行動トレンド分析で購買パターンをつかもう!分析のやり方と活用方法を解説

分析手法・フレームワーク
行動トレンド分析で購買パターンをつかもう!分析のやり方と活用方法を解説
このエントリーをはてなブックマークに追加

シーズン物を販売していて「効果的な販促活動をしたいが、タイミングがわからない」と悩む方や「顧客がいつ、この商品やサービスを求めているのか知りたい」と思う方は多いのではないでしょうか。

このようなときに使えるのが、今回解説する「行動トレンド分析」です。

行動トレンド分析とは、特定の商品やサービスの売上が伸びている時期と既存顧客の属性を用いた分析です。自社の顧客データをもとに分析をおこなうため、より具体的で効果の高い販促施策を打ち出しやすくなります。

本記事では、行動トレンド分析の手順やメリットなどを詳しく解説します。自社の商品がどのタイミングで求められているかを知りたい方、これから行動トレンド分析を始める方は、ぜひ参考にしてください。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

行動トレンド分析とは、顧客の購買パターンを分析する手法

行動トレンド分析とは、自社の顧客データと売上データをもとに、

  • どのような顧客が
  • どの時期に
  • どの商品を購入しているのか

などを掘り下げる分析手法です。
「トレンド」はこの場合、特定商品の売上が高い時期を指します。

例えば、スポーツ用品店では、夏に水着の売上が伸び、冬はウィンタースポーツ用品の売上が伸びると考えられます。このように、特定の時期に売上が伸びている商品・サービスがある場合、行動トレンド分析によって顧客ニーズやそのトレンドを把握できます。

対象商品を購入した顧客の属性を読み解くことで、
「春先に20代女性を中心にアプローチすれば、この商品の売上増加が見込めるだろう」
などの仮説を立てられるため、費用対効果の高い販促施策を考える判断材料になるでしょう。

行動トレンド分析を実行する2つのメリット

行動トレンド分析を実行することで、得られるメリットは2つあります。

  • 顧客ニーズに合わせたマーケティング戦略を取れる
  • マーケティングの費用対効果を高められる

ここでは、なぜ上記のメリットを得られるのかを知り、行動トレンド分析の重要性を把握しましょう。

行動トレンド分析のメリット1:顧客ニーズに合わせたマーケティング戦略を取れる

行動トレンド分析をおこなうメリットは、顧客の購買傾向がわかるため、顧客ニーズに合ったマーケティング戦略を取れることです。

例えば、自社のスポーツ用品店が「シュノーケルセット」を提供している場合、以下のような分析をおこなえます。

  • 購買数が増える時期はいつか
  • 購買数が多いサイズはどれか
  • (複数セット内容がある場合)どのセットが一番売れているか など

これらの分析を参考にすると、翌年の販促広告を打ち出すタイミングやラインナップを改善できるでしょう。

「欲しいタイミングで情報が手に入る」「必要なものが必要な時期に買える」といった状況は、自社に対する顧客の信頼度を高められます。その結果、顧客満足度が上がり、継続的な利用を促しやすくなるでしょう。

このように行動トレンド分析をもとにして、顧客ニーズに合ったマーケティングをおこなえば、既存顧客の増加と安定化につなげられます。

行動トレンド分析のメリット2:マーケティングの費用対効果を高められる

行動トレンド分析によって顧客属性ごとの購買パターンを掴むことで、費用対効果の高いマーケティングをおこなえます。これが、もう1つのメリットといえるでしょう。

マーケティングの費用対効果を高められる理由は、特定の商品・サービスの購買が増える時期とそのシーズン性を生み出す顧客層を明確にすると、その特定商品の購買が多い優良顧客に絞ったプロモーションをおこなえるためです。

売上貢献度の高いターゲットに絞って、時期に合わせたアプローチをおこなうと、広告費の無駄打ちを抑えた費用対効果の高いマーケティングが可能となるでしょう。

行動トレンド分析のやり方4ステップ

ここでは、行動トレンド分析のやり方を解説します。行動トレンド分析は、次の4ステップで進めます。

  1. 分析に必要な顧客データを集める
  2. 売上データからトレンドを把握する
  3. 売上が高い時期の顧客層を分析する
  4. 分析結果をマーケティングに生かす

顧客の特徴や売れるシーズンを把握できれば、費用対効果の高い販促施策の立案に生かせます。具体的な手順を把握して、行動トレンド分析をおこないましょう。

行動トレンドのステップ1:分析に必要な顧客データを集める

行動トレンド分析を始める前に、分析に必要な顧客データを集めましょう。以下は、顧客情報を収集する方法の例です。

  • Webサイトの会員登録
  • ポイントカードや会員カードの登録情報
  • ECサイトの購入情報
  • 顧客アンケート
  • 自社アプリの登録情報 など

このステップでは、収集した情報を用いて、自社にどのような顧客が存在するのかを洗い出します。年代、性別、居住地域などの指標をもとに顧客の特徴を把握しましょう。なお、ここではまだ、顧客のグルーピングをおこなう必要はありません。

これらの顧客データは、顧客数や情報量が増えると管理が難しくなるため、顧客情報を一元管理できるCRMツールやMAツールの使用もおすすめです。

行動トレンドのステップ2:売上データからトレンドを把握する

シーズンごとの売上データと特定の商品・サービスを掛け合わせて、トレンドを把握しましょう。

スキー用品を例に挙げると、スキー場の運営が始まる11月の少し前から徐々に売上が伸びていきます。そして、トップシーズンの12月下旬から2月上旬に売上がピークとなるため、この2つの期間がトレンドだと考えられます。

