人流調査に必要なデータの取得方法は5つ!活用方法と合わせて解説
人流調査とは、人々の動きの流れを把握するための調査です。しかし「結局、人流調査はなんのためにやるの?」「実際にどのようなシーンで活用できるの?」と疑問を感じている方も多いでしょう。
今回は、人流の定義や人流調査が注目されるようになったきっかけについて触れた後で、人流調査をおこなう5つの方法や人流データの活用方法を解説します。
人流調査をおこなって自社のエリアマーケティング精度を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
人流とは「場所から場所へ人が移動する動き」のこと
人流とは、以下のような「人が移動する動き」を指します。
- 人々がいつ・どこに・どのぐらい滞在したのか
- 人々がどこからどこへ移動したのか
- 特定のエリアで人々がどのような動きをしたのか
- 特定のエリアに何人が滞在しているのか
人流を数値化したものを「人流データ」といい、近年では多くの企業が人流データを収集・蓄積するなど、活用機会が増えています。
人流調査が注目されたきっかけ
人流調査が注目されるようになった背景として挙げられるのは、主に以下の4点です。
- 取得できる位置情報データの精度が向上した
- 低コストになり、ビッグデータを取り扱いやすくなった
- 都市計画やイベントなど、人流データを活用できる機会が増えた
- 感染症対策の一環として活用される機会が増えた
特に、現代では多くの人々がモバイル端末を所有するようになったため、従来よりも高精度な人流データの取得が可能になりました。
また、AIの普及やコンピューターの進化によって、低コストかつ短時間で大量のデータを扱えるようになり、活用できる場面が増えたことも、人流調査が注目されている理由です。
人流調査で得たデータを活用するメリット
人流調査で得たデータを活用するメリットとして、以下の4点が挙げられます。
- 常時収集される鮮度・精度の高いデータを利用できる
- 現地調査に必要なコストを抑えられる
- 期間や時間帯、エリアなどを絞ったデータを利用できる
- 過去のデータと照らし合わせて、比較・検証をおこなえる
これまで収集されていた統計情報には「収集に人手が必要である」「データの収集頻度が低い」といった問題点がありました。しかし、人流調査では低コスト・低労力で最新の人流データを収集できるため、より精度の高い分析データとして活用可能です。
人流調査でデータを取得する5つの方法
人流調査におけるデータの取得方法として、ここでは代表的な5つの方法を紹介します。
- GPS
- Wi-Fi
- 携帯電話の基地局
- カメラの映像解析
- BLEビーコン
それぞれの方法について、概要や特徴を解説します。
人流データ取得の方法1:GPS
GPS(Global Positioning System)とは、人工衛星から電波を受信し、地球上の位置情報を取得するシステムです。
GPSが位置情報サービスを提供する携帯電話の地図アプリなどを介して収集した個人の位置情報は、ビッグデータとして数値化できます。
ただし、GPSの設定をオフにしている人々の位置情報は把握できないため、注意してください。また、データは特定の地図アプリやSNSを通して取得されるため、収集できる人流はあくまで一部である点も押さえておきましょう。
人流データ取得の方法2:Wi-Fi
駅構内・空港といった施設や一部の店舗などには、不特定多数の人々が利用できるフリーWi-Fiを設置している場合があります。このWi-Fiに接続した携帯電話やパソコンなどの通信情報をもとに、人流データを収集可能です。
Wi-Fiを利用する際に性別や年齢などの登録情報が必要な場合、より詳細な人流データを得られます。
ただし、人流データを収集できるのはWi-Fiの電波が届くエリアに限られます。広範囲にわたって人流調査をおこなう場合は、別の方法で収集されたデータも活用すべきでしょう。
人流データ取得の方法3:携帯電話の基地局
基地局とは携帯電話や無線通信機器などと交信するための施設で、全国各地に設置されています。
データを取得できるエリアが広く、GPSが届かない室内やGPSが有効になっていない場合でも、電波の届く携帯電話を使用している人々の人流データを調査可能です。
365日24時間いつでも位置情報を取得できるため、基地局で取得した人流データはな都市開発や広範囲にわたる商業エリア、インフラの設計などにも用いられています。
人流データ取得の方法4:カメラの映像解析
ショッピングモールや駅構内など、あらゆる場所に設置されたカメラの映像からも、人流データを取得できます。通行人数のカウントや混雑状況の把握、顧客属性の分析などに役立てられるでしょう。
カメラの画像解析では映像データで人流を調査するため、通信機器を持っていない人やGPS・Wi-Fiなどをオフにしている人を含めたデータを取得できます。
ただし、カメラの画角外や設置されていない場所のデータは得られないため、人流データの収集範囲は限られます。
人流データ取得の方法5:BLEビーコン
BLE(Bluetooth Low Energy)とは、少ない電力で近距離の通信をおこなえる技術のこと。ビーコンとは、半径数十メートルであれば地上や地下に関係なく通信できる発信機です。
BLEビーコンは、店舗などに設置した送信装置が定期的に信号を発信し、携帯電話などのデバイスが近づくと通信して位置情報を取得する仕組みです。
ただし注意点として、BLEビーコンの電波を受信できるのは、専用のアプリをインストールしたデバイスのみです。また、BLEビーコンは単独では通信範囲が狭いため、距離を取って複数台設置する必要もあります。
人流調査で得たデータを活用するための3ステップ
人流調査で得たデータは、以下の3ステップで活用しましょう。
- 目的や必要なデータ要件を確認する
- データの取得方法を決める
- 取得したデータを加工・分析する
それぞれのステップについて、ポイントを解説します。
人流データ活用のステップ1:目的や必要なデータ要件を確認する
まず、は人流データの活用目的を明確にして、必要なデータ要件を整理しましょう。
人流データを収集するだけでは意味がないため、目的に応じて必要なデータの種類・エリア・期間・鮮度・属性などを検討し、それらをもとにデータ収集の方針を立てることが大切です。
人流データ活用のステップ2:データの取得方法を決める
データ要件が決まったら、人流データの特性を考慮して適切な取得方法を選択します。
広いエリアでの移動パターンを把握したい場合は、GPSや基地局のデータが有効です。また、特定の施設内における顧客動向をつかむにはWi-Fiの情報やカメラ映像、小規模な店舗内での顧客の視認度を把握する場合はBLEビーコンが役立つでしょう。
人流データ活用のステップ3:取得したデータを加工・分析する
最後に、取得したデータを適切な形に加工・分析して活用しましょう。
地図上で色分けをして、期間や時間帯別、年齢・性別などに基づいた分析をおこない、さまざまな角度からデータを見てください。さらに、他のデータとの組み合わせによる相関分析にも取り組むと、より精度の高いマーケティングデータを得られます。
マップマーケティングの「TerraMap Web」では、人流データ分析機能による来訪者分析や通行量分析が可能です。詳しくは以下のページをご覧ください。
まとめ:人流調査で得たデータをマーケティングに生かそう!
- 人流とは「場所から場所へ人が移動する動き」のこと
- 人流データの調査方法は主に5種類ある
- 人流データの活用は、正しくデータを加工・分析するのがポイント
人流を数値化した「人流データ」は近年多くの企業が注目し、マーケティングにおける幅広いシーンで活用されています。
人流データの代表的な取得方法は、GPS・Wi-Fi・携帯電話の基地局・カメラの映像解析・BLEビーコンの5つがあり、特徴やメリット・デメリットが異なります。活用目的やデータ特性を考慮して取得方法を選びましょう。
人流データは明確な目的を持って収集し、適切な形に加工・分析してマーケティングに活用しましょう。