【顧客データの活用方法とは】顧客データの見える化と、データの取得方法とは
顧客データを収集しているものの、どのように活用すべきか、または顧客データの収集方法や整理する方法は、最適な方法については悩みが尽きないですよね。
お客様が過去に買い物をした履歴などの顧客データは、目的をもって分析することで、お客様がどのような購買傾向にあるかを分析したり、あるいは自社・自店の売上がどうなるか予測を立てたりすることが可能になります。
ただ、顧客データを活用するためには、「収集」「分析」などにテクニックが必要です。
このコラムでは、データの取得から活用までの一連の流れについて分かりやすくご説明します。
どんな顧客データが活用できるか?
顧客データとは、ひとことでいうと「お客様の情報」です。
顧客データを全く持たないで商売をしている会社はないですよね。個人商店なら紙の台帳かもしれないし、事務所の共用事務パソコンに入っているエクセルで書き留めているところもあるでしょう。IT担当者の管理のもと、納品書/請求書/購買履歴データベースを組んでいるところもあるかもしれません。
こうった情報を、「取引履歴」や「請求書発行」などのためにまとめるだけではなく、分析を進めていくことで「売上を上げるための情報」として活用できるようになります。
しかし、ただ情報を眺めていても始まりません。顧客データを活用するにあたっては、基礎的な知識を理解しておく必要があります。
まず、顧客データには、「定量データ」と「定性データ」がある、ということから覚えておきましょう。
定量データとは
たとえば、顧客の性別/年収/結婚しているか否か/世帯人数/過去に購入した商品の種類と個数など、数値化できる、もしくは顧客がYES/NOで回答できる情報のことを、「定量データ」と呼びます。
定性データとは
たとえば、過去のお客様からの問い合わせやクレーム内容の一覧、SNSに投稿された自社・自店の口コミ情報など、数値化するのが難しいデータ、文字情報などを「定性データ」と呼びます。単なる定量データの数値情報からは分からないことを分析しようとする際に活用します。
顧客データを活用してわかることとは
では、収集した定量・定性データには、実際にはそれぞれどのような利用価値があるものでしょうか?
取得する定量的な顧客データ | どのように活用できるか |
名前、住所など | お客様居住地域の地域特性、性別の推定、エリアマーケティングGISとの連携 |
購入の時期 | ボーナスの時期に購入、月末給料日後に購入、など季節変動の予測 |
購入商品、点数、金額、その時期的な推移傾向 | 嗜好の変化、将来の購入金額予測 |
購入頻度、その推移 | 将来の離脱防止のための施策立案 |
年代/家族構成/職業 | 年代や家族構成に合わせたDM・キャンペーン |
取得する定性的な顧客データ | どのように活用できるか |
お問い合わせ/クレーム入電などの履歴 | 顧客目線の新規アイデアや、自社・自店業務改善課題に転換 |
営業アプローチの記録とその結果など | 社内業務マニュアル作成 |
過去の販促施策(DM、広告など)への反応 | 施策の効果検証 |
お客様アンケート | アップセル(高額商品への誘導)・クロスセル(関連商品の同時購入)など |
上記はあくまでも一例ですが、これだけを見ても、「今すぐ顧客データを活用しなければ!」と思いますよね。さらに、複数の定量・定性データを、仮説を立てた上で重ねあわせていくと、以下のような深い部分まで見える化ができる可能性があるのです。
優良顧客の属性がわかる
しっかりと顧客データを分析することで、優良顧客、つまり「売上・利益の大きいお客様」のセグメント、実店舗であれば「来店・来訪回数の多いお客様」の属性などを見極められるようになります。
この優良顧客というセグメントは、お客様全体の2割であるケースが多くなっていますが、売上の8割を構成していることが多くなっています(=パレートの法則)。その2割のユーザーがどんな定量データ属性を持っているかを知ることで、「優良顧客を増やすための販促施策には何が有効か」という仮説を立てられるようになるでしょう。
特定商品の購買傾向を利用して売上を上げる
顧客データの分析からは特定の商品が、どのようなお客様から購入される傾向が高いかなどを知ることができます。
たとえば自社・自店の看板商品となるアイテムについて、「どんな属性の顧客に、より多く買い上げられているか」を知ることで、商圏の中で販促を強化していくべき顧客属性を定められるようになります。
