インストアマーチャンダイジングとは?概要や種類、活用方法を解説

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ドラッグストアやスーパーマーケットなどの実店舗では陳列やレイアウト、店内でおこなう販促などが売上に大きな影響を与えます。しかし、「店内の陳列や販促を最適化できていない」という問題を抱える関係者の方も多いでしょう。

売り場の改善と売上の最大化を目指すには、商品の陳列を顧客ニーズに合わせる販売戦略が重要です。そこで取り入れられる戦略が「インストアマーチャンダイジング」です。
インストアマーチャンダイジングの考え方をもとに、顧客が買い物しやすい売り場作りを成功させれば、売上の増加につながるでしょう。

本記事では、インストアマーチャンダイジングの概要や活用方法について解説します。店舗経営における売り場改善に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

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インストアマーチャンダイジングとは店舗内の販売戦略を実施すること


「インストアマーチャンダイジング」とは、店内(インストア)に的を絞って顧客ニーズに合った販売戦略をおこない、売上増加をはかるマーケティング活動です。
インストアマーチャンダイジングの販促施策には、以下の手法があります。

  • 店舗のデザイン
  • 店内POPの展示
  • 商品のレイアウト
  • 値引き など

これらを組み合わせて、顧客が商品を買いたいと思える売り場作りをしましょう。

インストアマーチャンダイジングの手法は大きく分けて2つ

インストアマーチャンダイジングには、2つの手法があります。

  • インストアプロモーション
  • スペースマネジメント

どちらも店舗の売上増加に役立つ手法なので、売り場改善の参考にしてください。

インストアマーチャンダイジングの手法1:インストアプロモーション

「インストアプロモーション」とは、売上アップを目的として顧客におこなう、店内での販促活動の総称で、「価格主導型」「非価格主導型」という2種類の手法があります。

価格主導型:商品価格を変動させ、商品価値を高める

「価格主導型」は商品価格を変動させて、顧客にとっての商品価値を上げる手法。商品の価格を下げて、購入意欲を高める手法が主流です。

《価格主導型インストアプロモーションの代表的な例》

手法 内容
お得感の演出 【価格据え置きの、大容量/増量パックを販売する】
グラムあたり・1個あたりの価格を下げ、お得感を演出する。ただし、メーカー品の場合、容量調整や価格設定はメーカー主導となる。
特別価格での販売 【値引きや特売セールなどを実施する】
通常より価格を下げて購買を促す。ただし、回数が多すぎると、それが常態になって特別感が薄れてしまうため、注意が必要。
バンドル販売の実施 【まとめ売りやセット販売をおこなう】
主要商品と関連商品をまとめてアプローチすることで、買上点数や購入金額を増やせる。ただし、関連性のない不要な商品をセット購入させる「抱き合わせ商法」にならないよう注意すること。

非価格主導型:レイアウトや商品陳列で購買意欲を促す

「非価格主導型」とは、店舗内のレイアウトや商品陳列を工夫し、購買意欲を促す手法です。価格主導型とは異なり、告知などによって顧客に興味を持ってもらい、購入に至るよう誘導します。

《非価格主導型インストアプロモーションの代表的な例》

手法 内容
POP広告 【商品情報やセール内容を店内に掲示する】
顧客の興味・関心を引き、手を取りやすいように誘導できる。顧客の目線や動線を分析して、目を引きやすい配置・配色・設置方法を工夫すると効果が高まる。
デジタルサイネージ 【商品への訴求動画を流す】
POPやポスターより多くの情報を発信できるため、顧客の目を引きやすいのが特徴。ただし、機材の設置や広告の作成費などコストが高くなりやすいため、費用対効果を十分検討したうえでの導入が必要。
イベントの開催 【ワークショップやデモンストレーションを開催する】
機能・味・触感など、媒体では伝えきれない商品の魅力を、顧客に体験してもらう手法。ただし、イベント開催前の告知や販売ノウハウの豊富なスタッフの存在が不可欠。

インストアマーチャンダイジングの手法2:スペースマネジメント

「スペースマネジメント」とは、動線や商品陳列の最適化をはかり、顧客にとって買い物しやすい売り場を作る販促施策です。スペースマネジメントは「スペースアロケーション」と「シェルフスペースマネジメント」の2種類に分類されます。

