会員データは3つの手法で分析しよう!データの収集方法や分析手法を解説
顧客の会員データを集めている際、「何のために分析をおこなうのか、わからない」「どのようにデータを扱えばよいのかわからない」と悩む方は多いのではないでしょうか。会員データは収集するだけでなく、分析し、活用することでデータが持つ価値を最大限に引き出せます。
今回は、企業において会員データを分析するメリットやデータの収集方法、効果的な分析手法を解説します。
会員データを適切に分析し、自社のマーケティング活性化に役立てたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
会員データ分析の目的は「顧客視点でのマーケティング」
会員データは、分析することで顧客の属性や行動データ、購買履歴などを詳細に把握し、顧客についての深い理解を得られます。
顧客を正しく理解することは、会員データ分析の目的である顧客視点でのマーケティングを実践するうえでの基盤となり、ビジネスの成功に欠かせません。
個別の体験を提供する「マーケティング4.0」の実現に役立つ
顧客視点で重要な「マーケティング4.0」は、フィリップ・コトラー氏の提唱したマーケティングの概念。マーケティング1.0は1990年代に提唱され、そこから2.0、3.0を経て、2014年に4.0が提唱されました。マーケティング4.0は「顧客の自己実現をかなえる商品」によって、「良質な体験を個別に提供する重要性」が唱えられています。
このマーケティング4.0では、顧客を単なる「ターゲット」ではなく個々の人間として捉え、彼らの好みやニーズに合わせて製品やサービスを提供します。これにより、顧客との深い関係を築き、ファン化や忠誠度の向上を実現可能です。
まずは顧客に対する理解からマーケティングを始める
マーケティング4.0を実現するには、まずは顧客に対する理解を深める必要があります。顧客を理解するのに役立つのが、属性や購買に関わる傾向を把握するための会員データ分析です。
会員データ分析で得た洞察をもとにマーケティング施策を行うと、顧客理解が深まり、顧客の視点に立った取り組みを導入できます。その結果、一人一人に対して「良質な体験」を提供できるようになります。
会員データ分析に基づいた商品やサービスのカスタマイズ、パーソナライズされたコミュニケーション、特定のターゲットに焦点を当てたキャンペーンなどを行うことで、「マーケティング4.0」の実現に繋がるでしょう。
会員データを分析する3つのメリット
会員データを分析するメリットはさまざまで、その一部として以下の3要素があります。
- 顧客ニーズを理解できる
- 新商品やサービス開発のヒントを得られる
- 現在の施策について実際の効果を把握できる
顧客ニーズの把握や新商品の開発、既存施策の効果測定など、会員データは、現代のマーケティング戦略において欠かせないツールです。
ここでは会員データを分析して得られる3つの大きなメリットを解説します。
メリット1:顧客ニーズを理解できる
会員データ分析のメリットの1つは、顧客のニーズを深く理解できること。データの分析を通じて、顧客の好みや購買履歴、ライフスタイル、趣味嗜好などを把握できます。
特に近年は顧客のニーズがますます多様化しているため、従来と同じアプローチではニーズをキャッチしにくくなっています。顧客一人一人によって、商品やサービスに求めるレベルや購入に対するモチベーションもさまざま。
そこで、会員データ分析で顧客を複数の切り口から細かな特性ごとに分類し、顧客自身もまだ気づいていないニーズに応える商品やサービスを提供することが大切だといえます。
メリット2:新商品やサービス開発のヒントを得られる
新商品やサービスの開発につながるヒントを得られることも、会員データの分析がもたらすメリットの1つです。既存顧客のデータを分析して細かなニーズを把握することで、新たな市場での成功につながる洞察を得られる可能性があります。
会員データの分析は、事業の現状把握だけでなく、新たなビジネスチャンスを見つける上でも役立てられるでしょう。
メリット3:現在の施策について実際の効果を把握できる
会員データ分析は、現時点で実施しているマーケティング施策の効果測定にも有用です。会員データ分析の結果から、進行中の施策が売上にどれだけ貢献しているのかを評価し、仮説の正誤を確認できます。
効果検証をおこなう際は、さまざまな角度からデータを分析し施策の効果を可視化することがポイントです。これにより、次のマーケティングプロセスへのスムーズな移行が可能となり、効果検証のサイクルを効率化できます。
