小売店の客数を増やすための考え方とは?効果的な方法4選を徹底解説

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オンラインショッピングが普及した現代において、実店舗の経営に関わる方は、来店客数の減少を実感しているのではないでしょうか。特に若年層の来店が少なく、新規顧客の獲得が課題となっている店舗も多いでしょう。

本記事では小売店を経営している方が実践しやすい集客の考え方と、客数の増加に有効な4つの方法を解説します。SNSや実店舗ならではの価値を生かしたマーケティング施策も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

小売店の客数を増やすには「伸び悩んでいる要因」を見つけることがポイント

小売店の客数を増やすにはまず、減少または伸び悩みの要因を見つけ、正確に把握することが重要です。なぜなら客数の減少には、さまざまな要因が複雑に絡み合っているためです。

客数が伸び悩む原因には、大きく分けて「内部要因」と「外部要因」があります。
内部要因として挙げられるのは、以下の事柄です。

《客層が伸び悩む内部要因の例》

  • リピート率の低下
  • 品ぞろえの悪さ
  • 商品の質や接客レベルの低下
  • 店内のレイアウトや雰囲気に魅力がない など

これらの内部要因が来店意欲を削ぎ、顧客の足を遠のかせていると考えられるでしょう。
一方、外部要因には次の事柄があります。

《客層が伸び悩む外部要因の例》

  • ECサイトの普及による実店舗への来店減少
  • 社会情勢や周辺環境の変化
  • 顧客の嗜好や購買行動の変化 など

周辺環境の変化とは、競合店舗の増加などです。自店舗の周辺に競合店舗が参入することで、既存顧客が流出する恐れがあるでしょう。

こうした内外の要因が、客数の減少につながります。自店舗の現状を正しく分析して、どこに課題が隠れているかを明確にすることが、客数を増やすための第一歩です。

客数が伸び悩んでいる要因を発見するには「データ分析」が有効

客数が減少している要因を見つけるには、感覚ではなくデータに基づいた分析が有効です。
実際の数値を分析することで、客数が減少している理由や改善ポイントを明確にできます。ここでは、要因を探る際に活用できるデータ分析方法を4つ紹介します。

客数が伸び悩んでいる要因を探る方法1:POSデータを分析する

客数が伸び悩む要因を探るには、POSデータの分析が有効です。POSシステムに蓄積されたデータから、客数がいつから増えていないのか、どの程度減っているのかなどの具体的な数値を読み取れます。

また、曜日・時間帯、商品別のように細分化して分析をおこなうと、
「特定の曜日・時間帯に客数が減っている」
「特定の商品カテゴリーを購入する客数が減っている」

などの傾向も見えてきます。

このように、POSデータを詳細に分析することで、なぜそのタイミングで客数が減っているのかがわかり、対策を立てやすくなるでしょう。

客数が伸び悩んでいる要因を探る方法2:顧客アンケートを実施する

顧客アンケートの実施によって、客数が伸び悩んでいる要因を探ることもできます。

顧客アンケートでは、満足度のように数値化できる定量データのほか、顧客の意見や要望など数値化しにくい定性データも得られます。これらを参考にすれば、顧客の来店理由や利用減少などの背景が明確になり、客数を増やす施策を立てるための判断材料にできるでしょう。

客数が伸び悩んでいる要因を探る方法3:競合を調査する

競合店舗の品ぞろえや価格・キャンペーン情報を調査することも、客数が伸び悩んでいる要因を探るために効果的な方法です。競合店舗の商品や価格帯などを調査し、自店舗との差を分析しましょう。競合店舗に出向いて客層を把握することも重要です。

競合店舗を深掘りすれば、自店舗の商品や価格が顧客ニーズに合っているのか、ターゲット層は間違っていないのかなどの気づきを得やすくなります。競合調査の結果を用いることで、客数が伸び悩む要因を発見できるでしょう。

客数が伸び悩んでいる要因を探る方法4:市場環境を調査する

業界全体のトレンドや顧客の購買傾向の変化も、客数が伸び悩む要因となり得ます。まずはPEST分析で世の中の流れを分析し、次にポジショニングマップなどを用いて、市場における自店舗の立ち位置を把握しましょう。

このように業界全体の動向や顧客の消費動向を分析し、他店舗と自店舗の立ち位置を比較することで、客数が伸び悩んでいる要因をつかみやすくなります。

客数が伸び悩む要因と改善方法の例

客数が伸び悩む要因を特定できたら、解決するための施策を実行します。店舗の弱みを補い、顧客のニーズに応えることで、客数の増加が期待できるでしょう。ここでは、客数が伸び悩む要因と改善施策の例を解説します。

客数が伸び悩む要因1:リピート率の低下

リピート率の低下によって客数が伸び悩んでいる場合は、顧客のロイヤルティを高める施策が有効です。具体的には、以下の施策が挙げられます。

改善方法 内容
ポイントカード・会員制度の導入
  • ポイントの付与や会員特典の提供で再来店を促す
  • 購買履歴をもとにパーソナライズされたサービスを提供する など
DM・メールマガジンの配信
  • 商品やセールの情報を発信し、顧客との接点を維持しつつ来店を促す
  • 顧客属性や購買履歴に合わせた情報を届けて、顧客の購買意欲を高める など

客数が伸び悩む要因2:商品・サービスの品質低下

商品やサービスの質が低下によって客数が増えない場合、顧客満足度を上げるために、品質の見直しや、接客レベル・店内環境の向上などをおこなう必要があります。以下のような方法で改善しましょう

