【販売促進計画の立て方】手順とポイントをご紹介

販売促進
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「販促は、だいたいの内容さえ決めておけば、ある程度の成果は出るだろう」
「”計画倒れ”なんてよくあることだから、実行しながら考えよう」
販売促進の計画を立てるときに、上記のような話が出たことはありませんか?

数ある販促手法から最適な手段を選ぶために、自社・自店の状況を正確に見つめ直し、基準を作るところからはじめれば、コツや経験則による良し悪しこそありますが、そこまで難しい作業ではありません。

このコラムでは、一から年間販売促進計画(販促施策)を練り上げる方に、その重要なステップを細かく解説していきます。
だいたい6分くらいで読み切れる内容になっているかと思いますので、まずはその道すじをこのコラムで確認してみて下さい。

商圏分析ツールで市場を把握 販促エリアの最適化に

さまざまな販売促進施策


ひとくちに「販促施策」といっても、その種類は実に様々です。また、日々新しい手法が試みられており、その中からヒット施策が生まれたりもしています。その中から代表的な手法を、大きく「オンライン施策」(主にweb上の手段)と「オフライン施策」(紙媒体や、リアルな場などを活用した手段)に分けてご紹介します。

オンライン施策

オンライン施策
自社・自店ホームページ/ブログ運用
SNS(LINE/Facebookなど)の自社・自店ページ開設
リスティング広告
(GoogleやYahooなどの検索サイトのワード検索結果に連動した広告表示)
アフィリエイト広告
(数多くのHP、ブログ等に広告が露出され、クリックされた際にはじめて広告代が発生する成果報酬型広告)
自社・自店メールマガジンの発行
オンライン店舗(ECサイトやオンラインモールへの出店)

オンライン施策は、主にインターネットの発達に伴って、ここ10〜15年の間に急速に伸びてきた販促手法で、オフライン施策に比べて実施までのハードルが低いことが特徴です。ホームページの作成知識やSNS利用経験のある担当者であれば、パソコン一台、さらにはスマホ一台からでも販促活動を開始できます。
また、紙や印刷工程、配送、関連する人的コストなどもなく、オフライン各施策に比べてより広く、多くのお客さんに一度に情報を伝えることができます。

 その一方で、オンラインの施策は広く拡散しやすいといった性質から、炎上対策やウイルス対策をきちんと講じておかないと、自社・自店が思わぬ誹謗中傷の的となってしまう危険性もあります。TwitterなどのSNSに、飲食店のアルバイトが不衛生な写真を投稿して激しく非難されたり、間違った情報を訴求し続けてクレームに繋がったりして、結果的に会社や店舗自体が廃業してしまった事例もあります。

オフライン施策

 紙媒体や、リアルな場などを活用したオフライン施策の中にも幅広いメニューがありますので、「自社・自店からの距離が近い」か、「到達範囲が広い」か、に分けて代表的な施策をご紹介します。

オンライン施策
自社・自店からの距離が近いオフライン施策 到達範囲が広いオフライン施策
看板 テレビ広告
のぼり ラジオ広告
店頭POP/ポスター パブリシティ活動(情報番組などへの話題提供)
デジタルサイネージ 雑誌/新聞広告
ポイントの発行 街頭手配りチラシ
クーポンの配布 チラシポスティング
ファンづくりイベント DM(ダイレクトメール)
交通広告(電車・バス)
屋外・看板広告

まず、自社・自店に近いオフライン施策群は、すぐに実行できるメニューが多く揃っています。強く売り出したい商品が決まったら、まず商品棚のPOPを書いたり、のぼりを店頭に出したりしますよね。クーポン券や会員スタンプも、券やスタンプを用意したら、すぐに始められる手軽さが強みです。

到達範囲が広いオフライン施策群は、原稿を書いたり、紙媒体であれば印刷をしたり、
動画・映像媒体なら取材・撮影も必要となり、事前準備にかなりの時間と手間を要します。しかし、オンライン販促施策と同様(あるいはオンラインを使用しない年配の方から子どもなどを含めて)幅広いお客様に一度に情報を伝達させることが可能です。
くわえて、テレビや新聞、雑誌など、消費者が普段見たり読んだりしているメディアは、その消費者にとって一種の「権威」(信頼のおける情報)です。そういった媒体に自社・自店の広告などが掲載するということは、自社・自店の権威づけ(ブランディング)にも役立つでしょう。

販促計画を立てる際の手順

では、実際に販促計画を立てる際に、どのような手順で販促計画を立てるべきなのでしょうか。

ご紹介する手順で情報の整理、分析をおこなっていけば、迷うことなくスムーズに計画を立てられるようになるでしょう。

手順1:現状分析

まずは現状を分析して、今まではどのような施策を行ってきたのか、ターゲットはどのようなペルソナ(架空の主なユーザー像)だったのか、成果はどうだったかなどを分析しましょう。
また、既存のお客様がいれば、優良顧客はどのようなインサイト(心理的な欲求)があるのか、購買データはどうなっているのかなどの定性・定量的なデータも重要です。

