スーパーの買上点数を上げるには衝動買いが鍵!ポイントと分析手法を解説

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スーパーマーケットの経営に携わっていると、顧客にもっと多くの商品を購入してもらい売上を伸ばしたいと悩む方もいるでしょう。そのためには、顧客の買上点数を上げ、一人当たりの購買金額を増やすことが大切です。

買上点数を上げるには、魅力的な売り場作りや売れ筋商品に関連する商品の併売など、さまざまな方法があります。さらに、適切な分析を取り入れればより効果的な販促施策を打ち出せるでしょう。
今回は、スーパーマーケットの買上点数を上げるポイントや有効な分析手法を解説します。「買上点数を上げるための戦略を立てたい」「効果的な販促手法で売上を伸ばしたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。

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買上点数を上げるには「売上=客数×客単価」から要素を紐解く


スーパーマーケットで買上点数を上げるにはまず、売上が何で構成されているかを理解しておくことが大切です。売上を構成する要素は「客数」と「客単価」で、方程式で表すと以下のようになります。

売上 = 客数 × 客単価

なお、実店舗における「客数」とは、「来店して商品を購入した延べ人数」のことです。「入店した数」を示す『来客数』とは異なるため、混同しないように注意しましょう。

売上を表す方程式からわかるように、売上を最大化するには「客数」と「客単価」のそれぞれを増やす必要があります。「客数」と「客単価」の分解方法には複数のパターンがありますが、今回は下の捉え方を例にして解説します。

  • 客数 = 来客数(来店した数)×買上率(来客数のうち商品を購入した割合)
  • 客単価 = 買上平均単価(顧客1人あたりの平均購入金額)× 買上平均点数(顧客1人あたりの平均購入点数)

買上点数を上げるために注目したいのは、2つ目の「客単価」を表す計算式です。式にある買上平均点数、つまりこの記事のテーマである「買上点数」が高くなると「客単価」が増え、結果的に売上の向上につながります。

このように、売上に対する要素を細かく分解すると、買上点数を上げることが売上にどうかかわるのかが明確になり、目的を具体化して考えられるようになります。

スーパーマーケットで顧客の買上点数を上げるためのポイント

買上点数を上げるには「つい手が伸びてしまった」「目についたので買ってしまった」などの非計画購買、いわゆる「衝動買い」の機会を増やす必要があります。
スーパーマーケットで顧客に衝動買いを促し、買上点数を上げるポイントは次の2つです。

  • 誰が何を買っているかを知る
  • どの商品の組み合わせが売れているかを知る

それぞれ解説しますので、実際の施策につなげるためのイメージをつかんでください。

買上点数を増やすポイント1:誰が何を買っているかを知る

買上点数を増やすには、どのような顧客が何を買っているかを分析することが大切です。

顧客が買っている商品を把握できれば、買い物の傾向にパーソナライズされたプロモーションをおこなえます。このとき、ポイントカードなどの会員システムと連携し、データを取得・分析するのが有効です。

これによって実行できる施策例を以下に挙げます。

  • 店内導線の最適化
  • 陳列の最適化
  • 関連商品のセット販売
  • 関連商品のクーポン配布
  • リピーター向けのキャンペーン実施
  • ディスプレイを使った特売情報の表示 など

買上点数を増やすポイント2:どの商品の組み合わせが売れているかを知る

よく売れている商品の組み合わせを分析することも、買上点数を増やす重要なポイントです。

POSシステムなどのデータを用いて、取り扱っている商品の中から「一番売れている商品」と「同時によく買われている商品」を洗い出しましょう。このような店内配置の工夫により、売れ筋商品の購入と同時に購入されやすい関連商品をレコメンドするクロスセル戦略が実行できます。

また、同時にレコメンドしても違和感のない商品をセット販売することで、買上点数の増加が期待できます。

ただし商品の組み合わせによっては「不要な商品の押し付け」や競合他社の排除のための「不当な抱き合わせ商法」と見なされる場合があるため、注意が必要です。

スーパーマーケットで同時購入されやすい商品の組み合わせ

以下は、スーパーマーケットで同時購入される機会が多く、組み合わせやすい商品の例です。

  • 「パスタ」と「トマトソース」
  • 「コーヒー」と「クリーム・砂糖」
  • 「焼肉用の肉」と「焼肉のタレ」
  • 「パン」と「ジャム」
  • 「サラダ」と「ドレッシング」
  • 「ワイン」と「ワインオープナー」 など

