バスケット分析のやり方は?実例付きで活かし方を解説

このエントリーをはてなブックマークに追加

マーケティングにおいて、バスケット分析は売上アップに重要な要素の一つです。とはいえ、バスケット分析について詳しい内容を知らない方も多いのではないでしょうか。

今回は、バスケット分析の概要や分析に使用する指数、具体的な分析方法について紹介します。バスケット分析の基礎や計算方法について理解を深めたい方は、ぜひ記事をご覧ください。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

買い物かごのなかを見る「バスケット分析」とは

「バスケット分析」とは、小売店で顧客がレジに持ってくるバスケットを一つの単位として分析するマーケティング方法です。 バスケット、つまり買い物かごの中身を見てデータ解析をおこなうという意味からこの名前がつけられました。

バスケット分析の目的は、同時に購入された商品を調べることで顧客の購買傾向を把握し、店内配置やセール、キャンペーンなどの施策に生かすことです。

バスケット分析は商品単体ではなく、複数商品の関係性を分析するためにおこなうアソシエーション分析の一つに分類されます。

「おむつとビール」が分析を広めたきっかけ

データ解析の重要性を説明する際によく使用されるのが、「おむつとビール」の事例。
アメリカのコンサルティング会社がおこなったデータ解析で「おむつとビールの同時購入が多いのは30〜40代の男性客」であることが分かったといわれている話です。

さらに、おむつとビールを同時に購入する消費者がいること、かさばるおむつは母親が父親に頼んで購入されるケースが多いこと、おむつとビールを並べて陳列することで売上が上がるなど、さまざまな人物像とその背景などを解析できたという実績がバスケット分析の有名な例です。

このように、バスケット分析は時として 想定外の結果をもたらす場合もあるようですが、企業のマーケティングにおける有力な検証データとして役立てられるでしょう 。

バスケット分析に使用する4つの指標


では、バスケット分析では何を基準に分析するのでしょうか。
具体的な分析方法に移る前に、バスケット分析に使用する4つの指標について 解説します。分析の基本知識となる指標ですので、しっかりと押さえておきましょう。

バスケット分析の指標1:支持度(率)

「支持度(率)」 とは、全顧客のうち、商品Aと商品Bを同時に購入した人の割合です。

支持度=同時購入者数/購入者全体数

支持度が高いほど「商品Aを買う人は商品Bも買うことが多い」と考えられます。
反対に、支持度が低い場合は商品Aと商品Bの関連性が薄い といえます。

バスケット分析の指標2:信頼度

「信頼度」とは、商品Aを購入した顧客の中で、商品Bも購入した人の割合です。

信頼度=同時購入者数/商品Aの購入者数

商品Bを買う人が多いということは、支持度の向上にもつながります。
反対に、信頼度が低い場合は、Aと併せて購入してもらうための施策を考えるきっかけにもなるでしょう。

バスケット分析の指標3:期待信頼度

「期待信頼度」とは、全顧客のうち、商品Bを購入した人の割合です。商品Aとの関連性はないものの、商品Aと商品Bを併売するために必要な指数です。

期待信頼度=商品Bの購入者数/購入者全体数

期待信頼度が高ければ高いほど、商品Bの購入者が多いと分かります。
つまり、その商品がどれほど魅力ある商品かを把握できるでしょう。

バスケット分析の指標4:リフト値

「リフト値」とは、期待信頼度に対する信頼度の割合です 。

リフト値=信頼度/期待信頼度
    =(同時購入者数/商品Aの購入者数)/(商品Bの購入者数/購入者全体数 )

リフト値を算出すると、購入された理由が偶然だったのか、それともセット購入の人気が高かったのかがわかります。
つまり、リフト値が高いほど「商品B単体ではなく、商品Aと同時購入されやすい」という仮説を導けるようになるでしょう。

【実例】バスケット分析の具体的なやり方


では、実際の例をもとに、バスケット分析のやり方について解説します。商品Aと一緒に購入されやすいのは商品Bと商品Cのどちらなのか一緒に考えてみましょう。

バスケット分析の一例
※表にはありませんが、A+Cの購入者数は15人です。

まず、表の数値から、バスケット分析に必要な「商品Aと商品Bに関する4つの指標」を出していきます。 今回は実例であるため、指標も四捨五入で計算済みです。

商品AとBの関連性を見る計算式は以下のとおりです。

●支持度=A+B購入者数/購入者全体数
 0.25(25%)=25/100
●信頼度=A+B購入者数/商品Aの購入者数 
 0.83(83%)=25/30
●期待信頼度=商品Bの購入者数/購入者全体数
 0.7(70%)=70/100

●リフト値=信頼度/期待信頼度
 1.19=83/70

上のバスケット分析指標から、
全顧客の4人に1人が商品Aと商品Bを同時購入すること、
商品Aを購入する顧客の8割は同時に商品Bを購入していることなどが読み取れます。

続いて、商品Aと商品Cに関するバスケット分析指標を出します。
「A+B購入者数」を「A+C購入者数」へ、商品Bの購入者数は商品Cの購入者数に置き換えて計算しましょう。

●支持度=A+C購入者数/購入者全体数
 0.15(15%)=15/100
●信頼度=A+C購入者数/商品Aの購入者数
 0.5(50%)=15/30
●期待信頼度=商品Cの購入者数/購入者全体数
 0.4(40%)=40/100

●リフト値=信頼度/期待信頼度
 1.25=50/40

商品Aと商品Cに関するバスケット分析の指標を出したら、商品Bと商品Cを比較します。
支持度・信頼度・期待信頼度は商品Bが高くとも、リフト値において商品Cが上回っているため、商品Aと同時購入される可能性が高いのは商品Cであるといえます。

なお、バスケット分析で算出したリフト値が1未満のとき は、同時購入よりも単独購入が多いことを覚えておきましょう。

バスケット分析の精度を上げるコツ

最後に、バスケット分析の精度を上げるコツを紹介します 。

トップ商品は分析しない

バスケット分析の精度を上げるコツの一つに、「トップ商品は分類しないこと」が挙げられます。 もともと売れている商品をバスケット分析に含めると、併売傾向が読み取りにくくなってしまうからです。
トップ商品のほか、年代・性別を問わずに購入されやすい商品、キャンペーンやシーズンに影響を受けない商品 も除外したほうが良いでしょう。

組合せを意識して分析する

バスケット分析には商品の組み合わせ方による長所・短所もあるため、目的に沿った組み合わせを意識して分析することがポイントです。

商品ごとに組み合わせて分析した場合、商品別の詳細なデータは得られても、パターンが多くなるため誤差が出やすくなります。また、カテゴリーごとに分析した場合は精度が高くなる分 、細かい内訳が分かりにくくなるでしょう。

まとめ:バスケット分析のコツを掴んでマーケティングの成功につなげよう!

  • バスケット分析とは、併売する 商品の関係性を分析するマーケティング方法
  • バスケット分析に使う4つの指標は「支持度・信頼度・期待信頼度・リフト値」
  • 分析のコツは「トップ商品の分析は避ける」「商品の組み合わせを意識すること」

マーケティングに効果的なバスケット分析を上手に活用することで、併売商品が購入される可能性を高めていけるでしょう。

今回解説したバスケット分析を取り入れて、売上アップを目指してみてください。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : データ分析 分析手法 顧客分析
このエントリーをはてなブックマークに追加