ジオ・デモグラフィックスで地域ごとの消費特性が分かる!具体的事例を紹介します
「ジオ・デモグラフィックという言葉をは聞いたことはあるが、何のことなのかいまいちわからない」と悩んでいる人は少なくないでしょう。
顧客や消費者をより正確に理解するには、ジオグラフィックとデモグラフィックを理解したうえで分析することがポイントです。
この記事ではジオ・デモグラフィックの概要、これによってわかることなどを解説します。今回の内容を参考にして商圏の顧客分析をおこない、出店戦略やマーケティング戦略の立案につなげましょう。
目次
良質な分析結果を得られるジオ・デモグラフィックとは?
「ジオ・デモグラフィック」とは、ジオグラフィック(地理的属性)とデモグラフィック(社会経済的属性)を組み合わせた造語で、顧客を年齢や職業などのデモグラフィックで分類し、住所や地域情報といったジオグラフィックデータを結びつけたものです。
そのほか、顧客分析におけるセグメントには、顧客の心理特性や購買傾向を示すサイコグラフィック(心理的属性)、顧客の行動そのものや行動履歴を示すビヘイビアル(行動的属性)が存在します。サイコグラフィックデータとビヘイビアルデータを加えた4つの指標を基準として、セグメンテーションをおこない、ターゲティングにつなげるのが基本です。
ジオ・デモグラフィックを活用して地域ごとの傾向や特性を地図上で把握することで、マーケティング・商圏分析の際に、より深い洞察を得られるようになります。
ジオ・デモグラフィックによって顧客ニーズや嗜好を理解することは、効果的なエリアマーケティング戦略の構築につながります。
ジオ・デモグラフィックを活用して得られた良質な分析結果をもとに、それぞれの地域に合ったプロモーション手法やコンテンツ戦略、広告配信などを展開することで、効果的なエリアマーケティングが可能です。
そもそもジオグラフィックとデモグラフィックとは?
ジオ・デモグラフィックをマーケティングや商圏分析に活用する前に、ジオグラフィックとデモグラフィックが、それぞれどのような要素で構成されているかを理解しましょう。
ジオグラフィックとは
「ジオグラフィック」とは、国や地域、地区といった地理的属性を軸にした情報です。エリアマーケティングには欠かせない要素の一つです。
ジオグラフィックには、次の項目が挙げられます。
- 地域特性
- 気候
- 人口密度
地域によって気候などの地理的な条件が異なるため、同じ商品・サービスを提供する場合でも、エリアごとのデータを活用した戦略的なジオマーケティングが求められます。これらの統計データは、総務省統計局のサイトから国勢調査のデータをダウンロードするほか、地理情報システムのGISを活用して収集可能です。
特にマーケティングの初期段階で用いられることが多く、ジオグラフィックデータをもとにした商品展開の実施により、商品の売れ残り回避や売上アップが期待できるでしょう。
デモグラフィックとは
「デモグラフィック」とは社会経済的属性を軸とした人口統計学的なデータです。ジオグラフィックデータと合わせて活用することで、エリアマーケティングの精度向上につながります。
デモグラフィックの主な変数の項目は以下のとおりです。
- 性別
- 年齢
- 職業
- 所得
- 居住地域
- 家族構成
- 趣味嗜好
- ライフスタイル
デモグラフィックデータは、顧客を属性ごとにセグメント分けする際に有用であり、商品の開発から販売、既存商品の改善など、店舗ビジネスの成長を目的としたあらゆる場面における顧客分析に役立ちます。
データのリサーチは国が収集した公的データやレポートを閲覧するほかに、独自のアンケートで市場調査をおこなう、商圏分析用GISなどの分析ツールを活用する方法があります。
デモグラフィックデータをもとにマーケティング施策を実行することで、店舗の集客率や商品の購入率を高められるでしょう。
ジオ・デモグラフィックスで分かる消費特性の事例
ジオ・デモグラフィックによって、従来のような「どこに何人のターゲットが存在しているのか」「エリアにはどのような世帯が住んでいるのか」といった数値的な特徴を示すデータのみに留まらず、資料から地域ごとの詳細な消費思考を分析できます。
ここでは消費特性の分析事例として、次の2つのケースを解説します。
- 都心富裕層の場合
- 郊外住宅地の場合
それぞれの事例を参考にして、ジオ・デモグラフィックを活用しましょう。
事例1:都心富裕層の場合
1つ目の事例は、都心富裕層のジオ・デモグラフィックを元にした消費特性の分析です。
- 単身者や二人世帯
- 世帯収入が平均水準より高い
- マンション在住者
単身者や二人世帯で、かつ世帯収入が平均水準よりも高く、高所得層が集中しているというデータから、この地域には富裕層の中でも流行意識が高く、比較的若年層の住民が多いことがわかります。
これらの地域特性によって、消費欲求が高く、高級家電・家具といった買回り品を好む顧客層が多いといった、そのエリア住民の消費傾向が予想できます。世帯収入が平均より高いことから経済的な余裕があり、高級な消費耗品やサービスの需要が高いと推測できるでしょう。
この地域の住民は消費欲求を満たせる体験への投資を重視する傾向があるため、エンターテイメントや文化的な活動にも興味を持っている可能性があります。
そのため、高級感や満足感を感じられる顧客体験、消費欲求を満たせるサービスを提供することがポイントとなるでしょう。
事例2:郊外住宅地の場合
2つ目の事例は、以下の郊外住宅地におけるジオ・デモグラフィックデータを元にした消費特性の分析です。
- 中高生以上の子ども供がいる家族世帯
- 都内に通勤している
- 一軒家
- 世帯収入は平均以上
中高生以上の子どもがいて、なおかつ都内勤務で平均年収以上の世帯収入があり、一軒家を所有している世帯が多いことから、比較的裕福な家族層が集中している地域であるとわかります。
世帯収入が平均以上の水準にあり経済的に安定しているという地域特性から、このエリアの消費傾向として考えられるのは、特価品よりも品質をやや重視した買い物を好むことです。
一軒家のローンや子どもの教育費を抱えているため、日常的に高級品を使用することはそれほどなく、ブランド品よりも生活消耗品の購入率が高いといえるでしょう。
この地域の住民は家族や教育への投資を重視し、持続可能な生活スタイルを追求していると推測できます。日用品・家庭用品への支出割合が高く、地域の小売業やサービス業にとって大きな需要層といえるでしょう。
まとめ:ジオ・デモグラフィックを正しく活用して消費特性の理解を深めよう
- ジオ・デモグラフィックは、商圏における顧客分析に役立つ
- ジオグラフィックは、地理的属性を軸とした情報
- デモグラフィックは、社会経済的属性を軸とした情報
ジオ・デモグラフィックは、ジオグラフィックとデモグラフィックを組み合わせた造語です。
ジオグラフィックは地理的属性を軸とした、地域特性・気候・人口などのデータを指し、
デモグラフィックは社会経済的属性を軸とした、性別・年齢・職業・所得などの人口統計学的なデータをいいます。この2つの側面を持つジオ・デモグラフィックにより、良質な分析結果を得られます。
分析の際はデモグラフィックで顧客データをセグメント化し、地域情報となるジオグラフィックデータを結びつけてジオ・デモグラフィックとして考えます。これによって地域の消費特性に応じたマーケティング戦略の構築が可能となるため、顧客に寄り添ったエリアマーケティングの実行につながるでしょう。