販売促進ツール「DM」の利用価値とは?期待できる3つの効果を解説
スマートフォンが普及し、容易にインターネットへ接続できるようになった世の中で、DM(ダイレクトメール)を郵送することの効果はあるのでしょうか?
インターネット広告には、コストを抑えて不特定多数の人々に宣伝できるメリットがあります。
しかし、大多数の消費者に対してパソコンやスマホの画面に何度も表示されるインターネット広告に嫌気がさしている人も存在することから、
その人のためだけに作成された温かみのあるようなDMは、商圏を限定したビジネスをおこなう企業にとって、現在でもチラシと並んで重要な施策のひとつなのです。
この記事では、DMは販売促進ツールとしてどれだけ効果があるのか、DMを送付して得られる具体的な効果は何かについて詳しく説明します。
※本記事でご紹介するDMは、いわゆるSNSのダイレクトメールではなく、エリアマーケティングなどで使用する紙媒体のダイレクトメールになります。
目次
販売促進に使われるDMの価値とは?
DM(ダイレクトメール)とは、企業から個人や法人宛に直接郵送する紙媒体の広告のこと。
最近では、個人情報保護法もあり顧客データの取得が以前より難しくなっているため、住所や宛名がなくても地域を指定して発送できるDMサービスもあります。
インターネット広告が増えている中で、あえてDMを導入する価値はあるのかと考える方もいるでしょう。
実際のところ、販促のマーケットでDMが現在どのような位置づけにあるのか、DMを受け取った人がどのような反応をしているのかについて解説します。
販促市場におけるDMの現状
電通が発表したリポート「2019年 日本の広告費」によれば、2019年に国内で使われた広告費のうち、DMは年間3,642億円でした。
年を追うごとに減りつつあるものの、DM広告費は折込広告費の3,559億円より多く、プロモーションメディア広告費の中では「イベント・展示・映像ほか」に次ぐ2位です。
こういった調査結果から、インターネット広告やテレビ広告に押されているイメージのあるDMですが、
現在でも販売促進業界に根強く浸透していることがわかります。
JDMA(一般社団法人 日本ダイレクトメール協会)の調査では、
本人あてDMの開封・閲読率は79.4%。
問い合わせや来店などの行動を起こした割合を示す反応率は24%と、
非常に高い水準を維持しています。
もちろん、封筒や資料のデザイン、DMの内容により変動はありますが、この数値は十分に有効な販促施策になっているといえるのではないでしょうか。
他にも、インターネットまたはDMという二者択一ではなく、
インターネット広告で取り込めない顧客へのアプローチをDMでおこなうオンオフ統合企画が顕著な増加を見せました。
形状を工夫して試供品を同封する方法も開発されるなど、DMは決して時代遅れではなく、使い方次第で販促やエリアマーケティングに有効なツールであるといえます。
また、インターネット広告で幅広く認知施策を行い、反響率のいいエリアに対してDMなどで刈り取っていくような施策も有効な施策になっていくでしょう。
DMで販売促進をおこなう目的は3つある
DMで販売促進をおこなう一番の目的は売上の拡大ですが、直接の売上には繋がらない場合でも、DMを送付することでさまざまな販促効果を得ることができます。
また、DMは宣伝効果があるだけではなく、市場調査や効果の検証といったマーケティングに活かせるので、他の目的に使用される場合もあります。
DMによる主な販促効果として、以下の3点が挙げられます。
- 新規顧客にアプローチできる
- 見込み顧客の購買を促せる
- 反応率が販促活動のデータとなる
では、販促効果の具体的な内容を順番に解説していきましょう。
DM販促の目的1:新規顧客にアプローチできる
基本的に郵送でDMを届けるためには、顧客の住所・氏名を把握する必要があります。そういった性質から、
来店購入や問い合わせ履歴のある顧客フォローを目的とするケースが多くなっているDMですが、
実は新規顧客を探すための手段としても活用できます。
例えば、郵便局の「タウンプラス」というサービスを使うと、DMや封筒のデザイン・制作の制作から始まり、自社商品を知らない新規顧客にアプローチできます。
タウンプラスは、特定地域の郵便受けにチラシなどを投函していく「ポスティング」に近いサービスで、自社顧客データがなくても指定した地域の世帯にDMが配達されます。配達地域は、町丁目単位での指定が可能です。
タウンプラスをはじめとしたサービスを使ってDMを送った中から資料請求や問い合わせといったアクションを返してきた新規顧客は、今後来店や商品を購入する見込みが高いため「見込み顧客」と位置づけることができます。
DM販促の目的2:見込み顧客の購買を促せる
新規顧客から見込み顧客となった人々が最初のDMで購買まで至らなかったとしても、何らかのアクションを起こした場合、少なからず店舗や商品・サービスに関心を持っている可能性が高いでしょう。
過去にレスポンスのあった見込み顧客には、新たなDMや別の販促方法といった直接的なアプローチを重ねておこなうことで、来店や購買を促すことができます。
DM販促の目的3:反応率が販促活動のデータとなる
DMをさまざまな地域に発送して反応率を蓄積することで、どの地域のどんな属性の人が店舗や商品に関心を持っているのかというデータを集められます。
同じ商品の紹介をしているDMに対するアクションは景気や年齢層、性別、世帯構成、職業といった属性によって違います。発送したDMがすぐに直接の購買に繋がらなくても、反応率を属性別にまとめるなどして、今後の顧客データ分析に活用できます。
エリアマーケティングでDMの効果が高まる
ここまでDMの現状や価値・販促効果について解説しましたが、DMの効果を高めるためには自社商圏の特性を知り、ターゲット層にあった要素を組み込む必要があります。
エリアマーケティングで地域ごとの人口・家族構成・性別などというターゲットのデータを分析すると、仮に宛名なしのDMでも、よりレスポンス率の高い送付がおこなえるようになります。加えて、送付先地域を絞り込むことでDMを効率よく送付できるため、コストも抑えられます。
地域の基本データを把握してDMの発送計画を立てるには、GIS(地理情報システム)を使ったエリアマーケティング・ソフトがとても便利です。
例えば、エリアマーケティングGISソフト「TerraMap(テラマップ)」は最新の全国行政界・国勢調査データを網羅しているうえに、商圏分析機能などを備えており、分析結果の定型レポート作成も簡単です。
TerraMapを活用すれば、商圏を切り出した地図上に顧客の属性を反映させて、ターゲットエリアを絞り込めます。DMを送付した後、実際に反響のあった世帯データを取り込み、対象とする世帯と掛け合わせて反響率を分析することが可能です。
このようなPDCAサイクルの繰り返しから、DMを活用した更に効率の高いプロモーション案が生まれます。
まとめ:DMは多くの可能性を秘めた販売促進ツールである
DM(ダイレクトメール)は、Web広告に取って変わられた販促ではなく、配布エリアやターゲットをしっかり定めて戦略的に導入することで、
充分に集客可能な手法であり、投資対効果が得られる販促方法の一つです。
送付先の住所や氏名がわからなくても指定地域にDMを発送できるサービスもあるため、新規顧客へのアプローチも可能となり、活用方法も広がりました。
ただ、DMの発送にはインターネット広告に比べて物理的な制作費・印刷費・郵送費などのコストがかかるため、ある程度ターゲット層を絞り込んで効率よく送付する必要があります。
エリアマーケティングツールも有効活用して、最適なDMの発送方法を見つけ出しましょう。