売上が上がる商品・サービスの組み合わせがわかる
顧客データの活用は顧客を知るためだけではなく、商品やサービス同士で、相性のいい組み合わせを把握できます。
たとえば、食品スーパーなどレジスターが置かれている業種では、日々大量に発生するPOSデータを細かく分析してみることで、無数に組合せがある併買商品の中からゴールデンルールになるかも知れない規則性を発見できる可能性があります。(例:紙おむつとビールの併買、など)
自社・自店の業務改善課題がわかる
クレームや商品/サービスに関する問い合わせの分析からは、課題の見える化や事業の改善点などもわかるようになります。
クレームや問い合わせの集計によって、自社・自店の業務改善課題が浮き彫りとなり、顧客満足度をあげるきっかけにすることもできるからです。そのため、クレームや問い合わせ自体を集計した情報を「宝の山」ととらえる企業も少なくありません。
広告の配布/配信エリアがわかる
既存の優良顧客の属性がわかれば、新規顧客はその既存顧客と近い属性のユーザー層にアプローチすることで、獲得可能性が高まります。
また、顧客データをエリアマーケティングGISと連携させれば、商圏の中に顧客化していない、潜在的な優良顧客が残っている地域を地図上で浮き彫りにできるでしょう。
顧客データを集めるポイントや方法は?
このように、顧客データを収集することは自社・自店の売上アップには欠かせない分析手法となっています。
では具体的には、どのように顧客データを集めれば良いのでしょうか?
定量データの収集方法
定量データを集める際の代表的な例としては、ポイントカード・システムへの会員登録が挙げられます。自社・自店HPにエントリーフォームを設置し、お客様自身にて直接スマホやパソコンから必要事項を入力してもらうケースです。あるいは紙のアンケート用意を配る、という場合もあるかもしれません。
定性データの収集方法
定性データ収集の際も、アンケート回収は有効な方法の一つです。また、企業向けLINEページなどのサービスを通じて、お客さんのSNSアカウントを把握できているのならば、その投稿をチェックすることで要望や不満が見えてくることもあります。
データ収集のポイントは、”何を達成したいか”で、”何のデータを収集するか”を決める
いずれにしても、顧客データを活用して自社・自店のどのような販促上の課題を解決したいかという点を、データ収集を始める前に明確にする必要があります。達成したい課題が決まれば、必要なデータが定量か定性か、いずれの項目について収集するか、ということがわかります。
たとえば、代表的な顧客データ分析手法に「RFM分析」という方法があります。
これは、
- Recency(直近購入日)
- Frequency(購入頻度)
- Monetary(購入金額)
の3つの指標に基づいてお客様を分類し、属性を
- 優良顧客
- 継続顧客
- 休眠顧客
- 新規顧客
に分けることで、顧客属性ごと別々の販促施策をしかける資料とする、といった分析手法です。
この分析を行う場合には、顧客購買履歴(定量データ)の集積、分析が必要となります。
データを取得するには、社内の仕組みで取得するか、外部サービスを使用する
自社・自店の顧客データを収集するためには、自社・自店内で顧客データ収集の仕組みづくりを進める必要があります。先に述べたように、主な取得方法としては「ポイントカード・システムへのエントリーフォーム(年齢/住所/性別/世帯類型)」「アンケート」「SNS企業ページ」などがあります。RFM分析のためには、レジスターのPOSデータ活用も欠かせません。
まずは、このように自社・自店が持っているリソースをフル活用することで、どのような課題を解決したいか、じっくり検討してみてください。
もし、どうしても自社・自店が持っているデータだけでは不足するような大がかりな調査・研究が必要、あるいは超特急で分析を行う必要がある、などの場合には、コストはかかりますが、外部のリサーチ会社、アンケート運営会社などを活用する方法もあります。
まとめ:顧客データの分析をはじめるためには
顧客データは、定量データや定性データを集計・分析していくことによってはじめて、「課題の見える化」ができるようになるもの。
まずは、顧客データの活用によって解決したいと考えているあなたの課題について、一度洗いざらいに書き出してみてください。自社・自店の売上向上につながるヒントが、顧客データの中には隠れていますよ。