顧客ロイヤリティを向上させる方法と数値化させるための計算式をご紹介
売上を上げて一定の顧客を獲得していくには、顧客ロイヤリティの向上が欠かせません。
この顧客ロイヤリティを高めるメリットは、既存顧客の継続利用や新規顧客の獲得などさまざま。しかし、一言で「顧客ロイヤリティ向上を目指す」といっても何をしていいか分からない人は多いでしょう。
この記事では、顧客ロイヤリティを高めるための方法や向上したときに得られる効果、具体的な指標の計算方法を解説していきます。
目次
顧客ロイヤリティの上げ方
顧客ロイヤリティとは、顧客のブランドやサービス対する愛着や信頼を総合的に表したもの。
既存顧客からの売上を支えるには顧客ロイヤリティを上げることが非常に重要です。
ではどのように顧客ロイヤリティを上げるか。結論から言えばサービスや製品の購入後にも積極的に顧客への提案、サポートを行う「カスタマーサクセス」が必要となります。
顧客は購入したものを利用して自分の希望が叶う、課題が解決するといった過程で提供者への信頼や愛情を感じるため、
「顧客の成功」こそが顧客ロイヤリティ向上の鍵となるのです。
顧客体験のストーリーから分析する
顧客ロイヤリティを高めるには、顧客が製品やサービスを購入する瞬間だけではなくそこに至る状況や体験、そして購買後の目的などを含めたストーリー分析を行うことが重要です。
そのためには、顧客がどんな目的意識をもって自社を利用しているのかを個別に分析するOne-to-Oneマーケティングを活用しましょう。同じ製品を購入した人がいても、それぞれそれを選んだきっかけや心理的欲求は異なります。全員に同じマーケティングを行っても、中には「心に響かない」と感じる顧客もいるでしょう。
全ての利用者に満足感を与え、信頼に足るブランドだと認識してもらうためには、それぞれのストーリーを分析し、マーケティングの方向性を変えていかなければならないのです。
カスタマーサクセス/サポートへの問い合わせを分析
カスタマーサクセスやカスタマーサポートに寄せられる意見やクレームも顧客ロイヤリティを高めるための有益な情報です。カスタマー部門は顧客と直接やりとりできる数少ない窓口なので、顧客目線に立った意見を効率的に収集できます。そこで得た顧客の心理を吸い上げ商品開発やサービスの改善に活用できれば、より顧客の心に寄り添った企業として信頼を得られるでしょう。
ここで忘れてはいけないのは意見を送らない「サイレントカスタマー」の存在です。
サイレントカスタマーは企業へ直接意見を言わず、SNSやブログで情報発信している場合が多く、顧客だけではなくその情報を生んだ潜在顧客を失ってしまう可能性があるのです。
サイレントカスタマーを増やさないために、問い合わせフォームの簡略化や素早い対応など、顧客が意見を伝えやすい環境を作りましょう。
解約顧客や顧客離反の要因を分析
顧客が競合他社へと離反した時や解約を行ったときも、顧客ロイヤリティの改善をおこなうチャンスです。
もちろん、離れていく顧客をただ見送っているだけでは顧客ロイヤリティの上昇は見込めません。大切なのは「顧客がなぜ自社のサービスから離れてしまったのか」を追求・分析し、それをもとにサービスや製品の改善をおこなうことです。顧客に不満をヒアリングしその後の開発に活かせればサービスや製品の品質向上、そして「ユーザの声を反映してくれる」という信頼度の向上に繋がるでしょう。
ロイヤリティを上げた場合のメリット
顧客ロイヤリティは売上や契約数に影響を及ぼすだけではなく、認知度の上昇や新規顧客開拓など様々な効果が期待できます。
顧客ロイヤリティを高めることで得られるメリットを具体的に把握し、カスタマーサクセスに繋げましょう。
解約率の低下
顧客ロイヤリティを高めると解約率を下がるという効果があります。
成熟した市場では、サービスや製品の品質だけでは競合他社との差別化がしづらくなっています。そんな中で解約や乗り換えを防ぐには、「このブランドじゃないとダメだ」というファン心理を植え付ける必要があります。
顧客ロイヤリティが高い顧客は製品やサービスのスペックだけではなく、ブランドや企業そのものに価値を感じるようになります。結果、たとえ同等のスペック品が競合他社で提供されていてもそちらに移らない強固なファン心理を持つのです。
顧客単価の上昇
顧客ロイヤリティの向上は顧客単価にも影響を与えます。
ブランドや企業への愛情やファン心理を強く持った顧客は必要なもの以外でも、その企業が提供している別サービスや製品に関心を示すようになる傾向があるのです。
たとえば、A社の提供しているスマートフォンユーザが、パソコンやその他のガジェットをA社のもので統一しようと考えるケースなどは、まさに顧客ロイヤリティ向上による顧客単価アップの事例といえます。
顧客ロイヤリティの向上は既存サービスへのリピートだけではなく、新たなサービス提供のチャンスを生み出すというメリットもあるのです。
新規顧客獲得につながる
顧客ロイヤリティの向上は、新規顧客開拓にも効果を発揮します。
ロイヤリティが高い顧客は、SNSや口コミサイトでブランドやサービスに対して好意的な情報を発信するため、それを見て製品やサービスに興味を持った新規顧客の増加が見込めるのです。
顧客自身が広告塔となるマーケティング手法は「バズマーケティング」や「口コミマーケティング」と呼ばれています。インスタグラムやTwitterで口コミが上がった飲食店は予約で埋まったり、フォロワー数が多いユーザが紹介したアイテムが売り切れたりという事例がこれにあたります。
低コストで爆発的な宣伝力を見込めるこの手法を取り入れるためには、ポジティブな情報を発信したいと考えるロイヤリティが高い顧客を増やすことが必須なのです。
NPS(ネットプロモータースコア) の定義と計算方法
顧客ロイヤリティを簡単な指標で表したものが「NPS(Net Promoter Score)」です。
NPSは、顧客のブランドに対する愛着を数値化したもので、「自社ブランドのサービス、製品を他者に薦める可能性はあるか」というアンケートへの回答で計算できます。
NPSの具体的な計算方法
NPSの具体的な計算方法ですが、まずはこの質問に対して0〜10の数値で回答を用意します。そしてその数値を以下の3カテゴリーに分類します。
批判者…0〜6点
中立者…7〜8点
推奨者…9〜10点
批判者はサービスに対して不満を抱いている顧客、反対に推奨者はサービスに満足している顧客を表しています。中立者はサービスを利用しているが満足度も不満度もないという顧客層です。
この数値を「推奨者の割合-批判者の割合」という計算に当てはめることでNPSの数値が導き出されます。
例えば100人へのアンケートで推奨者が20人だった場合、割合は20%です。一方批判者は40人だった場合、割合は40%でNPSは-20ポイントという計算になります。
なおNPSの適正値は業種や提供するサービスによって異なるので、自社の業種における平均ポイントや売上上位企業のポイントを参考にして比較や目標値の設定を行いましょう。
まとめ:顧客ロイヤリティはお客様の成功と企業の発展に欠かせない指標の一つ
顧客ロイヤリティはブランドへの信頼や愛情を高め、長期的に利用してもらうために欠かせない指標です。顧客それぞれの心理を分析し、常に顧客の意見に耳を傾けるカスタマーサクセスを心がければブランドを信頼した顧客がファン化し、利用を続けるだけではなく新規顧客への広告宣伝を担ってくれるようになります。
顧客ロイヤリティの向上は顧客の成功や満足感を充実させるだけではなく、企業の成長発展を支えるのです。