スーパーをよく利用する客層とは?自店舗の客層分析に有効な4つの手法も解説

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スーパーマーケットに携わっていると、「自店舗をよく利用する客層の傾向を、実際のデータから調べたい」「今後、自店舗ではどのような客層を集客していくべきか考えたい」と考える方もいるでしょう。

客層を把握しておくと、取扱商品の選定や販促施策の立案など、さまざまな業務の精度を高められます。そこで今回は、スーパーマーケット市場における客層の現状や、自店舗の客層を把握するのに有効な4つの分析手法を解説します。

「スーパーマーケット市場全体における客層の傾向をつかみたい」「自店舗でどのような取り組みができるか、顧客分析をもとに戦略を立て直したい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

高齢化が進むといわれるスーパーマーケット市場における客層の現状


スーパーマーケットは幅広い年代が利用していますが、近年は高齢者層が増えているといわれています。

「2024年度版スーパーマーケット白書」の「スーパーマーケットの利用頻度調査」によると、「ほぼ毎日買物をする」と最も多く答えた世代は、男性は60代で13.7%、女性は70歳以上で17.2%という結果でした。

さらに、1週間当たりの平均利用回数を性別・世代別に見ると50代以上の女性が3回を超えており、若年層よりも中高年層のほうがスーパーマーケットを利用する割合が多いようです。

出典:2024年版スーパーマーケット白書

スーパーマーケットのシェア拡大を目指すなら自店舗の客層を分析しよう

スーパーマーケット業界におけるシェアの拡大を目指すには、自店舗の客層を深く理解することが不可欠です。しかし、自店舗の客層が市場と同じとは限らないため、全体の傾向に従った対策を立てるだけでは、実際の顧客ニーズに応えきれない可能性もあります。

そのため、顧客分析を通して自店舗の現状を把握し、ターゲットに対して最適な販促施策をおこなうことが重要です。例えば、商品陳列や品ぞろえ、割引戦略、POP設置といった施策を顧客データに基づいて取り組むことで、購入の可能性が高い顧客にアプローチできます。

顧客属性を分析する際には、購買履歴や地域データを活用し、商圏分析と組み合わせて仮説を立てることが大切です。

スーパーマーケットの客層把握に役立つ分析手法4選

スーパーマーケットの客層を把握するには、以下の分析手法が有効です。

  • デシル分析
  • RFM分析
  • CTB分析
  • CPM分析

客層の分析は、年代・性別などの顧客属性や、購入頻度・リピート回数といった購買傾向のほか、さまざまな視点からおこなえます。多角的に分析することで、自店舗がターゲットとするべき具体的な客層を発見しやすいでしょう。

スーパーマーケットの客層把握に役立つ分析手法1:デシル分析

「デシル分析」は、顧客を購入金額の高い順から10個のグループに等分する分析手法で、スーパーマーケットの客層を把握する際に有効です。デシル分析では全体の売上からグループ別の売上貢献比率を把握することで、売上貢献度の高いグループを発見できます。

これにより、ランクの高い顧客には購買意欲を刺激するプロモーションをおこない、ランクの低い顧客には、購入金額や購入頻度を高めるためのセール情報を案内するなど、ランクに合わせた異なる施策を実施できます。

ただし、売上貢献度の高いグループには「購入金額が大きいだけで購入回数が少ない顧客」も含まれるため、デシル分析の精度はあまり高くありません。デシル分析に取り組む際は、分析結果に影響を与えるデータを除外して実行するなどの工夫が必要でしょう。

デシル分析を実際にやってみたいという方は、以下のエクセルで使えるデシル分析テンプレートをお役立てください。

スーパーマーケットの客層把握に役立つ分析手法2:RFM分析

スーパーマーケットの客層把握に役立つ、もう一つの分析手法は「RFM分析」です。RFM分析とは、3つの指標を使って顧客を優良顧客・新規顧客・離反顧客などにグループ分けする分析手法です。分析結果をもとに、各グループに適したアプローチをおこない、売上アップを目指します。

  • Recency(最終購入日)
  • Frequency(購入回数)
  • Monetary(購入金額)

RFM分析によって売上貢献度の高い優良顧客を発見し、そのグループに対して購買を促すアプローチをおこなうことで、来店頻度や購入率、顧客満足度の向上につなげられるでしょう。RFM分析をしてみたいときは、以下のRFM分析テンプレートをご活用ください。