例えば、販促活動を行う企業・店舗の現状は開業したてですか?それとも創業○年目の伸び盛り企業。もしくは老舗(しにせ)の立て直しが課題なのか?2年以上事業を続けていれば、昨年以前の売上や、実行してきた販促施策の成果、反省点や、今後に活かすべき改善ポイントなどが見えているはずですよね。

それを、ただ思い浮かべるだけではなく、簡単に箇条書きで良いので、思いつく限りできるだけたくさん書き出してみてください。
このように書き出してみることで、この後ご紹介する手順に合わせて、課題や解決策が徐々に見えてくるようになります。

手順2:目的を明確にしましょう

 手順1で書き出したノートをじっくり読み返し、同じくそのノートに今回の販促の目的を明確に書き出してみて下さい。
販促の主な目的は、

  1. 新規顧客の開拓
  2. 既存顧客からの購入増
  3. リピート顧客、再来店の創出

の3つです。
これから立てる販促活動の目的は、①〜③のうち、どれにあたるでしょう。

どれを一番にすべきかを考えると全部と言いたいところですが「万人に有効な策」というのはありません。上記①〜③のうち一番力を入れるべき目的を定めることで、販促ターゲット顧客、及びそのお客様に向けて、より有効な施策を選べる段階に進めるようになります。

手順3:”誰に向けた”販促施策なのかを設定

 手順2で目的を正しく定めることができたら、そこから具体的な販促施策を選定するために「ターゲット」および「ペルソナ」を書き出して下さい。

例えば、仮に商店街の小規模スーパーの主顧客層が「近所の年配者」および「専業主婦」だったとして、新規顧客層獲得のために「共働きの忙しい子育て主婦」の取り込みを狙おうとした場合の「ターゲット」および「ペルソナ」は以下のようになります。

ターゲット:30代〜40代、女性、仕事を持った主婦、子育て中
ペルソナ:
佐藤花子 30歳後半 女児2人と夫との4人暮らし
5年前、A町に建った大型マンションに、長女出産にあわせて引っ越してきた。
子供をB町の保育園に預けながら、自身も正社員としてフルタイム勤務中。
自社の店舗はマンションから最寄り駅までの通勤経路にあるが、普段は通勤と2児の送迎で忙しくスルーされているようだ。
Instagramでカンタン料理系のアカウントを日頃チェックしている家族や友人とのやり取りではLINE、Facebookを使用することが多い

など。
このように、実際にペルソナ像を書き出してみることで、おそらくオンライン施策(SNS対策、メールマガジンなど)をこれまで以上に強化していく方が良い、という方針が導き出せそうですよね。

手順4:販促計画表の作成

手順3にて、”誰に向けた”販促施策かがきちんと策定できたら、次にいよいよ、「販促計画表」という重要な一覧表を作ります。
①販促費の全体および各施策の予算
②実行する販促施策ごとの集客・売上目標
③過去年度と今年度の予実管理(昨年の実績と今年の予定集客数を比較するため)のほか、
④もし可能であれば、自社・自店の販促施策の効果に影響を及ぼす可能性がある外的要因(季節ごとのイベントごとや、過去の同時期に競合が打った販促施策の内容)などを書き込んで行ってください。

マイクロソフトのエクセルという表計算ソフトを使って一覧表を作成できる環境にあるならば、表項目を自由に打ち替えて活用できる白表データがWeb上に無償公開されていますので、自社・自店用に項目を入れ替えて利用すると、簡単に完成させることができます。

<参照>


※テンプレートもダウンロードいただけます。

販促計画を立てる際の重要なポイント

販促計画を作り進めていくうえでは、

  1. できるかぎり長期間(年間)の俯瞰計画から作りはじめて、短期間(週間)の実施要領に落とし込んでいく
  2. 目標を見失わない

という2点が主なポイントになります。
それでは詳しくみていきましょう

全体の計画は、年単位で作成

ほとんどの企業、お店は、始期がいつであろうと「1年間」という会計年度で企業活動をしています。売上・利益を上げていくための数値目標を立てる際には、必ず「前年度に対して**%引き上げる」というスパン(期間)で全体計画を立てていきましょう。

その「年度」の中での前年度との比較、繁忙期・閑散期の上がり下がりの比較は、さらに月単位に細分化してみることで、容易に比較検討できるようになります。
 

月単位に細分化した計画をイベントなどに合わせ作成

細分化した計画は、祝日やイベント、季節に関わる出来事などの変動要因を考慮して、月単位で作成しましょう。

みなさんが関わっている企業・お店では、どのような外的要因によって売上の変動があるでしょうか。
趣味・嗜好品を取り扱っていらっしゃるのであれば、祝日が多い方が売上は伸びるでしょうし、寒暖の差が購買心理に影響する季節もの商品では、夏が猛暑だったり、冬が大雪だったりすれば業績に大きく影響が出ますね。

