CTB分析は顧客の購買予測に役立つ!目的や具体的な分析の手順を解説
顧客の行動や嗜好が日々変化していく中で自社のビジネスを成長させるには、常に最新の市場動向に敏感でなければなりません。
市場の動向をしっかりと把握するには、顧客データを分析し、顧客ニーズを把握する必要があります。
しかし、顧客データの分析に取り組む際、顧客情報や購買履歴などの情報を前にして「どのように分析して、マーケティング戦略に生かせばいいのかわからない」と悩む方も少なくないでしょう。
顧客データの分析をおこなう際には、数値に表しにくい定性データを用いると、顧客ニーズに対する理解度が深まります。その際に役立つ分析手法の一つがCTB分析です。
この記事では、顧客の購買予測に役立つCTB分析について、目的や具体的な分析の手順を解説します。顧客データを活用し、効果的なマーケティングを実施したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
CTB分析とは顧客をグループ分けして購買行動を予測する分析手法
「CTB分析」とは、顧客をカテゴリ(Category)・テイスト(Taste)・ブランド(Brand)という3つの指標を用いてグループ分けし、購買行動を予測する分析手法。各指標の意味は以下のとおりです。
指標 | 意味 |
カテゴリ(Category) | 商品を大分類と小分類に分け、顧客の大まかな好みを把握する。大分類では「ファッション」「食品」などのジャンルに分け、小分類では「具体的な商品名」「細分化したクラスター」などで分類する。 |
テイスト(Taste) | その商品のカラーやサイズ、デザイン、素材などから顧客の趣味嗜好好みをつかむ。テイストの内容は商品により大きく異なる。 |
ブランド(Brand) | メーカーやファッションブランド、キャラクターなどの観点から顧客好みのブランドを把握する。自社ブランドの市場における認知度なども分析できる。 |
CTB分析では、3つの指標とともに顧客の属性を用いるため、「どのような顧客がどういう商品を好んでいるのか」がわかります。
CTB分析の目的は主に3つ
CTB分析の主な目的は、以下の3つです。
- 顧客の趣味嗜好を明確にする
- 潜在顧客を発見し、アプローチ方法の判断材料にする
- 需要を予測し、商品企画や改善に反映する
本章では、CTB分析の3つの目的について、それぞれ詳しく解説します。
CTB分析の目的1:顧客の趣味嗜好を明確にする
CTB分析をおこなうと、顧客が持つ趣味嗜好への理解が深められます。
例えば同じ「半袖シャツ」に分類される商品でも、最近の「30代女性は〇〇色のシャツを多く購入している」「20代男性はMサイズの襟付きデザインの購入が多い」など、顧客の属性により趣味嗜好は異なります。顧客グループごとに好むカラーやデザインなどが明確になれば、それに合わせたアプローチがおこなえるでしょう。
CTB分析の目的2:潜在顧客を発見しアプローチ方法の判断材料にする
「潜在顧客」とは、まだ自社の商品やサービスを知らない顧客層です。潜在顧客を見込み顧客にするには、自社を利用する顧客の属性と趣味嗜好を把握することが欠かせません。CTB分析で既存顧客の好みを知れば、今後見込み顧客へ育成できる潜在顧客のイメージをつかみやすくなります。
また、潜在顧客のニーズに合ったアプローチをおこなえば、自店舗の利用に至る可能性が高まります。CTB分析の結果は、潜在顧客の発見だけでなく、アプローチ方法の判断材料に役立つでしょう。
CTB分析の目的3:需要を予測し、商品企画や改善に反映する
顧客の趣味嗜好が明確になれば顧客属性ごとのニーズ、つまり、どんな人がどのような商品やサービスを望んでいるのかが浮かび上がります。
顧客ニーズに基づいた商品の企画や改善をおこなうと、顧客の満足度を高められるでしょう。また、需要の予測にも生かせるので、必要とされている商品やサービスを提供しやすくなります。
CTB分析ではクラスターごとの好みを明確化できる
CTB分析では顧客の属性に合わせてグループ分けし、クラスター(集団)を作成するため、特定の顧客グループの好みを把握しやすいという特徴があります。クラスターごとの趣味嗜好を明確化できるので、顧客目線を生かしつつ、顧客の属性に合ったマーケティング施策が実行できます。
その内容をもとにアプローチをすることで、顧客の囲い込みや新規顧客の獲得につなげられるでしょう。
セグメンテーション分析やRFM分析との違い
顧客分析ではCTB分析だけではなく、セグメンテーション分析やRFM分析などの手法も用いられます。これらの手法には、CTB分析とは異なる特徴があり、状況に応じて併用することで分析精度を高められます。
それぞれの特徴やCTB分析との違いを解説するので、分析をおこなう際の参考にしてください。
セグメンテーション分析|定量データで分類する手法
