GIS(地図情報システム)の機能とは?表示と分析でできることを紹介
GISは、さまざまな情報を可視化できるため、カーナビから広告配信管理システムまで身近なところで活用が進んでいます。
しかし、GISは活用の幅が広いため、何ができるのか、どのように活用されているのかが知られていないケースも。この記事では、GISの定義から機能・分析方法までを解説します。ぜひ今後のマーケティングや営業活動に活用してみましょう。
目次
GIS(地図情報システム)は機能が豊富
GISとはGeographic Information Systemの頭文字を取った言葉で、日本語では「地図情報システム」と呼ばれます。GISは、コンピュータを利用して地理情報のデータ化・可視化・編集・検索・分析ができるシステムです。
複数のデータや情報が地図上に重なった地理情報システムをGISと呼びます。
GISは日常生活でも使用されている
GISシステムによってつくられるデータは、さまざまな場所で活躍しています。
身近な例でいうと、Googleマップで特定の場所を検索した時に出てくる電話番号や住所などがこれに当たります。他にも、カーナビでのルート表示などもGISデータを使用したシステムです。また、公共交通機関の管理や防災時システムにも使われているため、GISシステムは今やなくてはならない存在なのです。
マーケティングでも活用されるGIS
こういった活用シーンの中には、「エリアマーケティング」も含まれています。
GISで利用できる「表示」と「分析」の機能は店舗がエリアマーケティングを行う際に幅広く活躍するのです。
表示機能は、調査対象の物件や店舗などの位置情報を表示させ、そこからの距離や到達時間、指定した条件に合致した範囲を地図上に反映させる機能です。
分析機能は、表示機能で作成した商圏データを基に、他の統計データや指定条件などを組み合わせて分析し、その結果をレポートまたはグラフにする機能です。主要な表示・分析機能は下表のとおりです。
表示 | 分析 |
商圏の可視化(円商圏・時間圏商圏・沿線商圏など) | 商圏レポート作成 |
統計情報(人口・地形など)の可視化 | グラフ表示機能 |
複合的な情報の可視化 など | 計算機能 など |
これは一例にすぎませんが、活用方法は豊富にあるので、少し詳しく解説します。
GIS(地図情報システム)の表示機能
GISの、代表的な3つの表示機能について解説します。GISによって地図上に何が表示できるかを知り、イメージをふくらませていきましょう。
機能①情報の可視化
GISを使用すると、地図上で統計データやインポートした情報を可視化できます。
Googleマップなどで特定の場所を検索する際、店舗名や住所を入力するとピンが目的の位置を示しますよね。GISでは、そのピンを指すのに加えて、インポートした際のデータ、例えば売上や従業員数、営業時間、駐車場の面積や駐車可能な台数なども表示可能です。
またインポートしたデータの円・棒グラフなど、情報を理解しやすいような表示設定も可能です。
機能②面的データを表示
温度や標高など、数字の羅列データでは理解しづらい情報も、GISを使用するとわかりやすくなります。
例えば、色分けした気温データを地図上に重ねると、1地点だけではなく周辺地域一帯を面としてデータ表示できるため、地域全体の気温分布も一目瞭然です。
機能③複数のデータを重ねて表示する
位置情報や分布図・人口情報のような点的データと面的データなどを複数組み合わせての表示も、GISでは可能です。地図上に知りたい情報を組み合わせて可視化させることで複雑なデータも簡単に把握でき、より深い分析や考察が可能となります。
GIS(地図情報システム)の分析機能
GISを活用した分析は、ビジネスシーンや行政サービスなどさまざまな分野での応用が可能です。GISを利用した主要な分析手法を3つ簡単に説明します。
分析①ボロノイ分析
ボロノイ分析は、出店計画や学校・避難場所などの配置を検討する際に使用されます。各ポイントを母点として、それぞれの勢力圏を分析する手法です。
母点である複数の施設や地点を直線で結び、垂直二等分線で地域を分割して作成した領域がその施設の勢力圏となります。実際には対象施設の収容人数やキャパシティに違いがあるため、重みを付けて解析する手法が用いられることもあります。重みを付けた場合、勢力圏の境界線は直線ではなく曲線となります。
分析②ネットワーク解析
ネットワーク解析は、カーナビやGoogleマップの経路検索に応用されています。道路の交差点を「点」、その間の道が「線」となり、区間ごとに距離や混雑状況に応じた値を付与して最短経路の検索をおこないます。点と線で構成するシステムを分析する「グラフ理論」によって計算された分析手法です。
分析③バッファ分析
バッファ分析は道路の騒音エリアの解析やハザードマップの作成などに役立ちます。ある「点」となるポイントや「面」の区画、道路などの「線」から、「バッファ」と呼ばれる一定距離の圏域を作成します。基準となるポイントから同じ距離の範囲で作図をおこなうため、空間的な位置関係を把握できる分析手法です。
GISは商圏分析専用の機能を備えたタイプも
GISはビジネスシーンでも活用されており、商圏分析専用の機能を備えたタイプのGISもあります。無料で利用できるGISもありますが、有料ツールではさらに高度な機能も使えるため目的や予算に合わせた導入がおすすめです。ここでは、有料ツールに備わっている機能からGISの便利機能を3つ紹介しましょう。
便利機能①全国チェーン店情報
全国チェーン店情報は、全国に点在する主要なスーパー・飲食店・金融機関など、チェーン化している企業の施設を位置表示できる機能です。競合の出店位置から商圏分析やエリアマーケティングなどに活用できます。
便利機能②シンボル集計
地図上に位置情報を可視化することを、TerraMapシリーズでは「シンボル」と呼んでいます。シンボル集計は、商圏を作成する際、取り込んだ店舗データを統計データ集計時に自動集計してシンボル表示できる機能です。位置関係がまとめて表示されるので、視覚的にわかりやすく確認できます。
便利機能③ポジショニングマップ
TerraMap Web Plusで選択したデータを基に、自社・競合・地域のポジショニングマップを作成できます。ポジショニングマップは市場内での立ち位置を明らかにするため、自社の優位性や重点化施策の分析などマーケティング戦略を立てる上で役立つ機能です。
便利機能④ハフモデル分析
ハフモデル分析は、商圏分析の代表的な分析手法の1つ。
売場の面積や駐車場の広さなどの魅力度といった要素と、店舗までの距離を加味して「顧客が店に行く確率(出向比率)を算出する分析方法です。TerraMapでは、この分析手法を使用し「店舗がお客様を引き込む割合を他の店舗や競合との状況を比較して算出できます。
さらに、実際の顧客数と比較したり出向世帯の平均支出額を用いたりすることで売上高の予測も行えます。
TerraMapのその他の商圏分析用機能はこちら
まとめ:GIS機能を充分活用して戦略的な営業を!
GISは地図上にさまざまな情報を表示させて可視化することで、視覚的にわかりやすく分析できるエリアマーケティングツールです。ここで紹介した機能や分析は一面にすぎません。組み合わせるデータを変えて、さまざまな分野や活動に応用しましょう。
GISデータには無料で提供されている情報もありますが、ビジネスシーンでは今回の記事で紹介した有料ツールを利用すると、豊富なデータで簡単にさまざまな分析ができておすすめです。ぜひ予算や目的に合ったGISツールを利用してみてください。GISの機能をフル活用して、戦略的な営業やマーケティングをおこないましょう。
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