リアル店舗のマーケティングに必要な2つの考え方とは?施策例も解説

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EC市場の発展が進む現代では、ECサイトにリアル店舗の顧客が流れるケースも少なくありません。そのような状況で、「リアル店舗の集客が思うようにいかない」「戦略的なマーケティングをおこないたいが、何から始めるべきかわからない」と悩む方もいるでしょう。

リアル店舗のマーケティングを成功させて売上を伸ばすには、売上を構成する要素や商圏の顧客について理解を深めることが欠かせません。

今回は、リアル店舗のマーケティングに必要な2つの考え方や、具体的な施策例を解説します。リアル店舗の売上アップにつながるヒントを知りたい方、リアル店舗の強みを生かしたマーケティング施策を実践したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

リアル店舗のマーケティング戦略に必要な2つの考え方


リアル店舗で売上を伸ばすには、顧客に足を運んでもらうこと、そして商品を購入してもらうことの2つが不可欠です。しかし、競合店舗が参入してきたり、顧客の消費行動が変化したりするなどの要因で、単に集客施策を打つだけでは効果を得にくいため、戦略的なマーケティングが求められています。

顧客にリアル店舗へ足を運んでもらい、商品を購入してもらうために、押さえるべきポイントはこの2つです。

  • 売上の構成要素を理解すること
  • 商圏の顧客を理解すること

マーケティング戦略におけるこれらの考え方を、それぞれ詳しく解説します。

リアル店舗のマーケティング戦略に必要な考え方1:売上構成要素を理解すること

リアル店舗のマーケティング戦略では、売上の構成要素を理解することが欠かせません。

売上は「客数」と「客単価」で構成されており、
『売上 = 客数 × 客単価』の計算式で求められます。

売上を構成する客数と客単価をさらに分解するには、以下の計算式を使います。
なお、客数と客単価の分解方法にはいくつかあるため、参考としてください。

  • 客数 = 来客数(来店した客数)×買上率(来客数のうち商品を購入した割合)
  • 客単価 = 買上平均単価(顧客1人あたりの平均購入金額)× 買上平均点数(顧客1人あたりの平均購入点数)

構成要素を理解することで、売上が伸び悩んでいる原因はどこにあるのか、どの要素を改善すれば課題を解決できるのか、といったヒントをつかめます。

リアル店舗のマーケティング戦略に必要な考え方2:商圏内の顧客を理解すること

リアル店舗のマーケティング戦略では、商圏の顧客を理解することも大切です。

リアル店舗には商圏が存在します。「商圏」とは、来店の見込める顧客が住む地域、すなわち集客可能な範囲のこと。商圏を調査することで、販促すべきエリアやターゲットとなる顧客の特徴をつかめます。

商圏は店舗との距離に応じて一次、二次、三次に分類されます。

  • 一次商圏:店舗から半径約1km、徒歩で10~15分の範囲
  • 二次商圏:店舗から半径約3km、自転車で10~15分の範囲
  • 三次商圏:公共交通機関や車を使って30~40分の範囲

そのほか、店舗から徒歩5分程度でアクセスできる範囲を「足元商圏」として扱う場合もあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

商圏を分析して顧客を理解することで、さまざまな情報を得られるため、需要に合ったマーケティング戦略を実行可能です。具体的な分析項目を説明します。

顧客理解につながる商圏分析の項目その1:人口特性・ライフスタイルの分析

商圏分析で顧客を理解するには、まず人口特性やライフスタイルの分析が有効です。

人口特性やライフスタイルを分析すると、

  • 商圏に住む、来店の可能性が高いターゲット層を発見する
  • 商圏で生活する顧客の購買傾向を可視化する
  • ターゲットに合わせたマーケティング戦略を立案する

などが可能になります。

分析をおこなう際に年齢・性別・世帯構成・収入・職業といったデータを用いると、自店舗が狙うべきターゲット層や、有効なマーケティング施策を考えやすいです。加えて、時間帯別の顧客行動を調査すると、店舗運営に役立つデータを得られるでしょう。

顧客理解につながる商圏分析の項目その2:交通・アクセス状況の分析

商圏分析で交通・アクセス状況を分析することも、顧客の理解につながります。

交通やアクセス状況を分析することで、

  • 来店がピークに達する時間帯
  • 商圏の顧客が来店しやすい立地条件
  • 広告を最適化するために必要な、商圏の人流データ

このような、リアル店舗のマーケティング戦略に役立つ情報を得られます。
交通・アクセス状況を分析する際は、商圏の主要な通行ルート、駅・バス停の利用率や店舗との距離、人流データなどを見ると良いでしょう。

顧客理解につながる商圏分析の項目その3:競合店舗の分析

商圏の顧客を理解する上で、競合店舗の分析も欠かせません。競合店舗を調べることで、次の分析が可能です。

  • 自店舗のターゲット顧客がどこに流れているかを把握する
  • 市場のニーズに対して、自店舗の商品やサービスが適切か判断する

分析結果から、競合店舗と比べた自店舗の強みや課題を洗い出し、マーケティング戦略に役立てられるでしょう。競合分析は、競合となりうる店舗の数や業態、商品・サービスの価格帯などの情報をもとにおこないます。