スペースアロケーション:店内のスペース構成を最適化し、売上を増やす

「スペースアロケーション」とは、店内のスペース構成を最適に割り当て、売り場ごとの売上を増やすための手法です。人気商品をあえて店頭に置かないなど、どうすれば顧客が買い回りしやすいかを考慮しながら店内をレイアウトします。

例えばアパレルショップで、自店舗でしか購入できない「人気俳優とのコラボデザイン商品」を奥のほうに陳列するといった手法がスペースアロケーションにあたります。この方法を用いると、対象商品を探す顧客が店内を隅々まで巡回しやすくなり、衝動買いやついで買いによる客単価の増加が期待できます。

シェルフマネジメント:売り場の棚割りを最適化し、売上最大化を目指す

「シェルフマネジメント」は「棚割り」とも呼ばれ、売り場の棚ごとに「どこに何をどう置くか」を戦略的に考え、売上の最大化を目指す手法です。シェルフマネジメントでは、以下の3要素を意識しましょう。

フェイシング 一見して商品の特徴がわかるように並べる。商品の表面を向ける「フェイスアウト」と、側面を向ける「スリープアウト」がある
グルーピング 関連性の高い商品を同じ場所に陳列し、認識しやすくする
ゾーニング 種類やサイズなどで分類した商品をそれぞれのコーナーに陳列し、店内構造をわかりやすくする

シェルフマネジメントが適切であれば、顧客はスムーズに店内を回り、求める商品を発見しやすくなります。ただし、店舗構造や客層によって最適な陳列方法は変わるため、顧客データの分析をおこない、結果を踏まえて実践するとよいでしょう。

インストアマーチャンダイジングを成功につなげる2つのポイント

インストアマーチャンダイジングを成功させるには、ついで買いを促せるような、顧客属性を意識した陳列が重要です。顧客に効果的なアプローチができれば、売上アップにつながります。

インストアマーチャンダイジングのポイント1:「ついで買い」を促す売り場作り

「ついで買い」を促す売り場作りが、インストアマーチャンダイジングで売上を増やすためのポイントです。売り場作りの具体例には、以下の手法があります。

  • 生活必需品や人気商品をあえて店の奥に配置し、ついで買いを狙うレイアウト
  • 顧客の視線を意識して陳列棚にPOPを設置する
  • セールや限定商品を注目させるディスプレイ
  • 関連商品を近くに陳列する「クロスマーチャンダイジング」 など

クロスマーチャンダイジングについては下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

インストアマーチャンダイジングのポイント2:商圏の顧客属性を意識した陳列

インストアマーチャンダイジングの2つ目のポイントは、商圏の顧客を分析し、属性を意識した商品陳列をすることです。顧客ニーズに合った、利用しやすい陳列をしましょう。
次に挙げるのは、顧客属性を意識した陳列例です。

顧客属性 施策例
単身世帯 使い切りサイズの調味料や少量パックの食材を同じ売り場に配置し、ついで買いを促す
シニア層 陳列棚を低くしてPOPのサイズを拡大し、商品を見やすく配置する
ファミリー層 お菓子売り場の目立つ場所に大容量のファミリーパックを陳列し、子育て世代にアプローチする

ここでは例として大まかな顧客属性での施策例を挙げましたが、顧客属性は年齢や性別、世帯構成などで細かく分類できます。例えば、同じ単身世帯でも20~30代女性と30~40代男性では求めるものは異なると考えられます。

そのため、まずは自店舗の顧客データや購買データを分析しターゲットにすべき顧客属性を細かく設定しましょう。店舗の商圏にどんな人が住んでいるかを調べることでも、周辺地域のニーズを深掘りできます。さまざまな情報を活用して、顧客ニーズを満たした陳列を作りましょう。

まとめ:売り場を顧客にマッチさせて売上増加につなげよう!

  • インストアマーチャンダイジングとは、店内の広告や品ぞろえを顧客ニーズに合わせて、売上につなげる手法
  • 顧客の視線や動線を意識したレイアウト設計をしよう
  • 売り場が改善できれば、ついで買いや衝動買いの機会を増やせる

インストアマーチャンダイジングは、売り場を顧客にあわせて最適化させ、売上の最大化を狙う販売戦略です。

売り場の改善には、自店舗の分析と顧客分析が必須です。
インストアマーチャンダイジングを始める際には、まず顧客データを収集し、売れ筋商品や顧客の特徴を把握して、効果的な広告の作成や売り場のレイアウト設計に役立てましょう。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : インストアマーチャンダイジング スーパーマーケット 販売戦略 陳列
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