スーパーマーケットの競合店調査では広い視点を持とう!やり方や具体例を解説
スーパーマーケット経営において売上が伸び悩んでいる際、「周辺にできた競合店の影響ではないか」と考える方や「競合店調査のやり方がわからない」と悩む方は、多いのではないでしょうか。
競合店調査では、自店と競合店を客観的に比較するための情報収集が大切です。集めたデータをもとに分析をおこなえば、効果的な競合店対策ができるでしょう。
本記事では、競合店調査の手順や手法などを詳しく解説します。これから競合店調査を始める方は、ぜひ参考にしてください。
目次
競合店調査はスーパーマーケット経営における成功要因のひとつ
スーパーマーケットの経営を成功させる上で、競合店調査は欠かせません。
競合店調査は、市場での自店と競合店の違いを客観的に比較・分析し、マーケティング戦略に反映するためにおこなう、重要度の高い調査です。競合店の調査と分析によって、自店の経営における課題解決のヒントなどを得られます。
市場でのシェアを拡大し、スーパーマーケットの経営を成功させるには、自店の強みといえる優れた点を伸ばし、競合店に劣っている弱みを解決するための施策が求められるでしょう。
スーパーマーケットの競合店調査のやり方は主に4つ
スーパーマーケットの競合店を調査する際には、主に4つのやり方を用います。各方法の特長を把握して、効率的に情報を集めましょう。
一点留意しておきたいのは、スーパーマーケットの競合店は同業態だけではないことです。近年、ドラックストアやディスカウントストア、コンビニエンスストアなど、食料品を扱う店舗が増加しています。
これらの店舗がスーパーマーケットをライバル視している可能性も高いため、近隣にある他業態の店舗についての調査もおこないましょう。
競合店調査のやり方その1:ネットリサーチ
比較的取りかかりやすい競合店調査の方法に、ネットリサーチがあります。
ホームページや企業サイトを公開している競合店であれば効率的に情報収集がおこなえます。出店地域、主な取扱商品、クーポン、店舗概要などの基本的な情報を記載している企業が多いため、自店との比較もしやすいでしょう。
ただし、ネットリサーチでは競合店の雰囲気や客層といった具体的な部分はわからないため、現地調査と合わせて進める必要があります。
競合店調査のやり方その2:アンケート
顧客に対するアンケート調査の実施でも競合店の情報を集められます。
アンケートの設問に、「普段利用している同業多店舗」「他の店舗と比べて改善してほしい点」など、競合店に関する質問を設定して顧客のリアルな声を集めましょう。
アンケートは公式サイトやアプリなどで実施するほか、DMや店頭記入などさまざまな方法があります。どの媒体が最も顧客に適しているかを精査し、回答数を多く確保できる手法を選びましょう。
競合店調査のやり方その3:企業データの活用
競合店調査では、企業が提供している店舗の住所・座標データなども活用しましょう。企業データを使うと競合店の店舗の住所・座標とともに、店舗数や自店との位置関係などが把握でき、情報を一元化して競合店対策に取り組めます。
例えば、チェーン展開している企業の座標データを取得したい場合は、マップマーケティング社の「チェーン店データ(ロケスマデータ)」が役立ちます。このデータは、独自開発のクローラーシステムによって取得した、国内主要チェーン店の情報をもとに作られています。
マップマーケティング社のエリアマーケティングツール「TerraMapシリーズ」にデータをインポートすると、地図上で設定した範囲内に、チェーン店の情報をシンボルとして表示可能です。位置情報だけでなく、住所や営業時間、定休日などの店舗情報も得られるので競合店調査の効率を高められるでしょう。
チェーン店データ(ロケスマデータ)の詳しい内容については、下記のページをご覧ください。
業種別ポイントデータも競合店調査に役立つ
チェーン店データ(ロケスマデータ)には、チェーン店以外の店舗は載っていません。チェーン展開していない店舗を表示させるには、業種別のポイントデータ(地図上に施設などを表示できるデータ)を活用しましょう。
