スーパーの商圏は何kmが最適か。一般的な距離とその概念について解説します
自店舗の商圏が何kmかを把握することは、実店舗ビジネスを成功させるうえで、重要な要素の一つとなります。しかし、地域や特性によってはその商圏の距離は、大きく変わってきます。商圏の距離が変わると、販促施策を変える必要があったり、集客のためのキャンペーンを商圏内のターゲットに合わせたりする必要があります。
そこで今回は、スーパーの一般的な商圏や商圏を特定するうえで必要な概念を整理し、自社の商圏範囲を正確に把握することの重要性について解説いたします。
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目次
スーパーの商圏は何kmか?
スーパーの商圏は、何kmくらいが最適でしょうか。
その地域の世帯数や移動手段などで多少の変動はありますが、
一般的なスーパーの商圏は、都市部であれば半径500~700m(徒歩・自転車で約10分以内)、地方であれば半径2km(自動車で約10分以内)といわれています。
どういった場合にスーパーの商圏は変わるのか?
ただし、「都市部で徒歩・自転車で約10分以内、地方は自動車で約10分以内」というのは、あくまでも一般的な話です。その店舗周辺の地理的な環境によって商圏範囲は異なるため、一律に商圏がどのくらいの距離になるのかを決めることはできません。
では、いったいどのような要因で商圏が変わっていくのでしょうか。
商圏が変わる要因1:移動手段
都市部・郊外(近郊)・地方とでは、移動手段が異なります。
都市部の来店方法は徒歩か自転車、地方ではほとんどの来店客が自家用車で店に乗りつけるでしょう。まれに、店舗の近くに地域主要バス路線のバス停があれば、バスに乗って買い物に来るお客様もいるかもしれません。
商圏範囲を見極めるためには、来店方法の把握と、その来店方法をとった場合の時間距離を考慮する必要があるのです。
商圏が変わる要因2:競合店の立地
日本国内で商売を営んでいる以上、よほど郊外のへき地へ行かない限り、スーパーの商圏内に競合店がまったくない、という状況は考えづらいでしょう。
一方で、仮に「都市部徒歩10分圏内、地方自動車10分圏内」に対象顧客層の多く住んでいる住宅街があったとしても、その住宅街に自店舗よりも近い場所に競合店があった場合、わざわざ近所の競合店を通り過ぎて、自店舗にやってきてくれるものでしょうか。
そういった場合、住宅街は商圏から外し、より見込みの高そうな別の住宅街を商圏に加える、という判断が必要になります。
商圏が変わる要因3:大きな道路や線路などの商圏分断要因
一般的な商圏が、都市部であれば半径500~700m、地方は半径2kmになるとはいえ、実際の商圏はキレイな円にはなりません。いわゆる「商圏バリア」と呼ばれる、大きな道路や踏切、橋、大河、線路などの阻害要因の影響をうけます。
その結果、人々の導線にそって、ある特定の街道、路線にむかって細長くのびていくような、変形した商圏となるケースが多く見うけられます。
スーパーの商圏を設定する際に知っておきたいポイント
スーパーの商圏を設定する際、上記のような競合上・地理上の変動要因に加えて、消費者目線からも押さえておきたいポイントがあります。例えば、買い物以外の導線や副次的な利用目的などです。ポイントカード・システムの会員情報分析や、お客様アンケートなどを活用することで、より深く推察できるようになるでしょう。
消費者の導線
例えば、自宅までの帰り道は徒歩12分で、その道中にスーパーが2店舗あったとします。
A店は、駅と隣接した建物の1Fに、もうB店は家から歩いて約3分だった場合、お客様はどちらを選ぶでしょうか。
もちろん商品の品ぞろえやよく使うポイントカードなども影響するかもしれません。しかし、条件が全く同じだった場合、重い荷物を運ぶ時間や手間の少ないB店を選ぶ可能性が高いでしょう。
このようにお客様にとって“店舗がどのような位置付けになっているか”というポイントも出店戦略を練る際には念頭に置いておくべきでしょう。
消費者の二次的、副次的な利用目的
スーパーのそばに大型病院や銀行・郵便局などの施設がある場合、それらの施設を利用する人(ユーザー)が、「ついでの買い物」を楽しむということも考えられます。
大病院の近所のスーパーなら、例えば単身高齢者の利用も多く見込まれることから、そのお客様向けに少量パックのお総菜ラインナップを拡充する、などの施策に結びつけられる可能性もありますね。
まとめ:スーパーの商圏は、競合・地理的条件・消費者導線を意識して策定する
スーパーの商圏は単純に「何km」と割り切れるものではありません。まして、地図上の自社店舗から、コンパスで円を書けば自社商圏になるものでもありません。
スーパーの商圏分析やマーケティングでは、好立地での出店が大きな課題。出店計画策定の前にできる限り精緻で実現性の高い商圏設定が重要です。そのためには、エリアマーケティングの専門家やコンサルタントにも相談することで、自社のリソースだけでは気づかない点などを指摘してもらうのも有効な手段でしょう。
また、既存店については、全く手がない、ということではありません。例えば、競合店とのカリバニ(食い合い)の状況を正確に把握し、ターゲット属性や商圏の特性に合わせて、新規顧客開拓が可能なエリアにポスティングしたり、クーポンを使った新規顧客開拓の施策を打ったりするのも一つの手段です。
まずは、自社が持っている顧客データなどをGISソフトにマッピングしてみて、自社の商圏設定を調査し、ゼロから分析・設定してみてはいかがでしょうか?これまでに気づかなかった、業績改善につながるヒントが多く隠れているかもしれません。
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