ラインロビングとは競合からシェアを奪う戦略のこと!分析の始め方を解説

店舗運営 / 集客 , 販売促進
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ホームセンターやコンビニなど、実店舗を運営していると「ラインナップを工夫しても客単価が伸びなくて困っている」「顧客のニーズに応じた店舗戦略をして差別化を図りたいけど、何をすればいいのかわからない」などの悩みを持つ方も、多いのではないのでしょうか。

そこで今回は、近年広く取り入れられている「ラインロビング」に焦点を当てて解説します。ラインロビングとは、自店舗の商品カテゴリに新たな消費ラインを加え、競合他社との差別化や客単価アップを目指す戦略です。

ラインロビングでは、単に商品群を増やすわけではありません。
顧客分析・商圏分析などを活用して高い需要が見込める商品群を見極め、それらに付加価値を与えて販売することで、来店回数や売上の増加に役立ちます。

本記事ではラインロビングの概要や戦略に役立つ分析方法などを解説します。商品カテゴリの見直しを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

ラインロビングとは新たな商品ラインを加えて競合他社からシェアを奪う戦略


「ラインロビング(line robbing)」とは、既存の商品カテゴリに新たな商品ラインを加え、競合他社や他業態から市場シェアを奪う戦略です。「商品ライン(line)」を「奪うこと(robbing)」に由来しています。

では、どのような目的でラインロビングをおこなうのか、次で説明します。

ラインロビングの目的は、買上点数や客単価を増やすこと

ラインロビングの目的は、自社と競合他社や他業態との差別化を図り、一人当たりの買上点数や客単価を増やすことです。

近年、国内では実店舗の増加やEC市場の発展により、店舗当たりの商圏が狭まる「狭小商圏化」が進んでいます。狭い範囲でビジネスをおこない、売上を確保していくには、顧客の単価を上げることと、より多くの顧客を確保することが欠かせません。

そのためには、ラインロビングによって新たな商品ラインを増やし、顧客の来店目的を広げることが重要です。

ラインロビングによるブランドイメージの向上も期待できる

ラインロビングにはブランドイメージの向上という付加価値もあります。
さまざまなカテゴリの商品をそろえることで、顧客は店に対して「便利なお店だ」「ここに来れば必要なものが買える」というイメージを持つでしょう。

さらに、便利で使い勝手のいい店舗という顧客価値を提供できれば、自社のブランドイメージ向上も期待できます。

ラインロビングの代表的な2つの導入例

ラインロビングの代表的な導入例として挙げられるのは、ドラックストアとコンビニエンスストアです。ここでは、それぞれの業態でどのようにラインロビングを取り入れているのかを解説します。

ラインロビングの導入例1:ドラッグストア

ドラックストアは現在、医薬品だけでなく日用品や食料品も販売しています。
これは、薬局が顧客の来店機会を増やして売上アップを図るために、医薬品以外の幅広い商品を扱うようになったことがきっかけです。それまで、商品カテゴリをまたいだ販売方法は見られなかったので、ドラッグストアはラインロビングの先駆けだといわれています。

ドラッグストアは年々販売する商品カテゴリを拡げ続け、現在では「利便性が高く、何でもそろう店」という地位を築いています。

ラインロビングの導入例2:コンビニエンスストア

コンビニエンスストアも、ラインロビングの導入を成功させた代表例です。
飲食品や日用品の販売を中心としていたコンビニエンスストアでは、高まる顧客ニーズに対応するため、公共料金の収納代行や宅配の集荷・受取などのサービスまで、業務の範囲を広げていきました。

さらにチケットの販売や銀行ATMの設置などもおこない、今やコンビニエンスストアは「食べ物や日用品を気軽に買える店」ではなく「多様なサービスを便利に利用できる場所」として、ラインロビングの導入を成功させたといえます。

ラインロビングの成功には適切な顧客分析・商圏分析が欠かせない

ラインロビングを成功させるには、適切な顧客分析と商圏分析が欠かせません。
その理由は主に以下の2つです。

  • 需要の高い商品群を見つけるため
  • その商品群に付加価値を加え、競合他社との差別化を図るため

例えば、ある食料品店がラインロビングを取り入れようとして分析をおこない、以下のような顧客分析・商圏分析の結果が出たとします。

  • 顧客分析の結果:店舗を利用する顧客の多くが男性で20~30代の単身世帯
  • 商圏分析の結果:ホームセンターやディスカウントストアといった店舗が一次商圏にない

この結果を踏まえて、商圏の住民が「日用品が欲しいときにすぐ買える店がない」という悩みを持っていると仮定します。そうすると食料品店の商圏に住む顧客にとっては「近くですぐに買える」という利便性が、商品群の付加価値になり得るでしょう。