スーパーマーケットの客層把握に役立つ分析手法3:CTB分析

スーパーマーケットの客層を把握する手法として「CTB分析」も有効です。CTB分析では3つの指標を使って顧客をグループ化し、購買予測を立てます。

  • Category(カテゴリ)
  • Taste(テイスト)
  • Brand(ブランド)

この3つの指標によって顧客の趣味嗜好を理解すると、「傾向が似ているグループの需要を予測する」「これから育成する潜在顧客のイメージを把握する」といったマーケティングがおこなえます。

スーパーマーケットの客層把握に役立つ分析手法4:CPM分析

CPM分析は、スーパーマーケットの客層把握に役立つ分析手法の一つです。

CPM分析では「購入回数」「購入金額」「初回もしくは最終購入日から経過した期間」といった指標を用いて、5つのグループに顧客を分類して育成段階を分析します。

《グループ分けの例》

  • 新規顧客:自社の商品やサービスを初めて利用した顧客
  • 育成顧客:購入や利用の履歴が2回以上ある顧客
  • 継続顧客:購入頻度や購入金額は低いが、リピートしている顧客
  • 流行顧客:短期間ながら高額な購入・利用履歴を持つ顧客
  • 優良顧客:長期間にわたり、高い金額で購入・利用している顧客

顧客を5つのグループに分類できたら、それぞれさらに「現役顧客」「離脱顧客」に分け、全部で10個にします。各グループに適した販促施策を考えるほか、グループ別の割合の推移を計測して施策の効果を検証するときにも活用できます。

こちらの記事でCPM分析について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

スーパーマーケットの利用頻度が低い世代を獲得するための施策例

ここでは、スーパーマーケットが今後獲得していくべき「ファミリー層」と「若年層」を挙げ、これらの客層を獲得するための施策例を解説します。
実際に狙うべき客層は地域・店舗によって異なるため、新たな客層や特に狙いたい客層を獲得するための施策イメージとしてご活用ください。

スーパーマーケットでファミリー層を獲得するための施策例

ファミリー層を獲得するには、親子で楽しめるイベントやファミリー向けのお得な施策が鍵となるでしょう。具体的な施策例を表にまとめたので、施策立案の参考にしてください。

  • 子供向けイベントやキッズコーナーの設置で家族での来店を促す
  • 経済的にお得なファミリーサイズの商品を取り扱う
  • 特売日の設定やタイムセールを実施して、まとめ買いを促す
  • 宅配サービスで忙しい子育て世代でも利用しやすくする など

こうした施策を組み合わせることで、利用頻度の向上と新たな顧客の獲得が期待できるでしょう。

スーパーマーケットで若年層を獲得するための施策例

若年層をスーパーマーケットの客層として取り込むには、彼らのライフスタイルや趣味に合う商品・サービスの提供が重要です。例えば、施策例として以下のようなものが挙げられます。

  • 短時間で調理できるおひとり様向けのミールキットを充実させる
  • 単身世帯でも使いやすい小分けの生鮮食品ラインナップを増やす
  • 店舗のデザインを若者向けにして、来店を楽しめる場所という印象を強める など

さらに、SNS映えするポップアップイベントの開催、デジタルクーポンの付与、キャッシュレス決済への特典なども、デジタル世代のニーズに応えられる施策です。こうした取り組みを通じて、若年層へのスーパーマーケットの利用促進と定着を目指せるでしょう。

まとめ:顧客分析で自店舗が狙うべきスーパーの客層を発見しよう

  • 市場全体において、スーパーマーケットをよく利用しているのは中・高齢者層である
  • スーパーマーケットのシェア拡大のためには、自店舗の客層を理解することが欠かせない
  • 客層の把握には顧客分析の手法が有効で、ターゲットに対する適切なアプローチが求められる

スーパーマーケットの市場全体では、中・高齢者層の利用が多く見られました。しかし、実際の傾向は地域によって異なる場合もあるため、市場全体の数値だけを頼りにするのはリスクが高いといえます。
自店舗のシェア拡大を目指すうえで、店舗に来店する客層の傾向を把握することは欠かせません。現状の傾向と今後狙うべき客層を明確にして、ターゲットに対して適切な販促施策を検討しましょう。

今回紹介した顧客分析の手法も参考にしながら、まずは自店舗の客層をしっかりと把握するためにID-POSデータや顧客データ、購買データを分析して見直すことから始めてはいかがでしょうか。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : スーパー スーパーマーケット データ分析 分析手法 客層 顧客データ分析
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