競合店分析の目的とは?信憑性を高める7つの視点を徹底解説
競合店分析をしなければならないと感じたとき、「何から始めたらいいのかわからない」「どうやって競合店を分析したらよいかわからない」と悩む方は多いのではないでしょうか。
競合店分析で成果を出すには、あらかじめ何に焦点を当てるべきか、どのように進めるべきかを知っておく必要があります。
そこでこの記事では競合店分析の目的や進め方に重要な7つの視点について解説します。競合店分析をマスターし、自店舗の経営をさらに向上させたい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
競合店分析の目的と自社ブランド力向上の関連性
競合店分析によってどんな成果を得られるのかを把握しておくと、その後さまざまなマーケティング戦略に活用できます。また、競合店対策の目的を達成すると自社にどのような効果がもたらされるのかも理解しておきましょう。
ここでは競合店分析の目的と、達成後に得られるメリットについて解説します。
競合店分析における3つの目的
まず競合分析には、3つの重要な目的があります。
- 市場のトレンド把握にする
- 自社独自の価値を明確にする
- ブルーオーシャンを発見する
これらを意識して分析を進めることで、よりマーケティング戦略に役立つデータを得られるでしょう。
それぞれのポイントを解説するので、分析の参考にしてください。
競合店分析の目的1:まずは市場のトレンド把握する
競合店分析の目的は、自社が置かれている市場のトレンドを把握することです。顧客のニーズは日々移り変わるため、商品開発やサービスの提供には常に最新のトレンドを取り入れていく必要があるのです。
競合店分析の目的2:自社の価値を明確にする
トレンドを把握するといっても、競合店の戦略を後追いしているだけでは業績に差をつけることはできません。大切なのは、同じ市場に存在する競合店の中で自社だけにしかない「価値」を見つめ出すことです。
競合店分析で他社の強みや弱みを分析したら、自社の状況と照らし合わせて独自の価値を見極め、ブランドとしての価値として提供していきましょう。
競合店分析の目的3:ブルーオーシャンを見極める
自社の強みが把握できたら、それを武器に戦える領域を見つけることも競合店対策の重要な目的です。
自社も競合もいる市場で、顧客の悩みやニーズを抑えられていない領域、いわゆるブルーオーシャンを見つけ出し、そこにいる顧客が満足できる商品やサービスを開発すれば競合に差をつけ業績を上げるきっかけとなるでしょう。
目的を達成すると「自社ブランド力向上」に繋がる
競合店分析の目的達成は、自社のブランド力向上に大きな影響を与えます。顧客には企業を選ぶ自由があり、競合店と自社は常に比較されています。
その状況下で顧客から魅力的だと認識され選ばれるために重要な要素が市場内での自社ブランド力です。
自社ブランド力を高めるには、顧客が自社に対して満足感や信頼感を抱かなければ向上されません。そのためには、他社では得られない唯一無二の価値を提供することが重要です。
- 顧客のニーズを逃さず、的確なタイミングで提供できる「トレンドの把握」
- 顧客にここでしか得られないものがあると感じさせる「自社の独自性」
- 顧客が今まで解決できなかった不満をカバーする「ブルーオーシャンの開拓」
このような競合店分析の目的達成で得られる成果は独自の価値を生み出し、自社ブランド力を大きく向上させるでしょう。
もちろん、自社ブランド力を高めるには広告販促の視点で認知度を上げることも重要です。しかし、まずは市場における自社の価値を確立することが欠かせないのです。
競合店分析は7つの視点でおこなうのがポイント
競合店分析は、単純なデータ収集・比較だけでは不十分です。より明確で信憑性が高いデータを得るには競合店に足を運んで実地調査をおこない状況を直接確認する必要があります。
競合店分析で実地調査をおこなう際は、以下の7つを意識しましょう。これらのポイントをチェクすると競合店の強みや弱みをしっかり分析できます。
- 外観
- 店舗内のレイアウト
- 看板・売れ筋商品
- 価格
- 販促品
- 接客
- 顧客
また、実地調査は実行する時間帯や曜日によっても結果が異なります。より詳細な情報や傾向をつかむには平日と週末、季節ごとのデータを収集して比較・分析をおこないましょう。
ポイント1:外観
外観調査で見るべきポイントは以下のとおりです。
- 店舗の綺麗さ
- アクセスの良さ
- 看板やのぼり旗の視認性
- 周辺の店舗や公共施設
- 駐車場や駐輪場の有無
外観調査で特に重要なのは店舗の視認性です。競合店の前を通る道路からどの程度目視できるか、店名や業種、取り扱い商品が一目で理解できるかなどをチェックしましょう。
店舗の視認性からはさまざまな情報が読み取れます。たとえば視認性が悪い店舗は「通りがかりに立ち寄ろう」と思う新規顧客が立ち寄りにくいですよね。にもかかわらず競合店の業績が好調だったら「別の集客手段を用いている」「固定客やリピート顧客の囲い込みに成功している」などの可能性を読み取れます。
外観の調査時は、顧客属性の把握から周辺環境の調査も
ほかにも駐車場に停まっている車の種類で顧客の生活水準が読み取れたり、周辺店舗や公共施設からある程度の客層を絞り込めたりと、外観調査が得られる情報がとても豊富です。ただ見て回るのではなく、一つ一つの項目に意識を向けて実施しましょう
ポイント2:店舗内のレイアウト
店舗内のレイアウトは、以下のポイントを調査して分析しましょう。
- 店舗内の内装やコンセプト
- 店内のマップ
- 陳列方法
店舗内のレイアウトのポイントは売上をあげるための顧客導線を意識して調査することです。実際に店内を歩いてみて、「どのような流れで商品を見るのか」「自分が顧客だったらどう感じるのか」をイメージしてみるとよいでしょう。
