バスケット分析で購入の傾向を知ろう!買い物カゴから読み取れる情報とは?

顧客・データ分析
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IT用語としてよく使われるバスケット分析は、ビジネスにおけるデータマイニングの手法の一つであり、店舗やECサイトのデータ分析において欠かせない分析手法です。しかし、バスケット分析の仕組みや活用方法について詳しくわからない人方も多いのではないでしょうか。

今回は、バスケット分析の基礎や効率的におこなうポイント、具体的な分析手法の使い方について解説します。

商品の売り場を最適化し、売上アップを目指したい人はぜひ最後まで読んでください。

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バスケット分析とは「買い物かご」を使った分析手法

バスケット分析は、顧客がレジに持っていく買い物かごの中身を解析する分析手法です。POSデータやレシート、トランザクションデータをリサーチし、販促施策につなげていくことが目的です。

買い物かごを1つの単位として併買された商品を調査することで、“どの商品が一緒に購入されやすいか”の傾向を見出せます。購買傾向を理解すると、販売強化のために商品を陳列、キャンペーンの促進につなげるといった対応ができることがメリットです。

さらに、バスケット分析の結果は、自社製品の開発や消費者に配信するレコメンドメールのコンテンツに反映できるため、クロスセルやアップセルの訴求にも有効です。

バスケット分析は、商品単体ではなく複数商品の売上を分析するアソシエーション分析の一種で「マーケットバスケット分析」とも呼ばれています。

バスケット分析は「おむつとビール」から広まった

バスケット分析が重要視されたきっかけは、1992年にアメリカのドラッグストアで、コンサルティング会社がおこなったデータ分析にあります。

当時の「ウォールストリートジャーナル」に、「ある企業で17~19時に紙おむつを買う男性は、同時にビールを買う可能性が高い」という内容の記事が掲載されたといわれています。バスケット分析の仕組みを具体的に説明したこの例から、売れる商品の組み合わせで売り場を配置し、商品開発をおこなうことが大切だと考えられます。

ただし、実際にはおむつとビールの購買データを使った分析をしたという報告や、2つを同じ売り場で販売した結果として売上が伸びた事象はなく、あくまで都市伝説に近い話のようです。

バスケット分析を効率的におこなうポイント

バスケット分析を効率的に利用するポイントは、次の2つです。

  • 安定した売れ筋商品は対象外とする
  • 組み合わせの特徴を知って分析する

次の項から、なぜ効率的なバスケット分析にこの2点が重要なのかを解説します。

安定した売れ筋商品は対象外とする

バスケット分析を効率的におこなうには、売れ筋商品は分析から外しましょう。

普段から安定して売れている商品をバスケット分析の項目に設定すると、傾向をつかみにくくなるためです。また、シーズンやキャンペーンの影響を受けにくく、顧客層の幅広い商品が分析に含まれていると、分析結果が分かりづらくなります。

例えば、性別・年齢を問わず購入されやすい飲料水や、嗜好品でありシーズンの影響を受けにくいたばこなどは購入する顧客層が広いため、バスケット分析の対象外とするべきでしょう。

自店舗で販売している商品ジャンルに合わせて、対象にするべき商品と除外すべき商品を分類することが欠かせません。

組み合わせの特徴を知って分析する

効率的なバスケット分析をおこなうためには、組み合わせの特徴を知りましょう。

商品またはカテゴリー同士のどちらでおこなうかによって、バスケット分析の結果は大きく異なるためです。商品同士で分析すると詳細な結果は生まれますが、母数が少ないために誤差が生じやすくなります。一方、カテゴリーごとに分析をおこなうと母数が大きいため、精度は高い反面、詳細度が低下します。

分析する商品ジャンルによって存在する、それぞれの利点を活かした分析が重要です。

リフト値が高い組み合わせの場合、商品の売り場を近づけても売上アップにつながるとは限りません。リフト値とは、バスケット分析に使用する、マーケティング施策の効率性を示す指標です。単に併売率が高い商品を近くに置くのではなく、同日にセールやキャンペーンなどのサービスをおこなうなど、組み合わせの特徴によって異なるマーケティング施策が求められます。

バスケット分析の具体的な実施方法とは?