会員データ分析で使用するデータの収集方法
会員データ分析で取り扱うデータの収集方法は、主に次の4種類があります。
- Webサイトの問い合わせフォームを使ったヒアリング
- 問い合わせ履歴の活用
- Webサイトの閲覧履歴の活用
- 購買履歴の活用
収集方法によって得られるデータの特徴が異なるため、マーケティングの目的に合わせて適切な収集方法を選びましょう。
それぞれの特徴については、以下のとおりです。
データ収集方法 | 特徴 |
・Webサイトの問い合わせフォームを使ったヒアリング | ・顧客がWebサイト上で問い合わせフォームを使用し、提出した情報を収集する 顧客の問題や質問に対する理解を深め、対応する際に役立つ |
・問い合わせ履歴の活用 | ・顧客との過去のコミュニケーションや対話ログを記録し、分析の対象とする ・顧客の過去の関心事や要望を把握し、より効果的なカスタマーサポートや販売提案をおこなうのに役立つ |
Webサイトの閲覧履歴の活用 | ・顧客がWeb上でどこのサイトを訪れ、どのコンテンツを閲覧したかを追跡する ・顧客の関心や嗜好を把握し、パーソナライズされたコンテンツ提供やサービス提案に役立つ |
購買履歴の活用 | ・顧客が過去に購買した商品やサービスの履歴を収集する ・顧客の好みや購買パターンを理解し、クロスセルやアップセルの機会を特定するのに役立つ |
会員データ分析でよく使われる3つの分析手法
会員データ分析は、マーケティング戦略の最適化や効果的な顧客対応をおこなうために不可欠です。では、会員データを効率的に分析するにはどのような手法を取り入れればいいのでしょうか?
ここでは会員データ分析でよく使われる以下3つの分析手法について詳しく解説します。
- セグメンテーション分析
- RFM分析
- デシル分析
それぞれの分析手法を理解し、会員データ分析に活用しましょう。
会員データ分析の手法1:セグメンテーション分析
「セグメンテーション分析」とは、会員データを属性や特徴に基づいてグループ分けする分析手法です。
- 地理的変数(周りの環境、人口規模、気候など)
- 人口動態変数(年齢、性別、所得など)
- 心理的変数(価値観、嗜好、趣味など)
- 行動変数(ロイヤルティ、使用頻度、購買状況など)
このような変数を用いて顧客層を細かく分類し、それぞれのセグメントに対する理解を深めることで、ターゲットに適した施策の実行が可能です。
セグメンテーション分析の際は、
- 市場の「優先順位(Rank)」
- 「規模の有効性(Realistic)」
- アプローチの「到達可能性(Reach)」
- 市場規模や購買力などの「測定可能性(Response)」
この、4Rの原則を意識しましょう。
会員データ分析の手法2:RFM分析
「RFM分析」は、以下の3要素で会員をグループ分けし、売上貢献度が高い顧客グループを特定する手法です。
- 直近の購入日(Recency)
- 購入頻度(Frequency)
- 購入価格(Monetary)
RFM分析を取り入れることで、優良顧客や休眠顧客といった顧客の特性を明確にし、特定のセグメントに対する有効な施策の実行が可能です。これにより、購入率の向上や売上の増加が期待でき、精度の高いマーケティングの実行につなげられます。
会員データ分析の手法3:デシル分析
「デシル分析」は購入金額に基づいて会員をグループ分けする手法で、購入金額が高い順に並び替え10個のグループに分割します。
会員全体の売上における各グループの割合や、各グループの会員の購入金額などを把握し、特定のグループにおける課題の発見に役立ちます。
売上貢献度の高いグループに焦点を当てた販促施策を集中的に実施することで、リピート率の向上や売上増加を実現でき、マーケティング効率の向上につながるでしょう。
まとめ:会員データ分析で顧客視点のマーケティングを優位に進めよう
- 会員データ分析の目的は、顧客視点でのマーケティングをおこなうこと
- 顧客ニーズの理解やビジネスチャンスの発見、施策の効果測定などに役立つ
- 会員データ分析を成功させるには、適切なデータの収集・分析が欠かせない
会員データの分析は、顧客を正しく理解し、適切なマーケティングアプローチを進めるうえで欠かせません。分析結果を活用することで、顧客に対して個別の体験を提供するマーケティング4.0の実行にもつながります。
会員データ分析をマーケティングに役立てるために、自社の目的に合った方法でデータを収集・分析しましょう。