マップマーケティング社のTerraMapシリーズを使用して、スーパーマーケットの競合店舗を探したい場合、「スーパーマーケットデータ」と「日本スーパー名鑑データ」が利用可能です。
データ名 | 特徴 |
スーパーマーケットデータ | 東洋経済新報社の「スーパーマーケット総監」に掲載されている情報を収録したデータ。総合、食品、小型スーパーを中心に2024年現在、17,505店舗の情報が収録されている。 |
日本スーパー名鑑データ | 株式会社食品速報の「日本スーパー名鑑」のデータに位置情報を付与したもの。総合スーパー、食品スーパーだけでなく、ドラッグストアやホームセンターなどの情報も得られる。2024年現在の収録数は59,199店舗。 |
2つのデータの大きな違いは、業態の範囲とデータ項目です。
「スーパーマーケットデータ」が取り扱っている情報は、生鮮食品を含む食料品を扱っている総合/食品/小型スーパーに限ります。収録されているデータ項目は複数ありますが、例を挙げると住所や電話番号、開店/閉店時刻などの店舗情報です。以下のような場合に、スーパーマーケットデータが生かせるでしょう。
《「スーパーマーケットデータ」活用例》
- 自店が生鮮食品や食料品をメインで扱っているため、同業態の競合店を調べたい
- 自店周辺にある同業態店舗の位置や基本的な店舗情報を把握できればいい など
一方で「日本スーパー名鑑データ」は、食品スーパーだけでなく、生鮮三品を扱わず衣類の売上が15%以上の衣類スーパーや、ドラッグストア、ホームセンターなどの情報も記載されています。所在地や電話番号などの基本的な店舗情報の他に、部門別売上構成比が収録されているため、以下のような場合に役立つでしょう。
《「日本スーパー名鑑データ」活用例》
- スーパーだけでなく、ライバルとなりうる別業態の店舗についても調べたい
- 競合店が取り扱っている商品カテゴリや、部門売上構成比を具体的に把握したい など
なお、「スーパーマーケットデータ」と「日本スーパー名鑑データ」の全国版を比較すると「スーパーマーケットデータ」の方が安価です。
ただし、「日本スーパー名鑑データ」は全国の全業態収録版以外に、食品/医療/雑貨という3種類の業態別版も提供されています。業態別版は全業態収録版よりも安価なので、調べたい業態が限られている場合はこちらもおすすめです。
各データの概要や具体的な項目、価格については以下のページをご覧ください。
また、他業態の調査に適したドラックストアやショッピングセンターのポイントデータも取り扱っています。データ製品の種類や詳細については、下記ページをご覧ください。
競合店調査のやり方その3:現地調査
競合店に出向いておこなう現地調査では、競合店の雰囲気や客層、周辺環境、通行量などの詳細な情報を収集できます。また、調査は一度だけではなく曜日や時間帯などを変えて複数回おこなうと、競合店の特徴をつかみやすいでしょう。
《調査項目と調査するべき上で見るべきポイント》
調査項目 | 調査する上で見るべきポイント |
競合店の立地 | 車での出入りのしやすさや通行量 など |
外観 | 店舗の見た目はどうなのか、目を引く看板などはあるか など |
営業時間 | 営業時間帯、休業日 など |
商品のラインナップ | 商品やサービスの種類 など |
価格帯 | 商品の価格帯はどの程度か など |
販促施策 | ポップの出し方や広告の種類、クーポンなどの有無 など |
看板商品 | 主力となる商品の取扱いはあるか など |
接客態度 | 店員に声をかけやすいか、対応は良いか など |
客層 | 日中や夕方などで変化はあるか など |
スーパーマーケットの競合店調査は3ステップで取り組もう
目的や調査対象が明確でないまま競合店調査をおこなうと、時間的・金銭的なコストがかかるだけで役立つ情報が得られない可能性があります。
コストを減らすためにも、競合店調査の3つのステップを押さえて、効率的に調査を進めましょう。
スーパーマーケットの競合店調査ステップ1:調査目的を明確にする
