GISツールの必要性とは?無料ツールと有料ツールの違いも解説
店舗の出店地を決める際に、GISツールを活用すると、地理的な情報を可視化させてさまざまな分析ができます。GISツールを正しく使うことで、取り扱う製品やサービスに適した土地を見極めやすくなり、新規出店の成功率を高められるでしょう。
今回は、GISツールの概要や無料・有料ツールの違いなどを解説します。
有料ツールは分かりやすいUIや便利な機能が多いですが、無料ツールでも十分な機能を持っています。
GISツールを活用して新規出店における失敗を減らしたい、戦略的な意思決定をしたい人は、この記事を参考にして導入するツールを選びましょう。
目次
GISツールの「GIS」とは?
「GIS」は地理情報システム(Geographic Information System)の略であり、地理的な情報をコンピューター上の地図に可視化させるシステムです。
GISでは数値や文字ではなく、視覚的なデータが地図上に表示されます。GISによって地理情報の関係性を比較し、複数の情報を重ね合わせて参照することで、さまざまな分析に活用できます。
また、同じ位置で異なる情報を統合して分析できるため、課題の解決策を見出すのにも役立ちます。
GISは新店舗出店の商圏分析に使える
例えば、GISは新店舗を出店する際に最適な位置を探すときに便利です。駅から徒歩圏にある物件を見つけたり、感染症リスクの高い地域を割り出したりすることも可能です。そのため、GISはビジネスや行政・交通などたくさんの分野で利用されています。
また、目まぐるしく新しい建物が増え、合併する現代においては地理データも随時更新していくことが大切です。GISを利用すると日々変わっていく地理情報を容易に作成・更新できるため、常に最新の情報を扱えます。
GISツールはビジネスに欠かせない分析ソフト
「GISツール」は、GISによって得られたデータや統計情報を地図上にマッピングし、出店や販促の戦略をサポートするための分析用ソフトウェアです。GISツールを利用することで業務効率が上がり、コストや時間の削減にもつながります。
GISツールを使わずにデータの収集や分析をおこなうことも可能ですが、それには膨大なコストや時間が必要となります。GISツールを使用することで最新データを元にした効率的な分析が可能となるため、その後の戦略立てに十分なリソースを割けるようになるのです。
GISツールの主な機能として挙げられるのは次の通りです。
- 出店エリア分析
- 販促エリア分析
- 商圏シェア分析
- クラスター分析(店舗ごと)
- ハフモデル分析
- 営業テリトリー分析
こういった機能を使用することで、地図上のさまざまなデータからビジネスをより良い方向へ進めるための分析をおこなえます。また、これらのデータから商圏における店舗のシェアや販促効果の反響を分析したり、売上予測を立てたりすることで、マーケティング活動の精度向上にも役立ちます。
確実な地理データを元に戦略を立てられるため、最適な意思決定を促せるでしょう。
無料で使えるGISツールを一部紹介
ここでは、下の無料GISツールを紹介します。
- jSTAT MAP
- ロケスマ
それぞれの特徴を確認しましょう。
jSTAT MAP
「jSTAT MAP」は総務省が公開している無料GISツールで、国勢調査の数値をもとにした情報を出力できます。統計地図の作成以外にも目的に合わせた地域分析ができるように、さまざまな機能が備わっています。
主な機能として挙げられるのは次の通りです。
- プロット作成機能
- エリア作成機能
- 統計グラフ作成機能
- レポート作成機能
人口や企業の数、従業員数などのデータを調べられる一方で「〇〇区の世帯収入はどのくらいか」「〇〇市と比べるとどうなのか」といった細かいデータの取得はできないのがデメリットです。
基本データの取得がメインになるため、出店に向けておおよその目安となる立地を探す際などに活用できるでしょう。
参考:jSTAT MAP(https://jstatmap.e-stat.go.jp/trialstart.html)
ロケスマ
「ロケスマ」は、チェーン店の全国分布を把握することに特化したGISツールです。
Web版の他に無料アプリもあり、手軽にチェーン店の情報を調査できます。チェーン店の新規出店を考えているときに、競合店舗を探しやすいGISツールでしょう。
ロケスマは、UIが分かりやすいデザインであることも特徴です。トップページから「100日以内に開店」「ドライブスルーあり」「ローカルチェーン飲食店」「最近追加されたマップ」などの項目を選択できるため、調査したい内容に合わせて活用しやすいGISツールといえるでしょう。
その他、業種カテゴリやカテゴリ内の各店舗名を選んで調査し、分布を確認することも可能です。感覚的に操作できるため誰でも扱いやすく、チェーン店展開においてぜひ活用したいツールです。
参考:ロケスマ(https://www.locationsmart.org/)
無料ツールと有料ツールの違い
無料ツールの多くは、公的機関が公開している統計情報を参考にしていることが特徴です。一方、有料ツールには提供会社の独自情報や民間が販売しているデータなども含まれるため、より詳細な分析をおこなえます。
有料ツールでしか得られないコンテンツとしては、豊富な分析手法や詳細なレポート出力などがあります。このように無料ツールと有料ツールでは調査・分析できるデータが異なり、有料ツールのほうがより高度な機能を利用できます。
本格的にGISを活用したエリアマーケティングや各戦略に対する分析をおこないたい場合は、有料ツールの導入をおすすめします。
初めてGISツールを導入する場合は、まず無料ツールで簡単な調査をおこない、自社にとって必要なデータや機能をリストアップしたうえで、適した有料ツールを選ぶと良いでしょう。有料ツールでも無料トライアル版が提供されていることも多いため、よく検討してから導入しましょう。
まとめ:GISツールは目的に合わせて上手く活用しよう
- GISツールはビジネスに欠かせない
- GISツールには無料と有料がある
- 本格的に運用するなら有料ツールがおすすめ
GISツールは、コストを抑えて効率的にエリア分析をおこなえるため、店舗ビジネスに欠かせない分析ソフトです。出店地の決定だけでなく、店舗のシェア率や販促効果、売上予測の分析なども実施可能です。
GISツールには無料ツールと有料ツールがあり、無料ツールでは公的機関の統計情報を元にした分析、有料ツールでは、提供会社の独自情報や民間で販売されているデータを含んだ分析ができます。
本格的にGISツールを使ってエリアマーケティングを進めていくのであれば、豊富な機能を備えている有料ツールを使うことがおすすめです。