NPS調査の質問項目を考えるポイントは4つ!具体的な質問項目も解説
NPS調査は、企業やブランドの顧客ロイヤルティを測る指標として役立ちます。とはいえ「NPS調査の質問項目をどうやって考えればいいのかわからない」と悩む方や「具体的な質問項目の例があれば知りたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
今回は、NPS調査の計算方法や調査でわかること、質問項目を考える際のポイント、欠かせない4つの質問項目について解説します。
NPS調査を実施して自社の顧客ロイヤルティを可視化したい方、顧客ロイヤルティを把握して効果的なマーケティング施策につなげたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
NPSとは、顧客ロイヤルティを測る指標のこと
NPS(Net Promoter Score)とは顧客ロイヤルティを測る指標で、顧客が商品やサービスに抱く信頼度を点数(スコア)化したものです。NPSと顧客満足度は混同されがちですが「収益性との相関」において大きく異なります。
- 顧客満足度:満足度を点数化して評価する。しかしその時点での評価に過ぎず、高い満足度を示した顧客でも離反する場合がある。
- NPS:収益性と連動する指標を用いてロイヤルティを計測する。「他者にすすめたいと思うか?」などの質問により、顧客の今後の行動を点数化する。
顧客満足度だけでは測りきれなかった顧客ロイヤルティを顕在化し、自社の強みや取り組むべき課題を明確にできることがNPS調査の特長です。
NPSの計算方法
NPSを計算する上で必要なのは、顧客に対する質問と回答結果、回答結果による顧客のグループ分けです。
NPS調査ではまず、顧客に対して
「この商品・サービスを、友人や同僚にどの程度すすめたいと思いますか?」
といった質問をします。10〜0点で評価してもらい、以下の3グループに分類しましょう。
- 【10~9点】推奨者:商品・サービスに対する満足度やリピートの可能性が高い
- 【8~7点】中立者:満足度は高くないが、特に不満もない。競合が優れていれば流れやすい
- 【6~0点】批判者:満足度が低く、リピートの可能性も乏しい
この分類をもとに、以下の計算式でNPSを算出します。
例えば、回答者10人中7人が9点以上、2人が6点以下の場合、以下の計算方法でNPSを求められます。
- 推奨者の割合:70%=7÷10(人)
- 批判者の割合:20%=2÷10(人)
- NPS:50=70-20
NPS調査では商品やサービスに「心から満足している顧客」を発見できる
NPS調査では、企業に大きな利益をもたらす、商品やサービスに「心から満足している顧客」を発見できます。
顧客の満足には「心の満足」と「頭の満足」があるということが、2005年、米国ギャラップ社のジョン・H・フレミングによって提唱されました。これは、顧客満足度調査で「とても満足した」と回答した顧客を「心で満足した顧客」と「頭で満足した顧客」に分類するというものです。
- 心の満足:商品やサービスに対し、感情的に満足している状態
…問い合わせ対応が丁寧だった、自分の使用環境に適している、企業に信頼がある など - 頭の満足:商品やサービスに対し、合理的に満足している状態
…性能が良い、機能が多い、価格が安い など
頭の満足を心の満足で補うことがポイント
頭の満足度が高いだけでは顧客に選ばれ続ける商品の提供は難しいため、心も満足させて顧客ロイヤルティを高めることがポイントです。
なぜなら、頭だけで満足している顧客は商品やサービスの価格、機能が同等だった場合「親切に対応してくれる」「安心して利用できる」などの理由で、心で満足できるほうを選ぶ傾向があるからです。頭の満足度を高める必要もありますが、自社よりも他社に対する心の満足度が高いと、顧客は他社へ流れてしまうことを押さえておきましょう。
心の満足度が低い場合、さまざまなアプローチを通して顧客の期待を超える魅力的な顧客体験を提供し、感情的に満足してもらうことが欠かせません。
NPS調査の質問項目を考える上で意識したい4つのポイント
NPS調査の質問項目を考える際は、以下4つのポイントを意識しましょう。
- 「推奨度」から質問する
- 調査内容の説明や質問文は簡潔にする
- 回答しやすいボリュームにする
- 自由記述の質問も含める
質問項目をどのように考えたらいいのか、それぞれ解説します。
NPS調査の質問項目を考えるポイントその1:「推奨度」から質問する
「推奨度」とは、商品やサービスを友人などにすすめたいと思う度合いです。
