人流の把握はマーケティングに役立つ!活用のメリットや取得方法を解説
人流を把握することは、エリアマーケティングの精度を高めるうえで重要です。売上拡大や新しい施策の策定においても、どこからどこに人が流れているかを把握することでエリアマーケティングに大きく貢献するでしょう。
しかし、ただやみくもに人流データを入手しても上手く活用できず、コストと時間の無駄になる可能性があります。大切なのは、入手した人流データを用いて何について分析するかを明確にすることです。
本記事では人流の基本情報に加え、人流データの具体的な活用方法と活用のメリット、注意点について解説します。
人流の把握はマーケティング精度の向上に役立つ
マーケティング精度向上のためには、人流を把握することが重要です。まずは人流の言葉の意味と、人流データが積極的に活用されている理由を説明します。
「人流」とは、人々の動きや流れのこと
「人流」とは特定の場所から場所へ人が移動する動きを意味する言葉です。移動時間や特定エリア内の滞在時間、通行量なども含まれます。これらの動きを数値化したものを「人流データ」といいます。
人流データの活用が注目される理由とは?
人流データの活用が注目される理由として、次の4点が挙げられます。
- 精度の高い位置情報データの取得が可能になった
- ビッグデータを安価で格納できるサーバー環境の普及
- PC性能やAI技術の発達により、ビッグデータの分析が容易となった
- 人流データを活用できる機会の増加
人流データの活用が注目されたのは、モバイル端末の普及と共に、Wi-FiやGPSなど位置情報の計測精度が向上したことが大きな理由でしょう。位置情報を人流データ分析サービスで取得する際は、携帯電話の基地局・Bluetooth・Wi-Fi・GPSなどの選択肢があります。
サーバーの容量が増えて安価になり、PCの性能やAI技術が発達したため、ビッグデータの格納と分析が容易になったことも、人流データが注目された理由です。
感染症対策にも活用されている
2020年頃のコロナ禍では感染対策の一環として、人流データを用いた混雑情報の提供や行動予測がおこなわれました。
人流データが活用できる範囲はとても幅広く、スポーツやテーマパーク、小売業、外食産業、自治体、観光業界、製造業などジャンルは問いません。人流データとマーケティング施策との親和性が高いことから、人流データの活用は、今後さらに注目を集めるでしょう。
データを使った人流把握で実現できる5つのこと
データを用いて人流を把握すると、エリアマーケティングの精度向上、既存店舗の運営改善、新規店舗の出店地分析などの取り組みが実現可能です。
こちらでは人流データ分析から把握できる内容や、将来的なデータの推測まで具体例を5つ紹介します。
人流把握で実現すること1:顧客の行動パターンを推測できる
顧客が「いつ・どこから・どのような経路で」来店したかを推測することで、行動パターンに適した販売施策を策定できます。
個別の行動を追うことはできないものの、例えば特定の曜日や時間に来店率が高い場合などに顧客が多く住むエリアの行動パターンや移動経路を知ることで来店率が高い理由を把握できるでしょう。
理由を明確にすると、それ以上に来店客を増やせるか、ほかの地域・店舗でも同じことができるのかの企画に繋げられます。
人流把握で実現すること2:行動の変化を把握し、店舗運営に活かせる
人々の行動パターンは時代とともに変わり、コロナ禍以前と以降では大きく変化しました。
滞在時間などを含む行動データをもとに、時間帯の売上効率を上げたり新規顧客を開拓したりもできます。また、情勢に合わせた商圏の変化、繁忙・閑散期の人の流れから見た売上向上のためのヒントも得られるでしょう。
また、人流データは屋外だけで活用できるものではありません。Bluetoothを使った解析であれば、商業施設内や店内の動線を把握して、店舗運営に活用できます。
人流把握で実現すること3:人流の傾向をもとに、将来的な人流を推測できる
スマートフォンのようなモバイル媒体から入手する人流データはリアルタイムの情報が取得できます。その結果、現状の傾向をもとに、将来的な人流予測も可能になりました。
これまでのデータ分析では、交通量調査や国勢調査をもとにした地域別の人口・世帯数などがメインでした。一方で、人流データは今動いている人の流れを把握できます。消費者の「今」活用することで、将来的なビジネスの可能性の発見や、売上につながる施策の実行も可能となるでしょう。
人流把握で実現すること4:競合店舗の人流を把握し、自店舗の経営に生かせる
人流把握は、競合店舗の情報入手にも役立ちます。人流データによって時間帯やエリア別に、競合店舗に流れる人の動きを把握することも可能です。得たデータを元に自社経営戦略の見直しや実行をおこなうことで、他社との差別化になるでしょう。
また店舗前の交通量を調査して来客数と購買数を把握することで、入店率や購買率なども算出できます。
これらの数字は販売活動における施策の打ち出し方を考える、ひとつのきっかけになるでしょう。
人流把握で実現すること5:潜在顧客への適切なアプローチが可能となる
人流データを分析することで、既存顧客と潜在顧客の行動パターンを把握できます。既存顧客が多く住むエリアと、潜在顧客が多く住むエリアとの共通点と相違点を把握するとマーケティングにおけるヒントを得られるでしょう
特に新規顧客の獲得に悩んでいる企業や店舗にとっては、新たなアプローチ方法を見つけ、効率よく集客するための企画のヒントになります。
人流データを使用する際に注意したいこと
人流データの使用はさまざまなメリットがある一方、活用する際に意識しておきたい注意点があります。データ活用における知識面と、個人情報の取り扱いの観点から、人流データ利用の際の注意点について見ていきましょう。
注意したいこと1:人流データ解析には知識がいる
人流データを活かすためにはデータ分析・マーケティングの知識を持ち、事前に活用目的を考える必要があります。ビジネスに不必要なデータをいくら収集しても、不要なコストが発生するだけで分析結果を施策に生かすことは難しいでしょう。
まずは人流分析の専門家に相談したうえで、現時点において必要な分析とその方向性を整理し人流データの活用を検討する必要があります。
注意したいこと2:データ提供・管理に要注意
個人情報が含まれるデータの場合、個人情報保護法に従ったデータ管理が必要です。
また、取得したデータやレポートの二次利用が可能かどうかも確認しましょう。個人情報が含まれるかどうか、データにどのような秘匿処理がかけられているかなどを知るには、データの提供元に確認するのがおすすめです。
個人情報に該当しないデータは比較的取り扱いの自由度が高まります。ただし、自社データと組み合わせて活用する場合も、不特定多数の社員がデータに触れられる環境は好ましくありません。データを扱う人は制限することをおすすめします。
まとめ:人流データの活用は、マーケティングの基本
- 「人流」とは、人々の動きや流れのこと
- 人流データを活用すれば、ビジネス・店舗のさまざまな課題解決が可能
- 個人情報を含むデータの取り扱いには注意が必要
人流は人々の動きや流れのことであり、移動時間や滞留時間などの人流データを把握することで集客の課題解決や新しい施策策定などへの活用が可能です。人流データの活用の流れはとどまることがなく、今後はさらにビジネス成功の大きなカギとなるでしょう。
ただし、単にデータを収集すればよいわけではありません。マーケティングの観点から目的を持ち、必要なデータ選び、専門知識を持って分析することが必要です。また、個人情報漏洩に注意し、対策をおこなったうえでデータを取り扱うようにしましょう。