優良顧客分析とは?企業への貢献度が高い顧客をデータ分析で割り出そう
店舗や企業にとって優良顧客は売上に貢献してくれる大切な存在です。売上アップや経営の安定を図るためにも優良顧客へのアプローチは欠かせません。そこで重要となるのが、優良顧客を把握する「優良顧客分析」です。適切な優良顧客分析をおこなえなければ、優良顧客が離れる売上不振にもつながります。
この記事では、優良顧客とはどのような顧客なのか、ロイヤルカスタマーとどう違うのかなどの押さえておきたいポイントとともに、優良顧客の分析方法などを解説します。
目次
「優良顧客」はどんな顧客が対象?
「優良顧客」とは、以下のような条件を満たす顧客のことです。
- 高頻度で商品を購入してくれる
- 購買金額が高い
- 直近で店舗を利用している
一回の購入金額が高くても、最後に店舗を利用してから一定の時間が経過している、あるいは利用頻度が著しく低い場合は優良顧客とはいえません。SNSでのアピール行動が強い顧客や見込み顧客を含めて優良顧客と定義する場合もありますが、一般的には先に示した条件を満たす顧客を優良顧客といいます。
優良顧客は全体の上位約20%
パレートの法則では、顧客全体の上位約2割が優良顧客であると定義しています。パレートの法則とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した「物事の結果のうち8割は2割の要素によってもたらされる」という法則で、他にも「80対20の法則」「2:8(ニハチ)の法則」「80-20ルール」と呼ばれます。「法則」という名称ですが、数値を導き出す方程式は存在していません。どちらかといえば、普遍的な要素をわかりやすく表現する経験則として認識されています。
ロイヤルカスタマーとの違い
「ロイヤルカスタマー」とは、優良顧客の条件を満たしたうえでブランドや企業に対する深い愛着や信頼、こだわりを持つファン化した顧客です。優良顧客とロイヤルカスタマーは混同されがちですが、優良顧客は利便性や流行など一過性の理由で購入している可能性が高く、ロイヤルカスタマーと違い会社やブランドに対して愛着を持っているとは限りません。
優良顧客の把握がビジネス効率を向上させる
企業貢献度の高い優良顧客を囲い込むことで、店舗の売上アップが期待できます。優良顧客を囲い込むには、対象となる顧客がどのような属性を持っているかを把握して、適切なアプローチをする必要があります。アプローチが成功すれば、優良顧客の企業への貢献度が高まる、優良顧客からロイヤルカスタマーに変化するといった効果が期待できるでしょう。
優良顧客を見つける「優良顧客分析」とは
優良顧客を見つけるには顧客情報の抽出が必須です。情報の偏りを防ぎ有効な分析結果を得るためにも、なるべく多くの情報を収集しましょう。以下に、収集するデータ内容の例を挙げます。
- 会員情報(年齢、性別、職業、住んでいる地域)
- 利用状況(時間、季節、曜日)
- 購入履歴
顧客に関するデータが少ない場合は有効な分析結果を得るのが困難となります。顧客アンケートを実施するなどして必要な情報を収集してから分析をおこなうことをおすすめします。
優良顧客分析に使える分析手法
優良顧客分析をおこなう際には、メジャーなRFM分析やデシル分析を含むいくつかの分析手法があります。分析手法によってデータの活用方法が変わってくるため、目的に合わせた手法で優良顧客分析をおこなうことが大切です。
最もメジャーな「RFM分析」
RFM分析は優良顧客の分析のなかで最も広く使われている手法でしょう。
「Recency(最近の購入日)、Frequency(来店頻度)、Monetary(購入金額ボリューム)」の3つの指標をもとにして、顧客をランク付けしセグメントに分類していきます。
顧客をグループ化する場合は「優良顧客」「休眠顧客」「新規顧客」の3つに分けたり、「新規・リピーター・常連」「離反客・離反予備軍・離反優良顧客」のように細かく分けたりする場合もあります。企業の課題に応じてグループ化することで、より効果的な施策を選定できるでしょう。
RFM分析によってアプローチを必要としている客層の割り出しが容易となり、分析結果をもとに改善施策を選ぶことで、優良顧客離れの防止・リピート率向上・客単価アップなどにつなげられるでしょう。
簡易的な分析ができる「デシル分析」
「デシル分析」とは、一定の期間における顧客の購入金額情報をもとに上位から10等分して、購入金額比率や売上構成を分析し優良顧客を割り出す手法です。
全体の購買金額の比率から、各ランクの購買金額が何%となるかを算出することで、そのデータから各ランクの売上比率を把握できます。その比率を把握することで、どのランクを重要視すべきかがわかるでしょう。
他にも使える分析手法は数多くある
優良顧客分析の手法には、長期的な売り上げの向上に活用できるCPM分析をはじめ、会社・ブランドに対する信頼度や愛着度を調べるNPS分析、ツリー(樹木図)を用いてデータを分析する決定木分析、顧客との関係管理を行うCRM分析などがあります。
分析手法によってやり方や手間、活用方法が異なるため、自社に合う分析方法を選ぶことが大切です。
エリアマーケティングGISを使って優良顧客を把握・分析する手法については、以下で紹介しています。
まとめ:優良顧客をキープして売上アップにつなげよう
高頻度で高額な商品やサービスを購入してくれる優良顧客は、今後も自社への売上貢献が期待できる顧客です。しかし、アプローチを怠っていると貴重な優良顧客も離れてしまいかねません。アプローチが成功すれば、優良顧客からロイヤルカスタマーへの変化やさらなる貢献度アップが期待できるため、優良顧客分析をおこないターゲットに向けた適切な施策の考案に活用してみましょう。