パーセプションマップで顧客の認識を可視化しよう!作り方3ステップ
「顧客がどのように自社のブランドや商品を認識しているのか把握したい」「市場分析や顧客分析に取り組んでいるものの、あまり効果を感じられない」といった悩みは、多くのビジネスマンが直面する問題です。
顧客からの認識を正しく把握できれば、商品開発やマーケティングなどさまざまな分野の精度を高められます。顧客が持つブランドや商品に対するイメージを理解するために、パーセプションマップを使った分析をおこないましょう。
今回は、パーセプションマップの概要や作成の手順、活用方法を解説します。ポジショニングマップとの違いもまとめましたので、マーケティングに役立ててください。
目次
パーセプションマップとは、顧客が認識するブランドや商品へのイメージのこと
「パーセプションマップ」とは、顧客がブランドや商品に抱くイメージを2軸のマトリクスで可視化するフレームワークです。
多くのマーケティング現場において、企業は自社が目指すべきポジションを定め、それに基づいて施策を展開しますが、環境変化や競合の影響を受けて顧客の認識にズレが生じることがあります。そのままズレを放置すると、自社が意図するブランドや商品の価値が正しく伝わらず、顧客の支持を失いかねません。
そのようなとき、顧客が持つ自社のブランドイメージを再確認するために活用できるのが、パーセプションマップです。マップ上で「自社の理想とするポジション」と「顧客が認識している現状」を比較できます。
分析結果をマーケティング戦略の見直しや、新商品のポジショニングを検討する際に役立てることで、顧客との認識のズレを埋める効果的な施策の立案が可能となるでしょう。
ポジショニングマップとの違い
パーセプションマップとポジショニングマップはどちらもマトリクスタイプの表ですが、分析する視点により、マップの作成目的や用途が異なります。
ポジショニングマップ | 市場における自社のポジションや競合との関係性を把握するために、企業視点で作成する |
パーセプションマップ | 顧客が自社のブランドや商品をどのように認識しているかを把握するために、顧客視点で作成する |
ポジショニングマップは、自社の目指すべきポジションを明確にするためのフレームワークで、市場戦略の方向性を決める際に使用します。一方、パーセプションマップは顧客視点に立った分析をおこなうためのフレームワークで、顧客がどのように自社やブランドを認識しているかを明らかにする表です。
両者の結果にズレがある場合は、ターゲティングやマーケティング戦略の再調整が必要です。
パーセプションマップを作成する3ステップ
パーセプションマップは、以下の3ステップで作成します。
- 軸とする要素を決める
- 顧客の認識を収集する
- 収集したデータをマッピングする
手順を覚えて作成してみましょう。
パーセプションマップの作成ステップ1:軸とする要素を決める
パーセプションマップを作成するにはまず、マップの軸となる要素を決めます。軸を設定する際には、顧客が自社と競合他社をどのように比較し、評価しているかを知る必要があります。そのため、顧客が重視する要素を選ぶことが基本です。
例えば、低価格帯であることを強みとする場合は「価格」を、高価格帯の商品を展開する場合は「ブランド認知度」というように、ターゲットと関連性の高い要素を設定することで、効果的な分析結果を得られます。
設定する軸は独立した2つの要素を選ぶのがポイント
パーセプションマップに設定する2軸は、それぞれ独立性の高い要素を選びましょう。
「価格」と「機能性」のように相関関係が強い要素を選ぶと、データの分布が直線状になり、分析する意味がなくなるためです。
「価格」と「年齢層」のように、異なる特性を持つ要素を組み合わせることで、顧客の認識を多面的に捉えられるマップを作成可能です。
パーセプションマップの作成ステップ2:顧客の認識を収集する
次に、ブランドや商品に対する顧客の認識を把握するために、アンケート・インタビューなどによるリサーチをおこないます。
リサーチにより、顧客が調査対象に対して持つイメージや評価基準を、定量的に測定します。例えば、商品の「価格」「品質」「デザイン」といった要素に焦点を当て、評価を求める質問をすることで顧客の価値観を把握できます。
収集したデータはパーセプションマップの軸設定などに影響を与えるため、対象者や質問内容を慎重に選定することが重要です。
顧客に対するリサーチの詳しいやり方については、こちらの記事で解説しています。
パーセプションマップの作成ステップ3:収集したデータをマッピングする
続いて、設定した2軸のマトリクスにリサーチで収集した顧客データをプロットすると、パーセプションマップの完成です。こうして作成したパーセプションマップから情報を読み取り、さまざまな施策に活用できます。
