客単価を上げるには?すぐ取り組める施策5選とマーケティングの考え方

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客単価を上げることは、店舗の売上を増加させるために必要です。とはいえ、客単価を上げるためのマーケティング施策は多岐にわたるため、何から手をつければよいか迷っている方も少なくないでしょう。

客単価を上げるには、客単価が下がる要因を知り、適切な対策をおこなう必要があります。客単価を低下させる原因と具体的な対応策を知れば、施策の効果が高まり、無駄な費用や労力を削減できるでしょう。

今回は客単価が下がる要因と上げるために有効な施策、施策をおこなう上で役立つ考え方を解説します。客単価の低下に悩んでいる方や効果的に客単価を上げたい方は、ぜひこの記事を参考に、施策を実行してみてください。

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客単価が下がる要因は主に5つ

客単価を上げて売上を確保するには、売上データを分析し、下がった要因を明確にする必要があります。客単価が下がる要因はさまざまですが、ここでは、以下の5つについて簡単に解説します。

  1. キャンペーンや割引を提供しすぎた
  2. 計画なく商品の値下げをおこなった
  3. 商品やサービスの質が下がった
  4. 顧客一人あたりの購入金額が減少した
  5. 顧客一人あたりの購入個数が減少した

客単価の低下には、複数の要因が関連している場合もあります。それぞれの要因がなぜ客単価の低下につながるのかを理解して、改善策を考える材料にしましょう。

客単価を下げる要因1:キャンペーンや割引を提供しすぎた

客単価を下げる要因として、割引や価格を下げるキャンペーンをおこなう頻度の高いことが挙げられます。

定期的な割引やキャンペーンによって、顧客に「どうせまたすぐに安くなる」という印象を持たせると、本来の価格で販売したときに買い控えが起こる恐れがあります。割引やキャンペーンの実施で短期的に売上が増加したとしても、長期的に見ると客単価が下がる可能性があるでしょう。

客単価を下げる要因2:商品の値下げをおこなった

商品の値下げも客単価を低下させる要因です。原価や経費が変わらない状況で商品の値下げをおこなうと、利益率も減少します。商品を値下げすることで、一時的に客数が増える可能性はあるでしょう。しかし、一度下げた価格を元に戻すことは難しく、客単価を低下させる要因となり得るでしょう。

必要以上の値下げは、顧客に「人気がないのでは」「品質が良くないのでは」といった悪印象を与え、ブランドイメージを損なう場合もあるため、注意しましょう。

客単価を下げる要因3:商品やサービスの質が下がった

商品・サービスの質が下がることは、顧客の購入や利用回数の減少につながり、客単価の低下要因となるでしょう。顧客の安心感や信頼を裏切ることになるため、購買意欲を削ぎ、さらなる客単価の低下を招く恐れもあります。

さらに、特定の商品やサービスの質が劣化することで、店舗全体のイメージ悪化を引き起こす可能性も考えられます。一度悪いイメージが定着すると、商品の購入はおろか、店舗の利用自体を控える顧客も増え、客単価が低下するでしょう。

客単価を下げる要因4:顧客一人あたりの購入金額が減少した

顧客一人あたりの購入金額が減少すると、客単価は下がります。購入金額が減少する理由として、以下のケースが挙げられます。

  • 商品・サービスを増やしたことをきっかけに、顧客が単価の安い商品に移行した
  • 安価な商品の品質に、顧客が満足している など

このような状況であれば、顧客満足度は向上するでしょう。しかし、高額な商品やサービスの販売機会が減り、客単価が低下する要因になるともいえます。

客単価を下げる要因5:顧客一人あたりの購入個数が減少した

顧客一人あたりの購入個数が減少することも、客単価が低下する要因の一つです。購入個数が減少した場合、顧客が商品に魅力を感じていないか、代替となる別の商品やサービスを購入している可能性があります。

客単価を上げるのに有効な施策5選


客単価が下がる要因を把握したら、現状に合った施策を実行しましょう。ここでは、店舗ですぐに取り組める、客単価を上げるために有効な施策を5つ紹介します。

客単価を上げるのに有効な施策1:アップセル・クロスセル

客単価をあげるために有効な施策には、「アップセル」と「クロスセル」があります。

アップセルは「顧客の購入単価アップを目指す手法」

アップセルとは、顧客が以前購入した商品や検討中のものよりも、ランクの高い商品を購入してもらう施策です。

アップセルを成功させるには、まず顧客を分析し、自社の商品・サービスに対する愛着や信頼度、いわゆるロイヤリティが高い層を特定しましょう。ロイヤリティが高い顧客は、商品やサービスへの関心が強く、価格ではなく品質や機能性で判断する傾向が高いためです。

例えば、以下のような手法がアップセルにあたります。

  • 焼肉屋でカルビを選んだ顧客に対し、牛肉の品質について解説し、上カルビや特上カルビなどの上位商品を促す
  • 美容家電を検討している顧客に、高額商品のお試しキャンペーンや口コミ紹介などで「上位商品のほうが顧客の満足度を上げられる」とアピールする

クロスセルは「顧客に関連商品をすすめて購入を促す手法」

クロスセルは関連商品の購入をすすめて、客単価を上げる方法です。関連商品を販売することで「ついで買い」を促し、その商品のみでは解決できないニーズを補う役割を与えられます。分かりやすいクロスセルの例が、以下のような飲食店のセットメニューです。

