商圏分析モデルの種類とは?ハフモデルのルーツになった法則を解説します

エリアマーケティング , 分析手法・フレームワーク
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商圏は流動的に変化する場合があるため、店舗の集客力を把握するためにおこなう商圏分析は難易度が高い分野だといわれています。とはいえ、商圏分析は店舗の運営において重要な要素であり、売上をアップさせるために欠かせません。

そんな商圏分析には「商圏分析モデル」、つまり商圏の分岐点を調べたいときや都市間における売上予測を立てる際に使用される法則があります。
今回は、ルーツとなっている法則や商圏分析モデルについての理解を深めたい方に向けて、商圏分析モデルの3つの法則と、ハフモデルができるまでの歴史などを解説しますので、ぜひご覧ください。

商圏分析で市場を把握。新規出店の調査がスムーズに。

「商圏分析」は流動的で確立が難しい

「商圏」とは、店舗への集客が見込める範囲であり、新規出店や売上拡大を成功させるためには「商圏分析」が欠かせません。

しかし、店舗ごとの商圏は立地や規模、業種、取扱商品といった属性によって変化するうえ、設定には地理的要素も関わってくるため「絶対的な正解」は存在しません。
このように商圏は各店舗で異なるため、商圏分析は流動的で確立が難しいといわれています。

そこで、商圏についてより正確な理解を深め、精度の高い商圏分析をおこなうためには、試行錯誤しながらデータを蓄えていく必要があります。次の章からは、商圏分析の精度を高めるための手法について確認しましょう。

商圏分析モデルが確立し「ハフモデル」が生まれるまで

商圏分析をおこない売上予測を立てていくための手法として「商圏分析モデル」が存在します。なかでも、特に使われている商圏分析モデルが「ハフモデル分析」です。

ここでは、商圏分析モデルが確立してからどのような過程をたどってハフモデルが生まれたかを解説します。

小売引力の法則

「小売引力の法則(ライリーの法則)」は、
「2つの都市(A・B)があるとき、中間に存在するC町から吸引する購買額(購買力)の割合は、各都市の人口に比例し、距離の比の2乗に反比例する」という法則です。

もう少し簡単に書くと「A市とB市の間にあるC町から(A市・B市の店舗は)どれだけ顧客を獲得できるのか」を考える場合に使う法則です。A市とB市で人口の多いほうが購買額を吸引する割合は多く、C町から距離が遠いほうが購買額の吸引割合は少ない傾向にあります。

アメリカのW・J・ライリーが明らかにした法則で、ニュートンの万有引力の法則に似ていることから、小売引力の法則と呼ばれるようになりました。小売引力の法則は、都市間の購買指向比率で、高級品や選好品・専門品といった買回品に限定されるため、活用する際は注意しましょう。

商圏分岐点公式

「商圏分岐点公式」とは、P.D.コンバースが小売引力の法則を発展させた商圏分析モデルで、2都市間の「商圏分岐点」を出すための公式です。「ライリー・コンバースの公式」とも呼ばれます。商圏分岐点公式により、2都市間の商圏が分岐する位置を明確に捉えやすくなりました。

「商圏分岐点」とは、小売引力の法則において「A市とB市がC町から吸収する販売額の割合が等しくなる地点」です。要因としては、都市の規模より距離の方が大きいとされています。

自店舗のあるA市と競合店舗があるB市の間に住む顧客の購買行動は、以下のように考えられるでしょう。

  • A市と商圏分岐点の間で生活する顧客は、A市にある自店舗で購買する
  • 商圏分岐点とB市の間で生活する顧客は、B市の競合店舗で購買する

新小売引力の法則

「新小売引力の法則」は、小都市と、隣接する大都市において、

  • 大都市が小都市から吸引する購買力は都市の人口に比例し、距離の2乗に反比例する
  • 小都市に残る購買力は都市の人口に比例し、慣性因子の2乗に反比例する

という法則です。

新小売引力の法則によって、ある小都市の「隣接する大都市に吸引される購買力と、その小都市に残る購買力の割合」を計算できます。
新小売引力の法則は、P・D・コンバースがアメリカの100以上の小都市において流行品の購買行動を調査し、小都市と大都市に吸収される購買額の法則性を見出した商圏分析モデルです。

小売引力の法則(小売引力モデル)からハフモデルが生まれた

商圏分析モデルのひとつである小売引力の法則(小売引力モデル)をもとに、アメリカの経済学者デイヴィッド・ハフによって「ハフモデル」が生まれました。

ハフモデルとは「ある地域に居住する顧客の、ある店舗における商品購入確率を、店舗の売場面積と店舗までの時間距離で割り出す分析方法」です。ハフモデル分析は新規出店時の需要予測や、競合店舗の出店などによる影響の把握に有効な商圏分析モデルです。

商圏分析では「修正ハフモデル」が活用されている

国内において一般的に使われているのは1989年頃に通産省(現在の経産省)が採用した「修正ハフモデル」です。大規模小売店舗法に基づく出店審査基準として設定された修正ハフモデルは、大型店舗が近隣の小店舗に与える影響力を算出・予測する際に活用できます。

デイヴィッド・ハフのハフモデルと修正ハフモデルの違いは、顧客が店舗を選ぶ確率を計算する際の法則にあります。

  • ハフモデル:店舗の売場面積に比例し、居住地から店舗までの時間距離に反比例する
  • 修正ハフモデル:店舗の売場面積に比例し、居住地から店舗までの距離の2乗に反比例する

従来のハフモデルではほとんどのケースにおいて、魅力度を店舗面積に置き換えて計算していましたが、現状に応じて、駐車場の規模・利便性といった別の要素も加味した魅力度を設定する必要があります。

まとめ:商圏分析モデルはさまざまな歴史を経て「ハフモデル」へと発展した

  • 「商圏分析」は流動的で確立が難しく、精度の高い分析が必要
  • ハフモデルはさまざまな過程をたどって確立された商圏分析モデル
  • 2022年現在ではハフモデルを発展させた「修正ハフモデル」が主流

店舗出店や競合店舗の分析には、常に流動する商圏エリアに合わせた、精度の高い商圏分析が欠かせません。

近年、商圏分析モデルとして多く使用されている「修正ハフモデル」は、改訂を重ねて生み出されたものであり、店舗の購買確率を算出するうえで有効な分析方法といえます。今回紹介したハフモデルを活用して、効果的な店舗の商圏分析をおこないましょう。

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タグ : ハフモデル分析 商圏分析 売上予測
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