そのため、先に立てた年間計画を月単位に細分化していくと、翌月に実施すべき販促計画がより具体的に見えてきますね。翌月のイベントごとの情報などを調べるには、下記の「エディトリアルカレンダー」なども活用するとより具体的になります。

エディトリアルカレンダー無料ダウンロードサイトなど
Writing Works コンテンツカレンダー https://writing-works.jp/dw/content-calendar/
econte エディトリアルカレンダー http://econte.co.jp/service/ec/
innova エディトリアルカレンダー https://innova-jp.com/library/editorial-calendar-monthly/
一般社団法人日本記念日協会 https://www.kinenbi.gr.jp/

さらに、1ヶ月の間でも、前半や後半、給料日の後先などで需要の波は大きく変動するものです。月単位よりさらに細かな週単位での販促施策の稼働計画については、実施する前月までに決めておくことで、余裕を持った準備が可能になります。

目標設定が最重要

これまで見てきたような分析過程を経て、実際に販促計画を立てようとする最終段階で、最も重要なことは「目標設定」です。

目標が明確でなければ、それを達成するのに何(どの販促施策)をすべきかが全くわかりません。また、立てた目標に対して現段階での達成度合いを把握できなければ、今後あとどのくらい頑張れば良いのかが分かりません。

たとえば、目標が「頑張って利益をあげよう!」だけだとしたらどうしますか? 企業の存在目標として間違ってはいないけれど、何をどうすればよいのかさっぱり分かりませんよね。
販促計画の目標をきちんと見定めたうえで、現状を把握して目標との差(集客数や売上、利益など)を数値化してはじめて、その差を埋める販促施策(手段)を取捨選択できるようになります。
この「目標」を設定する際に気をつけるべき点を、以下にご紹介します。

その目標は、KGIとKPIで評価できる内容になっていますか?

KGIもKPIも、どちらも企業・お店が何らかの目標を目指して活動する際に、その活動状況を客観的に評価する指標のことです。

たとえば、「売上を20%上げよう」という目標を立てた場合に、KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)にて、この「売上20%アップ」の達成度合を数値化します。
一方、KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)という指標では、売上20%アップを目指して行った活動などの達成度合、つまりKGIの達成要因となる指標の来店客数、新規顧客数、販促からの反応率などを可視化します。

またこういった細かい数値的な目標については、概要情報を資料としてまとめて、社内共有のために言語化しておくことをおすすめします。

その目標は、スマート(SMART)ですか?:

 SMARTとは、別にすっきりシンプルな目標という意味ではなく、

  • Specific(具体的)
  • Measurable(実行結果が数値などで測定可能)
  • Achievable(達成可能)※無謀な夢物語の目標ではない。
  • Related(経営目標に関係あり)※業務と関係ないお祭りごとではない。
  • Time-bound(時間制約にかなう)

という5項目の英単語の頭文字から取った検証方法です。

企画を立てる際、この検証方法を使うことで実現可能な目標なのかなどを判断できるようになります。
無理な目標設定ではなく、実現可能なSMART目標であることで、稼働に対するモチベーションなども変わってくるため、重要な検証方法の一つとなるでしょう。

目標設定についてはコチラの記事でも紹介しています。

販促費用目安は売上の3~5%

販促施策は、ただお金をかければ効果が出るというものではありません。
取り扱っている商品の利益率や販売数量などによって、投資できる販促費用の上限は変わってくるもの。ただ、一般的な大企業の売上高広告費比率(%)(一部、広告宣伝費に販促費を含みます)は3〜5%の間(※)であるようです。

(※)東洋経済オンライン「『広告宣伝費』が多いトップ300社ランキング」

販促費用の総予算をいくらにしたらよいか分からない、という方は、まずは昨年度の総売上から3〜5%で設定してみてはいかがでしょうか。もちろんそれが正解かどうかは分かりませんが、実行後に適切に効果検証を行うことで、次年度、次々年度以降、自社・自店に最適な売上高販促費比率(%)が導き出されてくるのです。

まとめ:販売促進計画の立て方を知って、業績の向上に貢献

まずは正確な目標を立てること、そして自社・自店にふさわしい販促計画表を作成すること。ここまでできれば、この後の販促施策の選び方がとてもスムーズになります。
 計画表作りには、考えることも多く、多少時間や労力が必要になると思いますが、どうかここはあまり手を抜かずに、熟考を重ねて、是非みなさんのビジネスを成功に近づける基礎としてください。

商圏分析ツールで市場を把握 販促エリアの最適化に

タグ : 販売促進 顧客分析
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