小売におけるデータ分析の必要性と必要なデータの種類とは?
小売店を経営していると、売上目標に対して実績が伸び悩む状況に陥ることもあるでしょう。売上が伸びないときに重要なのは「目標を達成できない原因は何なのか」を明確にすることです。
目標を設定した後、進捗や状況を確認しないでやみくもに店舗運営をおこなうだけでは売上が上がらない原因の本質を掴むことはできません。データ分析をおこなって「目標に対する達成割合」を把握し、明らかになった課題や改善点によって、運営方法のブラッシュアップをする必要があります。
そこで今回の記事では、店舗運営の見直しに欠かせない「データ分析」について、小売店に焦点を当てた内容で解説していきましょう。
目次
小売業におけるデータ分析の重要性とは?
小売業と一口にいっても、業界内にはスーパーマーケットやドラッグストア・ディスカウントストアなど、さまざまな形態が存在します。
しかし、多くの小売店に共通しているのが「売上目標や経営目標を立てて達成を目指す」という経営方法ですよね。データ分析は、これらの目標に対して「現在どのくらい達成しているか」「何が不足していて達成率が悪いのか」などを具体的にするために必要不可欠な存在です。
せっかく目標を立てても「今どのくらい順調なのか」が曖昧では、直すべきところや伸ばすべきところを把握できません。データ分析によって日々おこなっている営業の成果を「数値」で表すことこそが、計画的で効率的な店舗運営に繋がるのです。
また、蓄積したデータを利用すれば、売上予測や在庫管理がしやすくなり、無駄なコストを抑えて業績を上げていくことにも繋がるでしょう。
小売業のデータ分析で重要な「KPI(重要業績評価指標)」
データ分析を効率的におこなうには、店舗運営で生まれる膨大なデータの中から最重要項目を見極めることが重要です。
その際に役立つものが「KPI(重要業績評価指標)」です。KPIとは、店舗で定めた目標を達成するために「進捗度を測る数値」を指します。
KPIを定めることで、どのデータを集めどんな分析をすれば店舗運営に活かせるかがはっきりするのです。
では、小売店においてKPIに定められる指標とはなんなのでしょうか。
小売業で押さえるべきKPIは3つある
小売業において、特に重要だとされるKPIは3つあります。
- 来店客数
- 購買率
- 客単価
これから店舗のデータ分析を始めるという場合、まずはこの3つのデータを使用して分析してみましょう。
この中で特に意識しておきたい項目が「購買率」です。店舗で買い物をした人の割合を示す購買率は、「売上アップ」「販促効果の向上」などさまざまな分野の目標達成度を数値化する際に役立つでしょう。
KPIそれぞれの現状と目標をまとめよう
KPIを使ってデータ分析をする場合、まず現状をまとめることが大切です。来店客数・購買率・客単価データを見直して「店舗の現状」を把握することで、課題や目標が設定しやすくなります。
3つのデータで現状をつかんだら、店舗の目標値を定めましょう。目標と現状を比べて何が足りないかを分析して、改善や見直しをおこないます。
定期的にデータ分析をし直して、目標達成率が計画通りか確認してください。
計画当初の目標が状況とかけ離れてしまう場合もあるので、都度KPIと目標のブラッシュアップをすることで運営の効率を高められます。
小売業で重要な3つのデータを調べる方法
小売店にかかわらず、データ分析をおこなう場合にはまず分析の元となる「データ」を集める必要があります。
店舗運営に関するデータはさまざまですが、まずは小売店のKPIである来店客数・購買率・客単価を調べておきましょう。
ここでは、それぞれのデータ収集法や使用するシステムについて解説します。
来店客数を調べるには?
来店客数を測るには、POSレジの計測データを使用する方法が一般的です。しかし、この計測方法の場合「レジを通過して商品を購入した顧客の人数」しかカウントできません。
中には「店舗や売場に入っただけで商品の購入に至っていない顧客」もいるでしょう。
通過・滞留人数もカウントするには、「トラフィックカウンター」「ピープルカウンター」と呼ばれるシステムの導入が必要です。
どちらもセンサーの範囲内を通った人を数えるシステムで、「店舗前を通過した人の数」をカウントすることも可能です。
カウントシステムを導入して通行人も含めた総数から来店客の割合を出すことで、より精度の高い来店客数データが作成できるため、店舗運営の改善策を提案しやすくなります。
購買率を調べるには?
購買率を調べるには来店客数データを使用します。購買率とは簡単にいえば「来店した顧客のうち、商品を購入した顧客の割合」を表した数値です。
割合を調べるときは以下の計算式を使用しましょう。
ある1日の来店客数が450人で購買客数が380人だとすると、購買客数380人を来店客数450人で割るので、その日の購買率は84.4%になります。
客単価の調べ方とは?
客単価とは、顧客1人あたりへの販売額を平均化したものです。
顧客3人がそれぞれ500円・1,900円・350円の買い物をした場合、合計額2,750円を3等分して客単価は916円(端数切り捨て)となります。
計算式はとても単純でPOSレジから抽出できる店舗売上額と購買客数で算出できるため、KPIの中では一番集めやすいデータといえるでしょう。
具体的な計算式は
です。
例えば、1日の売り上げが200万円で購買客数が560人だった場合、客単価は3,571円となります。
まとめ:小売業の売上アップは詳細なデータ分析にかかっている
データ分析に慣れていない人は、複雑な計算式や高度な数値分析をおこなうハイレベルな業務という印象を持つかもしれません。しかし、データ分析で導き出される数値は「店舗の今」を示す、最も分かりやすい指標です。
データ分析の手法は数多く、分析手法や参照するデータが目的によって違います。最初から全てを把握しようとせずに、まずはKPIを意識して店舗運営の改善に直結する分析から始めてみましょう。
データ分析を活用すれば、それまで曖昧だった運営の欠点や対策方法、思わぬ売上アップのチャンスが見えてくるはずです。