小売業でデータを活用する方法とは?3つの方法と活用事例を紹介
小売業の経営を成功させるカギは、ビッグデータを上手に活用することにあります。
今回の記事で解説する内容は、小売業の経営に欠かせないデータドリブンや主な活用方法、業界におけるデータの活用事例です。
「顧客データの活用法なんてわからない」「どのような施策をおこなえばいいのかわからない」と思っている方、自社や自店舗の売上を伸ばしたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
小売業の経営にはデータドリブンが欠かせない
IT化でテクノロジーが発達している現代の小売店経営には、情報技術の発展に合わせたデータドリブンが欠かせません。「データドリブン」とは、実店舗(リアル店舗)とECサイトでビッグデータを活用することです。
企業は実店舗での売上・在庫・顧客情報のほか、ECサイトの会員情報を取得できます。このような情報は、店舗経営における課題を発見・解決し、売上を伸ばすために必要です。スマートフォンなどのデジタルデバイスが普及しているために、インターネット上における顧客の行動データもマーケティングに欠かせない要素であるといえます。
顧客の利便性を向上させて決済の手間を削減するには、ビッグデータを上手に活用できることがポイントであり、質の高いデータドリブンが求められます。
小売業でデータを活用する3つの方法
小売業における代表的なデータの活用方法は、次の3つです。
- 顧客データの収集・整理
- RFM分析を使った顧客のランク付け
- 顧客の生の声をもとにしたデータ活用
状況に応じたデータの扱い方を理解して使い分けましょう。
顧客データの収集・整理
顧客のセグメントを把握するためには、収集したデータをそのままにせず整理することが大切です。「セグメント」とは、類似する属性や商品に対するニーズなどの指標で区切った顧客集団を指します。会社員・主婦・学生といった職種別の集団、一人暮らし・核家族・二世帯家族といった家族構成別の集団などが挙げられます。
顧客データを整理してセグメントを明確にすることで、顧客層の傾向を把握できます。セグメントに合わせた販促施策による、売上アップも期待できます。
ポイントは、自社や自店舗の目的に合わせてデータ整理の方法を変えることです。データ活用の目的に応じて、分類するセグメントを設定して使い分けましょう。
RFM分析を使った顧客のランク付け
小売業におけるビッグデータの活用方法として、RFM分析を利用した顧客のランク付けもあります。「RFM分析」は顧客分析方法のひとつで「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」の3つの指標によって顧客を分析します。
RFM分析は自店舗の優良顧客をピックアップしたり、購入状況に合わせたマーケティング戦略を考えたりする際に効果的です。RFM分析によってランク付けした顧客ごとに、興味関心や購入方法に合わせたアプローチ戦略を考えることがポイントです。
ただし、RFM分析をおこなう前提として、購買状況を時系列で追える顧客管理システムを導入する必要があるため注意しましょう。
顧客の生の声をもとにしたデータ活用
購買記録などの定量的なデータを使った分析のほか、顧客の生の声を採用して作成した定性的なデータの活用も小売業では大切です。
定量的なデータだけでなく定性的なデータも把握することで、数値だけでは測れない顧客ニーズをキャッチできます。顧客が感じている不満を把握できれば、課題の解決に向けた的確なアプローチも実現可能でしょう。
生の声を集める際は、実際に来店した顧客にアンケートをおこない、来店理由や店舗の印象、商品の購入理由などを問うことがポイントです。店舗や商品、スタッフのサービスについてもアンケートをおこなうと、より詳細な顧客の声を聞けます。
小売業でのデータ活用事例
小売業におけるデータの活用事例として、次の3つが挙げられます。
- 実店舗でのデータ収集
- オムニチャネルにおけるデータ活用
- POSデータを使った小売店舗の営業戦略改善
それぞれの活用方法について解説します。小売店の経営を進めるうえでの参考にしてください。
実店舗でのデータ収集
ECサイトの需要が高まる中、実店舗の役割は変化している状況にあります。
実店舗に足を運ばず商品を購入できるECサイトは便利な反面、実物を手にとって質感などを確かめることはできません。ECサイトの運営もおこなう企業の実店舗は「プロモーションなどで顧客にとっての体験価値を提供し、実際のデータを集める場所」という役割を持ちはじめています。
実店舗で商品を確かめて納得し、後日ECサイトで購買行動を取るお客様は少なくありません。実店舗での体験を口コミやレビューに投稿する人も、一定数存在します。
このように、ECプラットフォームでは満たせない顧客ニーズに対応してダイレクトな接点を作り、コミュニケーションを取れる実店舗は、小売業の利益を伸ばしていくうえで欠かせません。
オムニチャネルにおけるデータ活用
実店舗やECサイトなどで集まった顧客データを一元管理し、分析やマーケティング施策に生かすという、オムニチャネルにおけるデータの活用方法もあります。
「オムニチャネル」とは、実店舗とECサイトなど複数のメディアを融合させてあらゆる顧客との接点を作る取り組みで、一人ひとりに合った購買体験を提供できる、効果的なマーケティング手法のひとつとして注目されています。
オムニチャネルを使ってデータを活用する際は、実店舗とECサイトを個別に考えず、双方で収集したデータを統合資料として共有して総合的に分析することがポイントです。ECサイトで集めたデータから優良顧客の特性を把握できると、集客の見込める催事場でのイベント出店やポップアップストアの出店先を選ぶ際などにも活用できるでしょう。
POSデータを使った小売店舗の営業戦略改善
POSデータを使った営業戦略の改善も、小売店舗におけるデータ活用方法のひとつです。「POSデータ」とはPOSレジで収集できるデータを指します。POSデータによって「どの商品が、いつ、どこ(どの店舗または売り場)で、どのくらい、いくらで売れたのか」などを集計できます。
これらのPOSデータ・時間帯別来店客数データ・人流データは、店舗スタッフのシフト調整からタイムセール、営業時間などを設定する際といった業務における判断に役立つでしょう。
POSデータから適切な在庫と販売のタイミングを分析し、店舗への集客を促進させるための広告施策を予測する際にも活用できます。
クラウド型のPOSデータを保存できるツールを使えば、コストを押さえてPOSシステムを構築・運用できるだけでなく、アプリやソフトの機能を使い、異なる店舗間でもオンライン上でリアルタイムの売上状況の確認が可能です。
まとめ:小売業では効果的にデータを活用し、経営戦略に生かそう
- 小売業の経営は「データドリブン」がポイント
- データの活用方法を理解し、使い分けることが大切
- 実店舗やECサイトなどの店舗形態を問わず、自社全体でデータの活用が可能
IT化が進む現代のビジネスでは、実店舗とECサイトの販売データを活用する「データドリブン」の考え方を取り入れる必要があります。
データの活用方法には、収集した顧客データのセグメント分けや顧客をランク付けするRFM分析、顧客の生の声をもとにしたデータ分析などがあるため、それぞれの手法を理解して状況に応じて使い分けることが大切です。
小売業においては、オムニチャネルで双方のデータ共有して総合的に分析する、POSデータによって事業や営業戦略の改善をおこなうといったデータの活用事例があります。
自社や自店舗の目的に応じてビッグデータを活用しましょう。