満足度の向上と売上増加につなげられるでしょう。

顧客データ分析の手法3:トライアル・リピート分析

「トライアル・リピート分析」とは、新規顧客が商品を購入(トライアル)した割合を表す「トライアル率」と、その後再購入(リピート)するかを表す「リピート率」を評価する分析手法です。ID-POSデータ分析の一つとしても用いられ、特定の顧客が同じ商品を再購入するリピート率の計算に活用できます。

例えば、リピート率が高い商品について、購入者の年齢や家族構成などの属性データを紐づけて分析すれば、頻繁に購入するターゲット層を特定可能です。
どの商品がどの層に継続的な支持を得ているかを特定し、ターゲット層に応じた施策を提案することは、営業先の売上拡大やリピート率の向上に役立つでしょう。

スーパーのターゲット層設定に役立つ分析:商圏分析

商圏分析は、店舗周辺のエリアにおける顧客の属性や購買行動、競合他社の影響を把握し、効果的なターゲット層を見つけ出すための分析手法です。

商圏分析の結果を基に、購買可能性の高い特定のターゲット層に向けた商品展開や販促キャンペーンなどの施策を提案すると、営業先スーパーの競争力強化に寄与できるでしょう。商圏分析は、新規出店にともなうターゲット設定と、既存店のターゲットを再考する際に有効です。次の項で詳しく解説します。

商圏分析の活用例1:新規出店にともなうターゲット設定

商圏分析は、新規出店時のターゲット設定に活用可能です。

営業先の出店予定地を中心とした商圏を「徒歩圏500m〜1km」「自転車圏1〜3km」「車圏5〜10km」の3段階で設定し、以下の項目を調査していきます。

  • 商圏の人口構成(年齢層、世帯数、平均所得、家族構成など)
  • 競合店舗(商圏に存在する競合店舗の数、立地条件、業態から見えるターゲット層の予測)

商圏ごとの分析結果は、ターゲットの選定以外にも次のような施策に生かせます。

  • ターゲット層やターゲット層のライフスタイルに特化したラインナップ
  • 競合のターゲット層に不足している要素を補う差別化戦略

営業先の店舗がこれから狙うべきターゲット層を発見できることに加え、競合店対策に役立つデータも得られるため、根拠に基づいた施策を提案できるのが、商圏分析をおこなうメリットです。

商圏分析の活用例2:既存店におけるターゲット再考

営業先が、既存店の売上減少やリピート率の低下に悩んでいるのであれば、商圏分析を元に、狙うべきターゲットを見直すよう提案するとよいでしょう。

ターゲットの再考を目的とした商圏分析をおこなう際は、まず商圏を再定義します。当該店舗の現在地を中心に、商圏がどこまで広がっているかを再評価しましょう。商圏の現状を把握できたら、さまざまな角度から商圏の変化を捉えます。

  • 顧客層の変化(商圏の人口動態を調査)
  • 競合店舗の変化(新規出店や業態変更、撤退などの変化があった競合店舗を調査)
  • 住民の生活環境の変化(商圏の施設建設やインフラ変更の有無を調査)

商圏分析の結果をもとにターゲットを再考することで、

  • 人口構成に合わせた商品発注の適切化
  • 人口構成に合わせた施策の実施による顧客満足度の向上
  • 商圏の競合店舗に対抗する差別化戦略を強化

といった提案ができるでしょう。

まとめ:スーパーの集客では顧客データ分析、商圏分析を通してターゲット層を絞ろう

  • スーパーのターゲット層は大きく分けて3つ
  • スーパーで売上を伸ばすためのポイントは「ターゲット層」の絞り込み
  • ターゲット層の設定には、顧客データ分析や商圏分析が役立つ

スーパーのターゲット層は大きく分けると「シニア層」「単身者や共働きの世帯」「ヤングファミリー層」の3種類があり、営業先のターゲット層に応じた集客施策を提案することが求められます。

スーパーの売上を伸ばすにはターゲット層を絞り込むことが重要で、効率的なマーケティングや他店舗との差別化において欠かせません。ターゲット層を設定する際は、営業先のスーパーが収集しているデータを適切に分析することで、その後に提案するマーケティング施策の精度向上につながります。

まず、営業先であるスーパーのターゲット層を調査した上で、提案に生かせるデータを見つけて、施策例を考えることから始めてみましょう。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : スーパー スーパーマーケット ターゲット層 商圏分析 顧客データ分析
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