また、時間帯によって来店する顧客層やニーズが異なる場合、それに合わせた商品の配置や陳列をおこなわれている可能性もあります。そのため、異なる時間帯に複数回店舗を訪れて、その変化や特徴を把握することがおすすめです。
ポイント3:看板・売れ筋商品
競合店の看板・売れ筋商品も、競合調査では欠かせないチェックポイントです。
看板商品や売れ筋商品は、顧客が「ここでしか買えない」と感じている競合店の独自性です。そして売れているということは顧客のニーズとも合致していることに繋がるため、市場の傾向を知る鍵になり得ます
なぜその商品が競合店の特色となっているのか、顧客が商品のどこに何に興味を持っているのかを細かく調査しましょう。実際にどのような評価を得ているかはSNSや口コミサイトも併用して調べると、リアルな顧客の意見を参考にできます。
ただし、時期やイベントによって主力商品は変わるため、分析する際にはその点を考慮しなければなりません。競合店分析では、商品の特徴や価格、購入者の傾向などをしっかりとチェックし、その情報をデータとしてまとめましょう。
ポイント4:価格
商品価格は、競合店分析で見逃せない要素の一つです。
顧客ニーズを考えたとき、絶対に外せない商品があるとしましょう。そういった商品を販売する場合は、どうしても類似したアイテムを取り扱うことになります。同じ品質で同じ用途の商品を見たとき、価格は顧客が購入を決める際の重要な選択基準になるでしょう。同規格の商品であっても、「この店で買おう」と思わせる動機付けがなければ、顧客は安い店舗へ流れてしまいます。
そのため、主力商品の価格をしっかりと把握する必要があります。価格を調査して適切な価格を設定することはもちろん、特別なクーポンや特典の提供などの付加価値も活用しましょう。差別化を図りにくい汎用商品においては、「同じ商品でもこっちで買った方がお得だ」と認識してもらう施策が重要なのです。
ポイント5:販促品
「販促品」とは商品の販売を促すためのもので、サンプルやノベルティなどを指します。
販促品を配布する理由はさまざまですが、何故それを配っているのかが分析できればどの商品に力を入れて宣伝しているのか、どのような方法で顧客を店に呼び込んでいるのかがわかります。
例えば、商品Aのサンプルを来店客全員に配布していた場合は「商品Aの認知度を高め販売数を増やす」施策だと予測できます。あるいは、商品Bにノベルティを貼り付けて販売している場合は「商品Bの販売数を増やしたい」という意図が読み取れるでしょう。
このように、競合店が行っている販促品施策の本質を読み取ることが、自社の戦略に活用するポイントなのです。
SNSでの情報発信や特別なキャンペーンを実施している場合もあるので、他角度から競合点の取り組みを探して分析しましょう。
ポイント6:接客
競合店の接客を調査する際には、次の点に注目するとよいでしょう。
- 身だしなみ
- 挨拶
- 笑顔
- 言葉づかい
- 接客時の説明のわかりやすさ
- 心のこもった接客ができているか
顧客と直接対話をするスタッフの接客は、店舗全体の印象を左右する要素です。
接客によって顧客によい印象を与えることで、リピーターを増やすことが期待できます。また、接客レベルが高いスタッフは、顧客が信頼や好感を抱きやすく「ファン化」が起きやすくなります。「この店員さんがいるからこの店に来る」というのも立派な独自性なのです。
競合店の接客を通して顧客に与えるイメージをしっかり調査し、お手本となるようなスタッフがいたら行動や言動を自店舗の接客向上に活かしましょう。
ポイント7:顧客
競合店を分析する際は、顧客の属性を把握するようにしましょう。競合店の顧客属性や、自社の客層との違いを比較することで要因を発見しやすくなります。
例えば、自店舗が若年層の単身者をターゲットに商品を展開しているのに対し、競合店の顧客は年配者や家族世帯が多かった場合、自店舗の方向性を再考する必要があります。
つまり、自社の方向性が合致している場合でも、競合店の客層を分析することで新たなニーズを発見できるかもしれません。競合店の客層をマーケティング戦略に取り入れると、より多くの顧客獲得につながるでしょう。
一つ注意点として、客層は時間帯・曜日・性別・年齢層の違いによって得られる情報が異なります。細かくカテゴリー分類をして複数回調査しましょう。
競合店分析はフレームワークで精度が上がる!
競合店分析の精度を高めたいなら、フレームワークを活用して分析を進めましょう。
フレームワークとは論理的思考で現状把握や課題解決、施策も立案ができる枠組みを指します。ビジネスに役立つフレームワークは複数ありますが、特に競合店分析に役立つのは以下の3種です。
- 自社・競合・市場の3視点で分析を行う「3C分析」
- 顧客・自社それぞれの視点で見る「4C/4P分析」
- 自社の強みと弱みを読み解ける「SWOT分析」
このような役割が異なるフレームワークを適時使い分けることで、競合店分析を効率的に進められるでしょう。
マーケティングに活かせるビジネスフレームワークについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
まとめ:より良いサービスのために競合分析を取り入れよう
- 競合店分析をおこなう目的はブランド力の向上
- 競合店分析は7つの視点で分析を進める
- フレームワークを活用することで分析の精度を高められる
競合店分析は、ビジネスの成功を左右するといっても過言ではありません。競合店分析を正しく実施することで、自社の商品やサービスの質を向上させられます。また、競合店と差別化ポイントが明確にでき、市場での競争力を高められるでしょう。
まだ競合店分析を実践していない場合は、店舗の成長と発展のためにぜひ取り入れてみてください。