では、どのような方法でバスケット分析をおこなうと、マーケティングに効果的なデータを得られるのでしょうか。

ここでは、バスケット分析の具体的な実施方法について、分析に使用する4つの指標を紹介した後、分析結果の相関性を可視化させる方法を解説します。より効率的にバスケット分析をおこない、購買傾向を確認したい場合は、データ解析ツールなどのシステムを活用すると良いでしょう。

または、マーケティングリサーチの支援を行っている企業に、調査を依頼するのも方法の一つです。依頼先を決める際は、資料請求や過去の事例が載っているページを確認するなどして、信頼できるパートナーを見つける必要があります。

分析に使用する4つの指標

バスケット分析は、アソシエーションルールを示すために次の4つの評価指標を用いておこなうのが基本です。

  • 支持度
  • 信頼度
  • 期待信頼度
  • リフト値

それぞれの項目の概要と計算方法をチェックしていきましょう。
説明の便宜上、同時に購入される商品名はAとBにしました。

支持度

「支持度」は、ある2つの商品を同時購入する顧客が、全ての顧客のうちどのくらいの割合であるかを表します。計算式は次の通りです。

支持度=商品A+Bの購入者数/購入者全体数

支持度が高いほど同時購入者の割合が高く、関連性が高いと判断できます。反対に、支持率が低い場合は、2つの商品の関連性は低いといえます。

信頼度

「信頼度」は、商品Aを購入した顧客のうち、商品Bも同時に購入する確率を示した数値です。次の式で計算できます。

信頼度=商品A+Bの購入者数/商品Aの購入者数

商品Bを購入した顧客が多いほど、信頼度が高くなります。信頼度が低い場合は、どうすれば商品Bを商品Aと一緒に購入してもらえるかを考える必要があるでしょう。

期待信頼度

「期待信頼度」は、全顧客における、のうち、商品Bを購入した人の割合を示した数値です。次の計算式によって求められます。

期待信頼度=商品Bの購入者数/購入者全体数

商品Bの購入者数が多いほど期待信頼度が高くなるため、商品Bにどの程度の魅力があるのかが測定できます。

リフト値

「リフト値」とは、期待信頼度に対する信頼度の割合を算出した数値です。計算式は次の通りです。

リフト値=信頼度/期待信頼度
    =(同時購入者数/商品Aの購入者数)/(商品Bの購入者数/購入者全体数 )

リフト値が高いほど同時購入率が高く、反対に値が低い場合、商品Bは単品購入されやすい傾向にあるといえます。リフト値が1以上であれば、同時購入が起こりやすいと判断できます。

バスケット分析の相関性は表で可視化する

バスケット分析における各指標を計算した後は、相関性を知るために条件を指定して表を作成します。各項目の数値を集計し、購買傾向を可視化させましょう。

ここでは、全体購入者数と商品A・B・Cの購入者数から4つの指標を出して、表上で商品A+Bと商品A+Cの同時購入を選択した場合について比較します。

「◆購入者数」に示されている数で計算した4つの指標を可視化したのが上の表です。

商品を購入した顧客全体のうち20%、つまり5人に1人は商品AとB、あるいはAとCを同時に購入すること、
商品Aと商品Cの組み合わせのほうがリフト値がは高く、同時購入されやすい傾向にあること
などが分かります。

このように、これまで見えなかった顧客の購買傾向を把握できるバスケット分析は、マーケティング戦略の精度を高めるために欠かせない分析手法といえます。

まとめ:バスケット分析を活用してマーケティング精度を高めよう

  • バスケット分析は、買い物かごを使った分析手法
  • 売れ筋商品は対象外とし、組み合わせの特徴を生かすことがポイント
  • 相関性を示すのは「支持度・信頼度・期待信頼度・リフト値」の4つの指標

バスケット分析は顧客の買い物かごの中身を解析する分析方法で、併買された商品を調べて共通の傾向を把握できます。

売れ筋商品を除外して、商品やカテゴリーなどの組み合わせの利点を知った上でおこなうことが、バスケット分析の効率を上げるコツです。

まず「支持度・信頼度・期待信頼度・リフト値」の4つの指標を算出しましょう。各指標の算出後に表を作成して相関性を可視化させると、顧客の購買傾向を読み取りやすくなります。

POSレジ会計をおこなう小売業の人は、ぜひ今回の記事を参考にバスケット分析を実践し、マーケティング精度を向上させられるようにしましょう。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : フレームワーク 分析手法 店舗運営
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