自店が抱える課題によって調査の内容や対象となる店舗が変わるため、競合店調査をする際は目的を明確にしておくことが大切です。
売上アップ、新規顧客の獲得、販促活動の改善といった目的を見つけ、その目的を達成するために何に取り組むべきかを精査しましょう。その内容をもとに調査するべき項目を絞り込めば、効率的に競合店調査を進められます。
スーパーマーケットの競合店調査ステップ2:調査対象とする店舗を選ぶ
調査対象となる店舗や競合商品、サービスを選びます。調査対象を選ぶ際は広い視野を持ち、スーパーマーケットだけに絞らず、ドラッグストア・ディスカウントストアのような、自店と顧客ニーズや時間を取り合う業態も含めましょう。
このとき、調査対象が多すぎても対策が複雑になるため、コンセプトや強みが自店に似ている競合店を選ぶとよいでしょう。
スーパーマーケットの競合店調査ステップ3:調査を実施し、結果を分析する
調査目的と調査対象の競合店に合わせた調査方法を選び、調査を実施します。
競合店の強みと弱み、商品のラインナップ、客層の違いなどの調査結果を分析し、課題解決や販促施策に活用しましょう。
スーパーマーケットの経営における競合店調査の活用例
競合店を知ると経営のヒントを得られ、自店が持つ課題解決の糸口にもなります。競合店調査の結果を分析し、スーパーマーケットの経営戦略に役立てましょう。
ここでは、競合店調査の結果を具体的な対策に落とし込んだ活用例を2つ紹介します。
競合店調査の活用例①価格設定の見直し
スーパーマーケットA店では、徒歩圏にB店が開店した時期から総菜の売れ行きが低調になったため、「競合店の影響ではないか」と仮定して、調査をしました。
具体的におこなったのは、販売価格と、タイムセールや割引がおこなわれている曜日と時間帯の調査です。それにより、A店は自社商品について、「価格と容量に対するお得感」「種類の豊富さ」で負けていると判断しました。
競合店調査の結果を受けてA店が実行したのは、次の対策です。
- 総菜の品数を増やし、選ぶ楽しさを提供する
- 内容量と価格設定を見直し、お得感を高める
- B店がタイムセールをおこなうタイミングに合わせて、割引を実施する
このように、競合店の商品価格と割引の実施状況を調査すると、販売価格の適正化や、よりセールの効果がある時間を選定する際の参考にできるでしょう。
競合店調査の活用例②レイアウトの見直し
スーパーマーケットC店の「お客様アンケート」に、「近隣のスーパーマーケットD店の方が買い物しやすい」という意見が書かれていました。この意見をもとにC店は、競合店の入り口から会計までの動線と、顧客目線での見やすさを意識した商品陳列の調査を実施しました。
結果、自店舗の動線と陳列に問題があると判断したC店は、以下のような取り組みで「買いやすさ」の改善をすることに決めます。
- 野菜コーナーのそばに調味料やカレールーなどを陳列し、具体的な料理を連想させて購買意欲を高める
- 商品の性質を考慮し、常温(野菜)→冷蔵(肉・魚・乳製品など)→冷凍(冷凍食品、アイスなど)の順で、ゆっくりと買い物ができる店内動線を作る
このように、競合店調査で店内を実際に歩いてみると、「買い物しやすいレイアウト」や「買いたくなる陳列」を顧客目線で判断できます。快適な顧客体験は満足度の向上にも影響するので、顧客側に立った調査を心がけましょう。
まとめ: 競合店調査はスーパーマーケット経営を成功させるためには欠かせない
- 同業態だけでなく、自店と似ている業態も競合店調査の対象になる
- 調査結果と分析をおこない、自店の課題解決に活用しよう
- ネットリサーチや現地調査、企業データといった複数のデータをもとに分析しよう
競合店調査は、自店の売上向上や顧客の獲得といった目的の達成、経営戦略の立案に役立ちます。まずは、自店の周辺にある競合店のネットリサーチや現地調査など、取り組みやすい調査から始めましょう。
また、スーパーマーケットの競合店には、食料品を取扱う他業態も含まれます。企業データを活用して、自店周辺の競合店を効率よく把握しましょう。
調査の内容をもとに、自店の弱みや伸ばせる強みを把握できれば、競合店に負けない店舗を作れるでしょう。