このことから、この食料品店は、食品とともに購入できる生活消耗品の取り扱いを充実させることで、客単価の増加が期待できます。

上記のように、顧客分析と商圏分析を合わせておこなえば、商圏内の顧客と需要に応じた商品ラインを取り入れる判断材料を増やせるため、これらの分析は必要です。

ラインロビングに有効な分析の始め方

ラインロビングに有効な分析の種類は、いくつかあります。もっとも実施しやすいのは、自店舗の顧客データやPOSデータなどの収集・分析です。その次の段階として、より多くの情報を管理できるツールを導入すると、精度の高い分析結果をもとにラインロビングを進められるでしょう。

以下では、データ分析に役立つ手法やラインロビングに役立つツール、外部データについて解説します。

まずは自店舗の顧客データやPOSデータの分析から始めるのがおすすめ

ラインロビングを始める際は、まず顧客データやPOSデータなどを収集・分析し、自店舗の商品カテゴリを見直すことから始めましょう。
顧客データやPOSデータは店舗内で集められるため、コストを抑えた分析ができます。

データ分析にはいろいろな種類がありますが、その中でも商品の分析に生かしやすい手法が以下の3つです。

分析手法 分析概要
セグメンテーション分析 属性の似ている顧客をグループ(セグメント)に分けて分析する
ABC分析 商品の金額や売上などの指標から大きい順にランク付けして優先度を決め、管理する
バスケット分析 小売店で顧客がレジに持ってくるバスケットの中身をマーケティングデータとして分析する

それぞれの分析手法について、詳しいやり方は以下の記事をご覧ください。

▼セグメンテーション分析

▼ABC分析

▼バスケット分析

外部データを使うとより高度な分析が可能

ラインロビングの事前分析をおこなう際は、外部データを使用することで、

  • その地域にどのような属性の人物がいるのか
  • どんな競合他社が存在しているのか

などの、より詳細な分析が可能となります。

家計調査年報なら「牛肉」の購入にいくら使われたかもわかる!?

たとえば、商圏内の顧客属性と品目別の支出額が分かる「家計調査年報」のデータを組み合わせると、「何にどのくらいの支出があるか」を把握できるため、商圏の支出動向も調査できます。その結果から需要の高い商品群を精査し、顧客ニーズに沿った付加価値を提供可能な販促施策を実施することで、競合他社との差別化も図れるでしょう。
家計調査年報データの詳しい概要については、以下のページを参考にしてください。

その他にも、各業界別の店舗データをまとめたデータベースなどを用いると、自社の商圏に競合となり得る店舗があるのかをある程度把握できます。

このように、目的や規模に応じて外部データを取り入れることで、自店舗が持つデータだけでは難しい、詳細な分析が実行できます。顧客の特性や競合の状況など、さまざまな視点で分析をおこなうことで、どんな商品ラインを新設すればシェア獲得につながるか把握しやすくなるでしょう。

TerraMapシリーズでは直感的な商圏分析がおこなえる

マップマーケティング社が提供する「TerraMapシリーズ」は、国勢調査やその他統計/推計データを地図上で可視化し、直感的な分析をおこなえるツールです。TerraMapでは地図上に商圏を設定し、範囲内の情報を表示したり、条件に応じて色分けしたりすることで商圏の情報が把握できます。

外部データだけでなく、自社が独自に集めた顧客データや会員情報などもインポートし表示できるので、さまざまな情報を組み合わせて、自社が扱うべき商品カテゴリの選定における判断材料になるでしょう。

ツールの概要や搭載データについては、下のリンクを参考にしてください。

まとめ:ラインロビングを成功させるには狭まる商圏の顧客分析が必須

  • ラインロビングの目的は、買上点数や客単価の増加とブランディングの向上
  • ラインロビングを成功させるために欠かせないのは顧客分析と商圏分析
  • ラインロビングを取り入れる際は顧客データの分析からはじめよう

ラインロビングをおこなうと、自店舗の顧客データによる顧客分析と商圏分析の結果をもとに適切な商品ラインを増やし、独自の付加価値を提供することで、競合他社との差別化を図れるでしょう。

商品カテゴリを見直し、顧客ニーズに合った商品ラインを見つけて「この店なら、たいていの品物がそろっている」というメリットを顧客に感じてもらえるため、自店舗のブランディング向上にも役立ちます。

ラインロビングではデータに基づいた商品の選別が不可欠です。実施する際には、最初のステップとして、自店舗の購買データやPOSデータを集計・分析し、商品群の需要を把握するところから始めましょう。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

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