リアル店舗の強みを生かしたマーケティング施策例2選


リアル店舗には、以下のようにさまざまな強みがあります。

  • 未購入でも商品を手に取れる体験を提供できる
  • 「今すぐ手に入れたい」ニーズに対応可能
  • 顧客に対面接客の安心感や満足感を与えられる
  • 店内の雰囲気や陳列で、顧客に計画外の購入を促せる
  • 店舗独自のイベントやキャンペーンを開催できる
  • 返品・交換の対応で顧客満足度を維持できる など

ここでは具体的な施策例とともに、リアル店舗ならではの強みを生かすマーケティング戦略を解説します。

リアル店舗の強みを生かしたマーケティング施策例1:店舗限定の体験型イベントを実施

リアル店舗の強みを生かしたマーケティング施策の一つは、店舗限定の体験型イベントを開催する方法です。具体的には、

  • 試飲・試食イベント
  • ワークショップ
  • プロによる無料相談会

といった施策が挙げられます。
体験型イベントを店舗で実施することで期待できる効果は、以下のとおりです。

  • 商品・サービスの魅力を実際に体感してもらえるため、顧客の購買意欲を高められる
  • 顧客の滞在時間が増え、追加商品の購入につながる
  • その店舗でしか使えない特典を提供することで、競合と差別化できる など

体験型イベントの実施例:コスメショップの場合

コスメショップにおいて「来店数を増やす」「客単価を上げる」という目的のために「体験型イベント」を実施した場合、以下のような効果が期待できます。

施策例 期待できる効果
「プロによる無料パーソナルカラー診断×おすすめ商品提案会」の開催
  • 診断を受ける目的で店舗に来店する顧客が増える
  • 診断結果をもとにすすめた商品に対する、顧客の購買意欲が高まる
  • 診断を受けた顧客の商品購入率が上がる など

このケースでは、上記の体験型イベントを実施することで「無料パーソナルカラー診断」を目的とした顧客の来店数増加が期待できます。さらに、診断結果という根拠をもとにしたおすすめ商品を提案することで、顧客の商品購入率を増やす効果も得られるでしょう。

また、開催日時を選ぶ際に、自店舗のターゲット層が来店しやすい曜日や時間帯を仮説立て、「土日の午後」「平日の夕方」などの集まりやすい日時を絞り込むと、費用対効果をさらに高められます。

リアル店舗の強みを生かしたマーケティング施策例2:店舗受け取りサービス

ECサイト(オンライン)で購入した商品を店舗(オフライン)で受け取れるサービスも、リアル店舗の強みを生かしたマーケティング施策の一つです。

店舗受け取りの際に送料が無料になる、店舗での決済時に付与ポイントが2倍になるといった特典を提供することで、顧客満足度が向上し、客単価やリピート率の向上につながるでしょう。

この、オンラインからオフラインのチャネルへ行動を促す施策はO2O(Online to Offline)と呼ばれ、リアル店舗の来店を増やす上で有効です。O2Oにより、以下のようなマーケティング効果が期待できます。

  • 来店のきっかけを作り、他の商品をついで買いする機会を提供できる
  • 配送コストを削減でき、オンライン事業とオフライン事業の相乗効果が生まれる
  • 商品状態を確認した上で購入してもらえるため、安心感を提供できる など

O2O施策の実行例:アパレルショップの場合

アパレルショップにおいて「来店数を増やす」「顧客満足度を上げる」という目的でO2Oを実施する場合、以下の施策が考えられます。

施策例 期待できる効果
ECサイトでの取り置き商品を店舗で受け取れるサービス
  • ECサイトの顧客をリアル店舗へ誘導できる
  • 利便性を高めることで顧客満足度が上がる など

このケースでは、これまでECサイトを利用していた顧客をリアル店舗に誘導し、「試着ができる」という強みで顧客満足度を高める効果が期待できます。さらに、「次回以降の店舗での購入」に使えるクーポン券を渡すなどの特典施策を組み合わせると、その後のリアル店舗利用も促せるでしょう。

まとめ:リアル店舗のマーケティングは売上構成要素と顧客の理解から始めよう

  • リアル店舗の売上を伸ばすには「顧客に足を運んでもらい、商品を購入してもらうこと」が不可欠
  • 売上の構成要素を洗い出すことで、売上が伸び悩む原因を特定できる
  • 商圏の顧客を理解することで、販促すべきエリアやターゲット顧客の特徴をつかめる

リアル店舗の売上を増やすにはまず、顧客に足を運んでもらうことと、店舗で商品を購入してもらうことが欠かせません。そのためのマーケティング戦略を考える際には、売上の構成要素と商圏の顧客を理解しておく必要があります。

売上を分解して改善すべき要素を洗い出し、解決につながる施策を考えましょう。その次に、商圏の顧客について理解できたら、需要に合わせたマーケティング戦略を実行することが大切です。

リアル店舗のマーケティングに取り組む方には、自店舗の顧客や商圏を分析して、ターゲットになりそうな特徴を絞り込むことから始めるのをおすすめします。顧客データを分析する、商圏の統計データを見るなど、取りかかりやすいことから着手すると良いでしょう。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : データ分析 マーケティング リアル店舗 分析手法 商圏分析
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