このような同時購入されやすい商品の組み合わせを把握し、売り場配置や販促方法を工夫することで併売が促せ、売上の最大化を狙えるでしょう。

スーパーマーケットで買上点数を上げるには?有効な2つの分析手法

スーパーマーケットで顧客の買上点数を上げるには、顧客属性や買い物傾向を分析し、その特性を把握することが欠かせません。

分析を始める際はいきなり大きなデータを見るのではなく、自店舗のPOSデータや顧客データを使った分析から始めましょう。有効な分析手法として、今回は次の2つを解説します。

  • ABC分析
  • バスケット分析

スーパーマーケットの買上点数を上げるのに有効な分析1:ABC分析

ABC分析とは、買上点数や在庫、売上額などから評価軸を決め、顧客をA・B・Cの3ランクに分類して、優先度の高い顧客群を把握する分析手法です。それぞれのランクに応じた販売戦略で、売上最大化や顧客満足度の向上が期待できます。

買上点数を上げたい場合、買上点数を軸としたABC分析の結果から以下の施策例が考えられます。

ランク 施策例
Aランク
(=買上点数が多い)
  • ポイント還元率を上げ、さらに多くの商品を購入してもらう
  • Aランクの顧客がよく購入する商品と関連商品を近くに陳列し、購買意欲を高める
Bランク
(=買上点数が中程度)
  • 広告・チラシなどでセール情報を配信し、再訪を促す
Cランク
(=買上点数が少ない)
  • リピートを促すために次回使えるクーポンを配布する
  • 低価格商品やキャンペーン商品を目立たせ、購入点数の増加を狙う

ABC分析の詳しいやり方については、以下の記事を参考にしてください。

ABC分析は1つの軸でランク付けする分析手法ですが、「買上点数と購買頻度」の2軸で分析するクロスABC分析も役立ちます。より詳細な顧客分類には、クロスABC分析も取り入れましょう。

その際には、ExcelでクロスABC分析ができる下記テンプレートをお役立てください。

スーパーマーケットの買上点数を上げるのに有効な分析2:バスケット分析

バスケット分析とは、買い物カゴを1単位とし、顧客が一度の買い物で同時購入する商品を分析する手法です。購入データをもとにどの商品が同時購入されるかを特定し、顧客の購買傾向を把握します。

これにより、セット販売や売り場の配置変更、クロスセルなどの施策で売上の増加を図れます。例えば、頻繁に一緒に購入される商品を近くに配置して顧客のついで買いを促すことで、買上点数を増やしやすくなるでしょう。

バスケット分析の結果を生かして買上点数の増加につなげるには、以下のような施策例が考えられます。

分析結果
(同時購入されやすい商品)
施策例
お菓子と炭酸飲料
  • レジ横や売り場の目立つ場所に、お菓子と炭酸飲料を並べる
  • 炭酸飲料売り場のそばに吊り下げ台紙でお菓子を陳列する
肉類と特定の調味料
  • 精肉売り場の近くに特定の調味料を並べる
  • レシピをまとめたボードを掲載し、顧客が必要な食材と調味料をまとめて購入しやすくする
パスタとパスタソース
  • パスタとパスタソースを並べて陳列しPOPでアピールする
  • セット販売でお得感を演出し、同時購入のきっかけを作る

バスケット分析の指標、計算式、具体的な手順は下の記事を参照ください。

まとめ:「衝動買い」を増やしてスーパーの買上点数をあげよう!

  • 買上点数は「売上=客数×客単価」の方程式における「客単価」に影響する
  • 買上点数を上げるには「誰が何を買っているのか」「どの商品の組み合わせが売れているか」を知るのがポイント
  • POSデータや購買データの分析には、ABC分析やバスケット分析が有効

スーパーマーケットなどの店舗における売上は「客数×客単価」で構成され、売上を最大化するには「客数」と「客単価」を増やすことが欠かせません。買上点数を上げることで、客単価が増え、売上の増加を促せます。

買上点数を上げるには、「どんな顧客が何を買っているのか」「どんな組み合わせが売れやすいのか」などを把握しましょう。顧客属性や購買データをもとに分析をおこなえば、店内の導線や陳列の最適化、セット販売、クーポン配布といったさまざまな施策に役立てられます。また、売れやすい商品の組み合わせを把握できれば、売れ筋商品の関連商品を顧客にレコメンドしやすいでしょう。

買上点数を増やすための分析を始める際には、Excelなどの表計算ツールを使った簡単な分析に取り組むのをおすすめします。今回紹介したABC分析やバスケット分析などで、自店舗の購買データやPOSデータを分析するところからはじめましょう。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : スーパーマーケット 分析手法 販促施策 買上点数
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