改善方法 内容
品質管理の見直し
  • 顧客ニーズに合わせて商品・サービスを改良する
  • 原材料や製造工程、流通方法などを見直す
  • 顧客の意見を反映し、改善に生かす仕組みを構築する など
接客トレーニング強化
  • スタッフの接客レベルを高める研修やトレーニングを実施する
  • スタッフの商品・サービスに関する知識を高める など
店内の環境改善
  • 店内のクリンネスを徹底する
  • ディスプレイやレイアウトを工夫して魅力度を上げる
  • 季節感やイベント性をアピールして顧客の関心を引く など

客数が伸び悩む要因3:顧客の消費行動の変化

消費行動の変化に対応して客数を増やすには、顧客データの分析をもとに、トレンドに合った商品やサービスを導入することが求められます。以下のような方法で、柔軟な対応を目指しましょう。

改善方法 内容
顧客データ分析に基づいた商品・サービスの提供
  • POSデータや顧客データ、アンケートをもとに、顧客ニーズを把握する
  • 顧客ニーズを商品・サービスの開発や改良に生かす
DM・メールマガジンの配信
  • 顧客の利便性を高めるシステムを導入により、待ち時間や会計などを簡略化し、スムーズな購買体験を提供する

小売店が客数を増やす上で有効な4つの方法

客数の伸び悩みを解決するには、課題を明確にして適切な施策を講じることが重要です。単に客数を増やすといっても、すべての顧客に同じ施策は通用しないためです。顧客は「新規顧客」「既存顧客」「離反顧客」の3つに細分化できます。どの客層に働きかけて客数を増やすかによって、打つべき施策も異なります。

今回は客数を増やす上で効果的な4つの方法を解説しますが、他にも考えられる手法はあるため、ターゲットとする客層や自店舗の状況に合った施策を選びましょう。

小売店が客数を増やす上で有効な方法1:ターゲット層を再設定する

消費行動の変化や競合店舗の進出などにより、ターゲットとなる客層は変化します。自店舗が設定しているターゲット層と実際に店舗を利用している客層がずれていると、顧客のニーズが満たせず、客数に影響が出る恐れがあります。

客数を増やすためには定期的に顧客の属性を分析し、狙うべきターゲット層を精査しましょう。ターゲットを適切に選定することで、顧客ニーズを満たす商品やサービスを提供したり、最適な集客チャネルを選んだりできます。

小売店が客数を増やす上で有効な方法2:顧客価値を高める

「顧客価値」とは、顧客がその店舗に感じる価値です。顧客価値を高めると顧客の来店意欲も上がり、結果としてリピーターが増加し、安定した集客につながるでしょう。

顧客価値を高める方法はいくつかあります。以下のようなポイントを意識して、施策をおこないましょう。

  • 商品の品ぞろえを増やしたり、品質を高めたりしてニーズを満たす
  • 接客のクオリティを上げて利用しやすくする
  • 雰囲気や居心地をよくして、利用しやすい店舗にする
  • レイアウトの工夫やサービスの充実で利便性を上げる など

小売店が客数を増やす上で有効な方法3:オンライン・オフラインの相乗効果を意識する

オンラインとオフラインの施策を融合させて顧客の利便性を高めることも、客数を増やすために効果的な方法です。

ECサイトが拡大し、スマホ・タブレットなどにより、インターネットがより身近になった現代、小売業ではO2O(Online to Offline)による集客が求められています。O2Oとは、SNSなどで自社をアピールして実店舗への来店を促す、オンラインとオフラインを融合させた施策です。この手法を取り入れると、新たな客層の獲得につながり、客数を増やせるでしょう。

具体的な例としては、以下のような融合施策が挙げられます。

  • インターネットで注文して店舗で受け取れるサービス
  • オンライン購入後の店舗返品対応
  • SNSのみで配布する、店舗限定クーポン など

「インターネットのサービスによって、実店舗も快適に利用できる」という付加価値をアピールすることで、客数増加の効果が期待できるでしょう。

小売店が客数を増やす上で有効な方法4:実店舗ならではの価値を訴求する

キャッシュレス決済の普及や物流DXの発展などの技術革新によって、EC市場は年々拡大傾向にあります。しかし、そのような中で「実店舗だからこそ味わえる価値」を訴求することで、EC市場にはない価値を顧客に提供し、来店を促せます。

例えば、以下のような施策をおこなうことで「実際に来店することで得られる顧客体験」をアピールできるでしょう。

  • 顧客が商品を体験できるコーナーの設置
  • その場で参加できるワークショップの開催
  • 専門スタッフによる知識の提供 など

これらの施策によって実店舗ならではの価値を提供できれば、客数の増加だけでなく、顧客の愛着や信頼度を高め、継続利用につながることが期待できます。将来的に安定した客数を確保するためにも、実店舗でしか提供できない価値を創造していきましょう。

まとめ:客数を増やすには、減少の要因を特定して改善施策をおこなおう

  • 客数が減る原因はさまざまである
  • データを活用し、客数の減少要因を分析する
  • 客数を増やすには、顧客や店舗状況に合った効果的な集客方法を実施する

店舗の客数を増やすには、まずデータ分析によって伸び悩みの要因を見つけましょう。

客数が減少する要因を特定するには、POSデータの分析や顧客アンケート、競合調査などを実施するのをおすすめします。客数を減少させる要因には、顧客の消費行動が変化したことやリピート率の低下などがあります。客数を増やすためには、減少の原因を整理し、課題を明確にすることから始めましょう。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : データ分析 分析手法 客数 小売店 小売業
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