NPS調査では最初に推奨度を質問します。なぜなら、推奨度に関する質問を後にして他の質問を投げかけると、途中で顧客の感情が変わってしまい、点数に影響する可能性があるためです。
NPS調査の質問項目を考えるポイントその2:調査内容の説明や質問文は簡潔にする
NPS調査に関する説明や質問文は、簡潔にまとめることが大切です。長くてわかりにくい説明や文章は、本来の意図が伝わりにくくなるだけでなく、回答者にストレスを与えかねないためです。
説明や質問文を簡潔にまとめるには、
- まわりくどい文章表現は避ける
- 専門用語を多く使わない
- 時系列や質問対象を明確にする
などのポイントを意識しましょう。
NPS調査の質問項目を考えるポイントその3:回答しやすいボリュームにする
NPS調査をおこなう際はアンケート全体の質問数を絞り、回答しやすいボリュームにすることがポイントです。
一般的に質問は3~5問、多くても7問以内にするのがよいとされています。回答者が「質問数が多い」と感じると回答率が低くなり、正確な点数を算出できなくなるおそれがあるため注意しましょう。
また、解答時間の長さも回答率に影響します。5分以上かかると回答者が面倒だと感じやすくなるため、5分未満で回答できる内容で作成しましょう。
NPS調査の質問項目を考えるポイントその4:自由記述の質問も含める
NPS調査では、10~0点の点数で推奨度を評価してもらうほか、自由記述の質問も含めることがポイントです。これにより、自社が把握できていない改善点が見つかる可能性があります。
自由記述の質問をする場合、回答しやすいように回答例を提示しておくと効果的です。
ただし、自由記述の質問を作る際には、回答者にストレスを与えないようにしましょう。NPS調査の目的は推奨度を知ることにあるので、自由記述の質問を多くする必要はありません。
NPS調査に欠かせない4つの質問項目
NPS調査に欠かせない質問項目として、以下の4つがあります。
- 推奨度の点数
- 推奨度をつけた理由
- 顧客の満足度
- 顧客の基本情報
上記の項目は、NPS調査の質問に必ず入れましょう。
NPS調査に欠かせない質問項目その1:推奨度の点数
NPS調査ではまず、推奨度を0〜10の11段階で評価してもらうための質問をおこないます。
「この商品・サービスを、友人や同僚にどの程度すすめたいと思いますか?」
「商品・サービス」の部分は、「企業」「ブランド」などに置き換えることもできます。
NPS調査に欠かせない質問項目その2:推奨度をつけた理由
推奨度の質問をした後は、その点数をつけた理由も質問しましょう。
顧客が点数をつけた理由を聞くことで、自社商品やサービスに抱く本音を把握しやすく、質の向上に役立てられます。推奨度をつけた理由を尋ねる場合は、顧客が自由に意見や感想を記述できる質問にしましょう。
「1つ目の質問で回答した点数の理由を教えてください。」
NPS調査に欠かせない質問項目その3:顧客の満足度
NPS調査では、商品やサービスに対する顧客の満足度についても質問しましょう。
満足度を回答してもらうことで、顧客が満足しているポイントと不満を感じているポイントを把握しやすくなります。
【質問例】
「1つ目の質問で回答した点数の理由を教えてください。」
- 料理のおいしさ
- メニューのわかりやすさ
- メニューの料金
- 店内レイアウトのわかりやすさ
- 接客・サービスの質
NPS調査に欠かせない質問項目その4:顧客の基本情報
NPS調査では、プロフィールや行動といった顧客の基本情報についても質問し、顧客層を把握しましょう。顧客の基本情報を聞くことで、自社がアプローチしたいターゲットと回答者が一致しているかが明確になります。
「あなたの性別を教えてください。」
「あなたの年齢を教えてください。」
「あなたの職業を教えてください。」
まとめ:NPS調査で顧客ロイヤルティを測り、心で満足する顧客を増やそう
- NPS調査では、顧客満足度だけでは測りきれない顧客ロイヤルティを顕在化できる
- NPS調査の質問項目は、4つのポイントを意識して考えること
- NPS調査で必須の質問項目は「推奨度・推奨度をつけた理由・顧客の満足度・顧客の基本情報」の4つ
NPS調査では、自社商品やサービスに「心から満足している顧客」を発見できます。頭の満足を心の満足で補い、顧客ロイヤルティをより高められるようにしましょう。
NPS調査の質問項目を考える際は、以下のポイントを押さえて作成しましょう。
- 「推奨度」から質問する
- 簡潔な質問にする
- 質問は回答しやすいボリュームにする
- 自由記述の質問も含める
「推奨度・推奨度をつけた理由・顧客の満足度・顧客の基本情報」の4つの質問は最低限おこない、顧客に心から満足してもらえるよう、商品やサービスの改善に努めましょう。