商圏の持つポテンシャルは最大化できている?分析方法と最大化の手法とは
ポテンシャルという言葉は、人の潜在能力(隠れた資質)」などの意味で使われますが、
「商圏のポテンシャル」は、商圏内にいる集客可能なターゲット層の人口総数や、想定見込み売上などのことを指します。こういった地域のポテンシャルは、不動産コンサルやエリアマーケティングに関するコンサルが企業向けに出店支援サービスとして提供しているケースがありますが、自社でも分析して収益を確保できるようにしたいですよね。
そこで今回は、自社商圏のポテンシャルを把握して、マーケティング戦略を最大化するための分析方法を解説いたします。
新規出店か既存店かによっても、その分析/最大化のための手法はさまざま。ぜひ、いろいろな側面から商圏ポテンシャルを分析する手法を身につけて、自社の課題解決にお役立てください。
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目次
商圏のポテンシャルはどのように分析すべきか
商圏のポテンシャルを把握するためには、いくつかのポイントを絞って分析する必要があります。
こちらでは、地域ポテンシャルを分析する際に重要な3つのポイントと、分析するさいに念頭においておきたい考え方をご紹介していきます。
ポイント①:地域特性の把握
地域の特性を見る際は、その地域に関するビッグデータ、統計データなどを活用して分析します。
分析する際は、商圏内の人口総数はもちろんのこと、年齢区分、男女比、世帯構成、世帯年収などの切り口から、商圏内人口を確認してください。
例えば、「他の地域にくらべて、若い世帯が多い」であったり、「他の地域にくらべて、世帯年収の高いエリア」であったりといった地域の特徴が見いだせる場合があります。
ポイント②:推定来店客数
お客様アンケートやポイントカード会員データなどの情報を整理すると、「ターゲット人口総数のうち、どの程度のお客様が自社に来店する可能性があるのか」や、「実際に来店されているお客様の傾向(来店手段、頻度)」などを把握できます。
推定来店客数が把握できると、自社商圏のポテンシャルを分析して実際の来店客数との差異を把握し、そのポテンシャルの最大化を図るための施策を打つべきか、または店舗出店前に行う出店可否の判断などが可能になります。
ポイント③:競合店の状況
自社でおこなっている商圏調査を競合店に対して行うことで、その競合店の顧客利用状況/顧客の特性などが推定できます。競合店の情報を分析し、自社の同一情報と比較検討することで、競合店と比べた自社の強みと弱みを把握できるでしょう。
また、自店のお客様が、競合にどの程度奪われる可能性があるのかについても、競合調査から推定できるようになります。
ポイントはターゲットとなる人口が、営業時間内にいるのかどうかの把握が重要
これらの3つのポイントに合わせて分析するときに、念頭に置いておきたいのが「商圏内にターゲットとなる人口が、営業時間内にいるのかどうか」です。それは、人口ピラミッドと昼間人口、夜間人口の観点から分析することで把握できるでしょう。
「人口ピラミッド」は、男女・年齢ごとの人口を表したグラフの一つ。エリアマーケティングでは、その地域の人口特性について把握するうえで使用するケースが多くなっています。
ターゲットとなる年齢層が自社の商圏内に十分に住んでいるかを分析する際に、この人口ピラミッドの情報で視覚的にも把握できるようになります。
また、居住者を把握する際、エリアマーケティングGISなどでは夜間人口を使っているケースが多くなっています。一口に居住者といっても、営業時間内にターゲットがいなければ集客することはできません。
例えば近隣の居住者をターゲットとした飲食店の場合、都市部に働きに出ていれば平日に来店することはありません。つまり夜間人口ではなく、昼間人口を意識した出店・販促・営業にしなければなりません。
もちろん、土日や祝祭日には来店する可能性もあるため、そういったターゲット層向けにも準備する必要があります。
このように、地域のポテンシャルを分析する際は、昼間・夜間人口を意識しつつ、
- 地域の特性
- 推定来店客数
- 競合店の状況
を分析・把握する必要があります。
商圏のポテンシャルを分析・最大化する方法
それでは、より具体的に商圏ポテンシャルを分析し、そのポテンシャルを最大化するためにすべきことは何でしょうか。分析する際は、新規出店向けか、既存店向けかによって、分析すべき内容や利用できるデータソースの種類には差があります。
ここでは、
- 商圏分析ソフトを使用
- ハフモデル分析
- アンケート調査
- 会員データ分析
- 現地調査
の5項目を詳しくみていきます。
【新規出店向け】商圏分析ソフトを使用
エリアマーケティングGISソフトに、国勢調査をはじめとする各種デモグラフィックデータを使って、新店候補地の半径2km圏内に「人口が〇〇人」「世帯数が〇〇人」というような基礎的情報を計算・分析する方法です。
人口についても、人口総数ばかりでなく、昼間人口や女性人口、〇歳人口、単身/ファミリー世帯数、〇〇万円の年収別世帯数などに変えてみることで、新規店舗の可能性についてさまざまな見方で仮説を立てることができます。
【新規出店向け】ハフモデル分析
ハフモデル(Huff Model)とは、米経済学者David Huff氏が提唱した消費者行動分析理論で、簡潔にいうと、「消費者が、ある店舗で買物をする確率を、他の店舗との競合状況を考慮しながら予測する」ことです。
この分析手法は、居住知からの距離と魅力値(主に店舗面積)を使って分析を行い、獲得世帯数の予測や吸引率を把握して、出店地の分析などを行うための手法。ハフモデル分析を用いることで、競合店などを加味した出店地の分析ができるようになります。
【既存店向け】アンケート調査
商圏内の住民や、自社顧客を対象にアンケート調査を行います。
特に、自社顧客でない地域住民からの回答は、商圏内における競合店および自社にたいしての評価や、住民ニーズの把握などに役立ちます。
また、来店者に対してもアンケートを行うことで、既存顧客の来店頻度の向上、自店舗離れの回避にも繋がる可能性があるでしょう。
【既存店向け】会員データ分析
割引ハガキ(DM)の利用率や、ポイントカード利用履歴、会員カード属性をGISソフト上にマッピングすれば、自社商圏エリアを可視化できるようになります。自社顧客がどこからきているのかを知るとともに「競合店付近からの来店がすくない」「河川/大橋の対岸から来店客がほとんどいない」といった商圏バリアについても一目で判断できます。
【新規出店/既存店向け】現地調査
現地調査は、事前のエリアマーケティングGISなどで候補となるエリア/物件の選定後に行う、実際に現地で行う調査方法の一つ。人の流れや吸引力のある施設、一等立地の確認などを、実際の現地に行って確認し、商圏の特性を分析します。
この現地調査は統計データなどでは分析できない情報を把握することが可能です。例えば競合店の営業時間や商品構成、価格帯、付帯設備、客層などを目視で把握すれば、競合店に対する自社の差別化戦略はより具体性をもったプランとなります。
まとめ:新規出店でも既存店テコ入れでも、商圏ポテンシャル把握が施策を決める第一ステップ
新規出店か、既存店のテコ入れか、によって商圏ポテンシャルを把握するための手法にも違いがあります。しかし、新店でも既存店でも、商圏ポテンシャルを把握することは、自社ビジネスのPDCAを回していくための、最初のP(=Plan:計画)を導き出す重要なプロセスとなります。
これまでの経験値や社内での共通認識だけに頼ることなく、場合によっては専門家の力も借りながら、ぜひ事実に基づいた客観的な商圏ポテンシャルの把握にトライしてみてください。
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