セグメンテーション分析とは、不特定多数のユーザを同じニーズや性質を持つグループ(セグメント)に分けていくフレームワークで、STP分析のプロセスに含まれます。セグメンテーション分析では、主に4つの要素を軸に顧客を分類し、顧客ニーズの把握やターゲティングをおこないます。
- 地理的変数…地域・気候など
- 人口動態変数…年齢・性別など
- 心理的変数…性格・価値観など
- 行動変数…購買履歴・購買頻度など
セグメンテーション分析でも、軸の選定によっては定性データを用いることはあります。しかし、他の要素と併用するケースが多く、商品を限定した詳細な情報は用いない点がCTB分析との大きな違いです。
RFM分析|購買行動をもとに分析する手法
RFM分析とは最終購入日(Recency)・購入頻度(Frequency)・購入金額(Monetary)という3つの指標で、顧客をグループ分けする分析手法です。
RFM分析では顧客の購買行動によって、優良顧客・休眠顧客・新規顧客などに分類し、それぞれに対するアプローチ方法を明確化します。CTB分析では、属性や趣味嗜好から購買行動を予測するため、根本的に分析の意図が異なります。
RFM分析の詳しい概要や手順については、以下の記事をご覧ください。
CTB分析のやり方4ステップ
CTB分析は、一般的に下記の手順でおこないます。
- 商品をカテゴリに分けて顧客の好みを分析する
- 商品のテイスト分析で顧客の好みを掘り下げる
- 顧客が好むブランドを分析する
- 分析結果をもとにマーケティング施策を計画する
留意点として、企業が取り扱う商品や抱えている課題によっては、手法として合っていない場合があります。実施ステップを確認し、自社のマーケティング戦略に生かせるかを判断しましょう。
CTB分析のステップ1:商品をカテゴリに分けて顧客の好みを分析する
CTB分析における最初のステップは、商品のカテゴリ分類です。
購入履歴から商品をカテゴリ別に分け、大分類・小分類を作成しましょう。
一般的には、大分類には商品のジャンルを、小分類には具体的な商品名を入れるといった分類方法が用いられます。カテゴリの分け方は商品によって異なるため、自社商品に合わせた分類をおこないましょう。
以下は、アパレル商品の分類例です。
《アパレル商品の分類例》
- 大分類:メンズ・レディース・キッズなど
- 中分類:トップス・ボトムス・アウター・インナーなど
- 小分類:具体的な商品名など
このように、商品が多い場合は中分類を設ける場合もあります。ただし、分類が細かすぎても分析が煩雑化するため注意しましょう。
CTB分析のステップ2:商品のテイスト分析で顧客の好みを掘り下げる
テイスト分析ではカテゴリ分類した商品の共通項を掘り下げ、顧客グループごとの趣味嗜好を把握します。以下は、テイスト分析で用いる分類項目の例です。
- カラー
- デザイン
- サイズ
- 素材 など
例えば、対象のカテゴリがアパレルのメンズセーターであれば、分析対象の顧客がどのカラーやデザインを好み、素材は何を選んだのかまで掘り下げます。
ただし、細かく分けすぎると項目が膨大になり分析が困難になるため、その商品を構成する主な要素に絞って分類しましょう。
CTB分析のステップ3:顧客が好むブランドを分析する
CTB分析における「ブランド」の指標には、ブランドだけでなくメーカーやキャラクターも含まれます。
分析の際は、顧客が好むブランドが何かを把握しましょう。さらに、商品と価格のバランスが取れているか、流行を意識できているかをチェックすることもポイントです。
また、ブランドについて総合的に分析することにより、自社ブランドの市場における認知度やイメージなどを把握できます。
CTB分析のステップ4:分析結果をもとにマーケティング施策を計画する
各分析によって得られたデータを基に、今後のマーケティング施策を考えていきます。CTB分析によって顧客属性ごとの趣味嗜好を理解できれば、ターゲットに響くマーケティング戦略を立てやすくなります。
なお、CTB分析だけでも顧客の購買予測には役立ちますが、セグメンテーション分析やRFM分析といったその他の顧客分析を組み合わせることをおすすめします。定性データだけでなく、数値的な根拠をもとに戦略を立てられるため、より精度の高いマーケティングがおこなえるでしょう。
まとめ:CTB分析を活用してマーケティング戦略に役立てよう
- CTB分析とは顧客の趣味嗜好から購買行動を予測する分析手法
- CTB分析では顧客属性と定性的データを用いる
- CTB分析により精度が高いマーケティング戦略を立てやすくなる
CTB分析では、カテゴリ・ブランド・テイストという3つの指標で顧客の趣味嗜好を明確化し、購買予測がおこなえます。
自社の顧客がどのような商品を好んでいるかがわかれば、今後のマーケティング戦略が立てやすくなるでしょう。さらにCTB分析の結果は、潜在顧客へのアプローチに対する判断材料や、需要の予測にも生かせます。
まずは、自社の商品をカテゴリ・ブランド・テイストを把握し、社内にある顧客データと照らし合わせて、情報を整理するところから始めてみましょう。