  • 飲食店で単品注文の顧客に、セットのスープやデザートの購入をすすめる

客単価を上げるのに有効な施策2:特典を用意する

特典を用意する施策も客単価を上げる方法の一つです。特典とは顧客を特別に優遇することです。特典には、会員だけに配布するクーポンやポイント制度などが含まれます。

以下が、特典を用意する施策例です。

  • 特定の日付や曜日にポイント倍率を高く設定し、顧客の購買意欲を促進する
  • 会員ランクを作り、利用頻度が高い顧客に対するサービスやプレゼントを用意する

客単価を上げるのに有効な施策3:まとめ買いを促す

客単価を上げるために、まとめ買いを促す行為も効果的です。顧客がまとめ買いをすることで購入金額と個数が増え、客単価が上がるためです。

まとめて購入された商品を割引する、おまけをつけるなどの工夫をしましょう。また、トレンドやターゲットの嗜好、季節のニーズに合わせたセット商品を販売してまとめ買いを促進するのも手です。

客単価を上げるのに有効な施策4:決済手段を増やす

客単価アップのためには、決済方法を増やすことも有効な施策です。決済手段を増やすことで、顧客の利便性が高まります。

また、各決済システムを運営する会社が実施しているポイントアップキャンペーンのタイミングで、顧客の購入が増える効果も期待できます。

客単価を上げるのに有効な施策5:3つの価格を設ける

客単価を上げるには、同類の商品やサービスに3つの価格を設定する「松竹梅の法則」も効果的です。この法則は、極端なものを回避して利益を守ろうとする心理を利用したものです。

同類の商品を3段階の価格で設定した場合、一番高い商品(松)や一番安い商品(梅)を買って損をしたくないという顧客心理が働き、中間価格の商品(竹)が選ばれやすいといわれます。

品数や食材によって1200円・1500円・2000円の3種類の弁当を販売したとすると、中間価格である1500円の商品が購入されやすくなります。
松竹梅の法則を使って3段階の価格設定をおこない、自店舗で売り出したい商品を中間価格にすることで、客単価を上げられるでしょう。

客単価を上げるには「顧客ニーズの理解」や「顧客価値の向上」も欠かせない

客単価を上げるには、顧客ニーズの理解や顧客価値の向上も欠かせません。客単価を上げる施策は容易に導入できますが、より高い効果を出すには、顧客を深く理解することが大切です。

ここで、客単価を上げるために役立つ、2つの考え方を解説します。

客単価を上げるのに役立つ考え方1:顧客ニーズの理解

客単価を上げるには、顧客ニーズを理解することが大切です。顧客ニーズを理解すると、適切な商品・サービスを提供できるため、顧客満足度が向上して再来店やリピート購入につながり、客単価も上昇するでしょう。

例えば、顧客の悩みがわかれば、問題を解決できる商品のセット販売が可能です。顧客の購入目的が明確であれば、高額商品もすすめやすいでしょう。また、顧客が商品を求めるタイミングがわかると、無駄な広告費を削減して、より効果的な販促施策へ資金を投入できます。

顧客ニーズを理解するには、アンケートやインタビューなどで顧客データを収集し、適切な方法で分析することが重要です。顧客の購買行動を知りたい場合は、最終購入日・頻度・金額でグループ分けをする「RFM分析」、顧客ニーズを理解するには、ニーズ・属性の似ている顧客を分類する「セグメンテーション分析」などをおこなうとよいでしょう。

適切な分析によって顧客ニーズを理解することが、客単価を上げる鍵です。

客単価を上げるのに役立つ考え方2:顧客価値の向上

顧客価値を向上させることも、客単価を上げるために重要です。

「顧客価値」とは「顧客が商品やサービスに対して適正な価格、あるいはそれ以上であると感じる価値」です。顧客価値には、商品やサービスの質以外に、購入過程、使用感なども含まれます。「商品・サービスに対する顧客の満足度」とも捉えられるでしょう。

顧客価値の向上をはかるには、隠れた顧客ニーズにヒントを得て、自店舗だけが提供できる商品やサービスを作り出し、ファンを獲得することがポイントです。顧客の隠れたニーズを知るには、自由記述式のアンケートなどで詳しく探るのをおすすめします。

優れた商品やサービスを提供できれば顧客価値が向上し、顧客は「期待以上にいい商品があるから、多少高くてもこの店で購入したい」と思うでしょう。顧客価値の上昇に加えて顧客満足度が高まると来店頻度が上がるため、結果的に客単価の増加も見込めます。

まとめ:客単価を上げるには原因の分析と効果的な施策が大切

  • 過剰な割引や値下げ、商品・サービスの劣化などが客単価を下げる要因である
  • アップセルやクロスセル、松竹梅の法則などを用いると客単価を上げやすい
  • 客単価を上げるには顧客ニーズを理解し、顧客価値を向上させることも大切

客単価を上げるには、客単価を下げる要因を突き止めることが大切です。要因が明確になったら、客単価を上げるための施策をおこないましょう。施策をより有効なものにするには、顧客ニーズの理解や顧客価値の向上に努めることも欠かせません。

客単価をアップさせるためにも、セット販売やまとめ買いを促す施策など、簡単にできる取り組みからはじめてみましょう。

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タグ : データ分析 マーケティング 分析手法 客単価
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