行動トレンドのステップ3:売上が高い時期の顧客層を分析する

売上の高い時期がわかったら、年代や性別、居住地域などの指標を用いて商品を購入した顧客を分類しましょう。どの指標を使うかは分析対象の商品によって異なります。

ここではスキー用品のトレンドを例に、年齢・性別を指標にした顧客層の分類と売上の割合を表にしました。

顧客層 売上の割合
20代男性 20%
20代女性 12%
30代男性 27%
30代女性 15%
40代男性 16%
40代女性 10%

この表で20~40代男女別の売上を分析すると、以下の傾向が読み取れます。

  • 30代男性の売上貢献度が最も高い
  • 20~30代男性の売上が約半数を占めている
  • 男女で比較すると男性のほうが売上の割合が多い など

上記から、スキー用品のピークに向けた販促は30代男性をメインに、20~30代の男性におこなうと効果が期待できると推測できます。このように売上の割合を多く占めるグループに向けた販促施策をおこなえば、売上の増加を狙いやすくなるでしょう。

状況に応じて時間帯データを加えて分析する

行動トレンド分析でさらに詳細な分析をおこないたい場合、ステップ3の分析に時間帯データを加えると分析の精度が高められます。

ピーク期間のうち売れている曜日は何曜日か、午前と午後でどちらの売上が高いか、などの分析をしてみましょう。時間帯データを追加することで、取りこぼしていた顧客層や想定外のアプローチ方法を発見しやすくなります。

行動トレンドのステップ4:分析結果をマーケティングに生かす

行動トレンド分析が完了したら、分析結果をもとに特定の顧客に向けて販促施策をおこなうことが大切です。

参考となる分析結果を得られなかった場合、シーズンや顧客層の分類を変えて分析をやり直すとよいでしょう。「売上を伸ばしたい」「顧客ニーズをより深く把握したい」といった分析目的や自社の求める情報に合わせて、分析を工夫することもポイントです。

行動トレンド分析のマーケティングへの活用例

最後に、行動トレンド分析のマーケティングへの活用例を3つ紹介します。

  1. アパレル業界(ショップ)
  2. 飲食業界(レストラン)
  3. 美容業界(美容院)

顧客や商品・サービスの特徴を参考にマーケティングの参考にしてください。

行動トレンド分析の活用例①アパレル業界(ショップ)

例えば、あるアパレルショップで、行動トレンド分析によって
「20代女性は冬に特定ブランドのコートを購入する傾向がある」とわかったとします。

分析結果を踏まえて、実行できそうな施策を挙げてみました。

  • 配信時期を秋から冬、配信先を若年層向けSNSに絞り込んで広告を配信する
  • 特定ブランドの新作コートのコーデ画像を指定ハッシュタグつきでSNSに公開すると、次回来店時に「オリジナルチャーム」を配布するというキャンペーンを展開する

これらの施策により、特定ブランドのコートの売上だけでなく、SNS上でのブランド認知度や次回来店率の増加も期待できます。

行動トレンド分析の活用例②飲食業界(レストラン)

あるレストランで行動トレンド分析をおこなった結果、以下のことが判明したとします。

  • 平日のランチタイムの顧客層には30代のビジネスマンが多い
  • 30代のビジネスマンに一番売れているのはA定食

そこで、この分析結果をもとに、ビジネスマンの利用をさらに増やすための施策を立ててみます。以下は具体例です。

  • A定食に「+100円で小鉢付き」「+200円で刺身付き」などのオプションを追加する
  • オプションを単体メニューより割安に設定して、注文率アップを狙う

これらの施策によって、お得感による顧客満足度の上昇や、特定メニューにおける客単価の増加が期待できるでしょう。

行動トレンド分析の活用例③美容業界(美容院)

ある美容院で、行動トレンド分析の結果から顧客の利用が月末に集中しているというパターンが読み取れた場合、次のような施策を考えられるでしょう。

  • 顧客のリピート率をより高めるために、月末の最終週だけ利用できる、カラー&ヘッドスパなどの特別なセットメニューを用意する
  • 下旬に入ったあたりからメルマガや店舗アプリの配信などによる、顧客へのアピールをおこなう

この施策によって、限定メニューという特別感の演出と、顧客がカットカラー以外のサービスを知るきっかけにつながるため、予約の促進と客単価が上がる可能性を高められるでしょう。

まとめ:顧客の特徴をつかみ、効果的な施策を打ち出すための行動トレンド分析

  • 行動トレンド分析の結果から費用対効果の高い販促施策を打ち出そう
  • 顧客データ・売上・顧客層・時間帯といったデータを集め、活用することで分析の精度を上げる
  • 分析後は目的に合わせたマーケティング施策に取り組む

行動トレンド分析は自社のデータをもとに、どのような顧客が、どの時期にどの商品を購入しているかという購買パターンを分析する手法です。行動トレンド分析によって、特定の商品・サービスを購入する顧客の特徴やトレンドなどを掴めます。

行動トレンド分析のメリットは、顧客ニーズに合ったマーケティング戦略をとれることと、費用対効果を高められることです。

行動トレンド分析をおこなう際には膨大なデータを扱うため、一元管理のできるCRMツールやMAツールを活用するとよいでしょう。

効果的な販促活動をしたい方や特定の商品がいつ、どの顧客層に求められているかを知りたい方には、行動トレンド分析をおすすめします。まずは、自社の購買データを分析して、どの商品がどの時期に売れているかを掘り下げてみましょう。分析の結果をもとに、顧客ニーズに合ったキャンペーンや広告を打つことで、顧客満足度と売上の増加につながるでしょう。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : データ分析 分析手法 行動トレンド分析 顧客データ分析 顧客分析
このエントリーをはてなブックマークに追加