パーセプションマップの活用方法3選
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ここでは、パーセプションマップの3つの活用方法を紹介します。
- 顧客視点での自社の立ち位置を把握する
- 競合との差別化ポイントを発見する
- ブランドに対する顧客の価値観を把握する
パーセプションマップの活用方法1:顧客視点での自社の立ち位置を把握する
パーセプションマップを活用することで、顧客から見た自社の立ち位置を明確に把握できます。 これにより、市場においてどのエリアの競争が激しいのかを見極められるため、自社が狙うべきエリアを探すときに役立つでしょう。
顧客視点によるパーセプションマップの場合、空白エリアは顧客ニーズのないことを示しています。そのようなポジションを取ったとしても顧客に求められていないため、売上につながりにくいといえるでしょう。
例えば以下は「価格(高価格/低価格)」と「店舗の雰囲気(特別感がある/カジュアルに使える)」を軸にした喫茶店のパーセプションマップの例です。
マップからは「高価格で特別感がある」「低価格でカジュアル」といった位置関係が浮かび上がります。自店舗の印象を確認し、訴求したい内容やコンセプトと合致しているかを分析しましょう。そして、情報をもとに、競争の激しいエリアや顧客ニーズのない空白エリアを避けつつ、店舗を展開していくとよいでしょう。
パーセプションマップの活用方法2:競合との差別化ポイントを発見する
パーセプションマップによって、顧客から見た自社の強みと弱みを理解することで、競合との差別化ポイントを発見でき、マーケティングに取り入れられるでしょう。
例えば、スポーツウェアのブランドを「デザイン性(おしゃれ/シンプル)」と「機能性(多機能/機能が少ない)」の2軸でマッピングしたときに、以下の特徴が浮かび上がったとします。
- 競合:おしゃれで多機能
- 自社:機能が少なくシンプル
パーセプションマップの配置を見ると、自社製スポーツウェアの特徴が「機能を限定したシンプルなデザイン」であることがわかります。
同じポジションに競合他社がいないため、
- デザイン性よりも着やすさ・使い勝手の良さを重視するターゲット向けに展開する
- シンプルなデザインと機能性だからこその低価格を訴求する
などの差別化戦略を考えられます。
一方で「機能性の低さ」を弱みと考える場合は、機能性が高い新商品の開発や既存商品の改良なども検討できます。このように、パーセプションマップを用いることで、強み/弱みを加味した戦略を打ち出せるでしょう。
パーセプションマップの活用方法3:ブランドに対する顧客の価値観を把握する
パーセプションマップを活用すると、軸に設定した要素から、顧客がブランドに抱いている価値観を深く理解できます。 また、マップには顧客側の視点が反映されるため、企業側との認識のズレを発見し、ブランディング戦略を修正することも可能です。
例えば、レディースアパレルブランドについてパーセプションマップを作成する際に「ブランドイメージ(華やかで若々しい/落ち着いたフォーマル感)」と「デザインの個性(独自性がある/無難で長く着られる)」の軸で可視化すると、顧客がどの特性を重視しているかがわかります。
このパーセプションマップを見ると、自社は顧客から「落ち着いたフォーマル感があるブランドで、長く着られる無難なデザインが多い」と思われていることが分かります。このようにブランドイメージを可視化することは、商品開発やプロモーション戦略の方向性を定める際に役立つでしょう。
まとめ:パーセプションマップで顧客視点でのイメージを捉えよう
- パーセプションマップによって、顧客がブランドや商品に抱くイメージを理解できる
- ポジショニングマップとの違いは視点が「企業」と「顧客」のどちらであるか
- マップ作成時は独立性の高い要素を軸とし、アンケートやインタビューで顧客の認識を収集する
パーセプションマップとは、顧客がブランドや商品に持つイメージを2軸のマトリクスで可視化する分析手法です。企業視点で市場におけるポジションを把握するポジショニングマップとは異なり、顧客視点によるブランドや商品のイメージをつかめます。
パーセプションマップを作成する際は、顧客の認識をさまざまな面から捉えるために、独立性の高い2つの要素を選びましょう。また、顧客へのリサーチ結果はマップの分析結果に影響するため、目的に合った対象者や質問内容を選ぶことが欠かせません。
今回解説したパーセプションマップの作り方を参考に、まずは顧客が自社に対して持っている認識を集め、データ化することから始めてみてはいかがでしょうか。