商圏分析に使用されるGISとは?概要や活用方法を紹介!
商圏分析において、地理的情報は必要不可欠です。地形や道路情報・競合店数・統計データなどを組み合わせて、
商圏の特性を分析するのに役立つシステムが「GIS(Geographic Information System:地理情報システム)」です。
今回は最新の地理情報がわかるGISの歴史・概要、活用方法などを紹介します。
目次
民間企業でのGIS使用は1990年代中盤から
1960年代にカナダで開発されたシステムがGISの始まりとされています。1970年代には国内でも研究が始まりましたが、民間企業のマーケティングに活用されだしたのは、開発が本格的に動き出した1990年代中頃からです。
2000年に大規模小売店舗法の廃止や大規模小売店舗立地法の施行など、出店規制に関わる政策が大きく変化したことに伴い、対象店舗の駆け込み出店が相次ぎ、商業の世界は大量出店時代に突入します。
店舗数が増加した結果、今まで手作業でおこなっていた商圏分析や管理が難しくなった民間企業がGISに注目したのです。また、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけにGISの重要性が認められ、開発が一気に進んだことも導入企業が増えた要因の一つといわれています。
そもそもGISとは何をするシステムなのか
GISとは、デジタル地図上に統計/推計データを重ねて可視化し、分析するためのシステムです。正式名称は地理情報システム(geographic information system)といい、頭文字を取ってGISと略されます。
GISの開発が進む前は、集められた膨大な情報の分析や出力をおこなうコンピューター技術が足りなかったため、精度の高いデータを扱うのは難しいことでした。しかし、IT技術の発展によって扱えるデータ容量が増加し、データ通信の速度が向上した結果、リアルタイムの地理的情報が不可欠な民間企業でも活用できるシステムとなったのです。
現在、GISは商業目的に留まらず、スマートフォンのマップやカーナビ・防災面で重要なハザードマップなどさまざまな分野で活躍しています。
GISによる商圏分析が活躍するシーンとは?
IT技術の発展で精度を高めたGISは、実際に民間企業でどのように活かしているのでしょうか。GISでのデータ分析は今や商圏分析には欠かせませんが、中でも特に活躍しているシーンをピックアップしました。
活用シーンその1:店舗開発
GISを導入した多くの民間企業がまず取り組んだのは、店舗開発での活用です。
GISを利用して地理情報や競合店舗の有無・地域住民の統計データなどを抽出することで、出店予定地の商圏となる範囲や売上予測が立てやすくなるのです。
また、地域の特性を分析できるので、新店舗のコンセプトを定めるときにも役立ちます。
バブル期の商業シーンでは、物件をできるだけ多く確保して店舗を出す風潮がありましたが、現代のビジネスにおいては「事業が確実に成功するエリアの見極め」が大切です。GISを活用することで立地属性や商圏の特性を効率的に精査して、短い時間でエリアを見極められるのです。
活用シーンその2:既存店の分析
既存店分析にもGISが活用されています。
既存店舗の商圏をGISで分析することで、今後の新店舗出店の基準となる「しきい値」が設定できるのです。
売上が安定している既存店舗の分析データと類似する地域を絞り込めば「自社のコンセプトに合う、ビジネスが成功する立地」を抽出しやすくなります。
既存店の売上が伸び悩んでいるときもGISのデータをもとに地域の特性を見直し、改善に繋げられるでしょう。商圏の状況は常に変化し続ける流動的なもの。常に最新状況をチェックできるGISであれば、必要なときに分析し直して運営に活かせるのです。
活用シーンその3:販売促進
販売促進の戦略を組み立てるときもGISデータは欠かせません。
なぜならGISで最新のエリアデータ(商圏データ)を入手できれば、エリアごとの特性に最適化された販売手法を取り入れられるからです。
また、人口密度や世帯構成などのデータをもとにエリアを順位付けすることで、販促を優先すべき地域が明確になります。地域に合わせて効果が高い手法を導入できるので、販促の費用対効果向上にも繋がるでしょう。
活用シーンその4:リテールサポート
GISはリテールサポートにも活用されています。リテールサポートとは、メーカーや卸業者が商品を販売する小売店に対して商品や販促の提案、またその活動をサポートすることです。
メーカーや卸業者は小売店ごとにGISデータを参照し、商圏の人口構成や地域ニーズを分析します。その結果をもとに、売上アップに繋がる商品提案や販売手法のサポートをおこなうのです。
このリテールサポートをしっかりと実施することで、小売店は売上を上げやすくなり、メーカーや卸業者も商品を多く受注できるという双方にメリットがある状況ができあがります。多くの取引先を抱えるメーカーや卸業者だからこそ、最短で最新情報を取得できるGISが活躍するのです。
まとめ:GISで商圏の特性の理解度を深めよう
店舗運営では、店舗のあるエリアはどんな場所で、地域住民が何を求めているかを常に把握しておくことが重要です。定期的に分析データを見直さなければ商圏のニーズが変わったことに気付かず、古いデータによる的外れな運営をしてしまうでしょう。
常に最新の地図情報を取得できるGISを活用して、商圏データをアップデートし続けましょう。
その他のエリアマーケティングを最大限活用する方法については、こちらでも紹介しています。