エリアマーケティングの手法は何がある?その手法から分析のポイントを解説します
実店舗の集客や顧客の分析、出店地選定など、実店舗・特定地域向けビジネスの成功に欠かせないエリアマーケティング。
その手法の精度によっては、集客できるか、またはどの程度の売上が見込めるかなど、店舗の業績に大きく影響してきます。こういった重要性は理解しているが実際にどんな手法があるのか、最近エリアマーケティングに触れ始めたばかりの方にとっては、わからない部分がありますよね。
今回は目的に合わせたエリアマーケティングの手法や、エリアマーケティングを実施することで、どんなメリットを得られるかご紹介していきます。
一部では、エリアマーケティングに特化した施策もご紹介していきますので、ご予算にあった手法かも見極めながら、達成したい目標に合わせた手法を選んでいきましょう。
目次
エリアマーケティングに特化した5つの手法
他の記事でもご紹介していますが、
エリアマーケティングとは、
エリア(=地域)でのマーケティング(=売るための仕組み作り)の戦略を立てるための手法のこと。
以下の観点でのエリアマーケティングが、主な手法となっています。
- 販倍促進/集客
- 自社/競合他社の商圏分析
- 売上予測
- 立地分析
- 顧客分析
- 立地調査・立地分析
上記の観点に合わせて、エリアマーケティングの手法をご紹介していきます。
その1:販売促進/集客
まずは、実店舗向けの販売促進/集客施策をオンラインとオフラインに分けて確認していきましょう。
オフライン施策 | オンライン施策 |
チラシ配布/ポスティング | リスティング/バナー広告(Google、Yahoo、その他DSPなど) |
ダイレクトメール | SNS |
看板 | HP |
(店舗前の)POP | ローカル型のWebサイトへの出稿 |
交通広告(電車の中吊り、ラッピングバスなど) | ジオターゲティング広告(位置情報広告) |
※ご紹介した施策はほんの一部です。
以前はポスティングなどの施策が主流でしたが、現在ではマーケティングの主流が変化し、オンライン施策に予算をつぎ込む企業・店舗が増えてきています。
また、販売促進、集客施策は店舗によってさまざまであり、実店舗にとっての施策はO2Oなども意識した集客施策でなければならないケースもあります。
そのためにも、潜在顧客・顕在顧客などの見込み度合いやROI(かけた広告費に対して得られた利益の割合)に分けて、適切な施策を選択する必要があります。
その2:自社/競合他社商圏分析
商圏分析は、ターゲットとなる商圏がどのような属性になっているのか、ターゲット顧客はどの程度住んでいるのかなどを分析する、エリアマーケティングには欠かせないモノとなっています。
実店舗への集客は、自店舗の商圏にどの程度見込み顧客がいるのか、または競合店舗との商圏の被り度合いによって変わってくるでしょう。
- ファミリー世帯と単身世帯のどちらが多いのか
- 徒歩圏内か自転車・自動車などの徒歩以外での移動になるのか
- 駐車場の台数はどの程度差があるのか
- 価格帯は競合店舗と比べて高いか
- 店舗の広さはどの程度差があるのか
など、さまざまなポイントに注意して、施策のタイミング、集客施策の内容や手法を判断する必要があります。
通常であれば、出店時に他店舗との差をまとめたレポートなどがありますが、後から出店された場合は別となります。そのため、商圏範囲内のデータなどは分析できる状態に社内のシステムを整えておくことをおすすめします。
その3:売上予測
スーパー、コンビニ、フィットネスクラブ、飲食店など、実店舗の出店時に欠かせない売上予測。
この売上予測には、
- 席数やその席数の回転数/率をもとに営業日数などから計算する回転率法
- 店舗物件の前の通行人量や来店率、客単価などから計算するキャッチ率法
- 既存店の売上の要因となる立地要因から計算する類似店分析
- 統計解析により、既存店や仮説をもとにしたサンプルから理論上の売上を算出する重回帰分析
など、さまざまな手法があります。
企画段階では仮説の域を出ない手法ではありますが、出店地選定の判断基準としては最も有効な手法の一つとなっています。
注意点としては、上記の手法はあくまで「仮にそこに店舗があった場合に、どの程度の売上になるか」の手法であり、「仮にそこに店舗を立てたら、将来的にどの程度の売上になるか」を知るための分析ではありません。
そのため、売上予測によって結果データの評価の取り扱いについては注意が必要です。
その4:顧客分析
顧客分析は、既存顧客の定量データなどを分析し、さらなる収益に結び付けるための分析手法です。
来店するお客様、または自社の商品/サービスを利用している顧客属性を知ることで、自社の商品開発へ活かすこともできますし、販促施策のターゲットの最適化も可能になります。
エリアマーケティングの販促施策であれば、チラシの配布先のエリア選定、
オンライン広告であればエリアの選定から、どの年齢層にフォーカスした配信にするかなど、さまざま企業活動の中で売上拡大のための分析にも活用できます。
また、顧客分析のフレームワークとして
- 「直近の購買日」「購入頻度」「購入金額」を軸に、対売上での優良顧客ランクを振り分けるRFM分析
- 購買履歴をもとに、購入基金額が多い順に10等分して、顧客をランク分けするデシル分析
- 顧客を、購買力や購買履歴などの自社にあった方法で分類するセグメンテーション分析
などのフレームワークがあります。
得られる結果や分析結果をどのように活かすかで、選択すべき分析手法も変わるため、
自社の状況に合わせた分析方法を選択していきましょう。
その5:立地調査・立地分析
立地分析(立地調査)とは、出店候補物件の環境や、居住特性などを調査・分析すること。
一般的には、候補物件の商圏範囲内の環境はどうなっているか、競合店との兼ね合いはどうなっているか、店舗前の道路の通行量やお店の位置の特性はどうなっているか などの観点から分析していきます。
例えば飲食店であれば、
- 半径商圏500m以内の昼間人口を調査して、ターゲットとなる顧客属性がどの程度いるのかを分析
- A物件とB物件であれば、どちらがより商圏内に集客が見込める物件なのかを比較
- 競合となる店舗の客数や客単価、顧客属性などを把握し、どの程度競合となるのかを把握
- 大型の商業施設から駅までの移動中に来店する可能性の有無
- 周辺施設などの顧客属性と、ターゲットとなる顧客属性が出店予定の業態とマッチしているか
などの要因を考慮しなければなりません。
一概に何を分析するかは、自社の出店する業態に合わせる必要があります。
そのため調査を始める前に、既存店舗を分析し、物件の出店基準や出店条件などを整理しておきましょう。
エリアマーケティングによる分析が何の役に立つのか
ここまでご紹介した手法や概念をもとに、
エリアマーケティングが何に役立つのかをご紹介します。
販売促進・プロモーションにおけるターゲットの分析に使用可能
エリアの顧客属性を知ることは、販促のターゲットを見極め、効率的なプロモーションを実施するための基本的な情報です。
つまり、エリアに対するプロモーションは顧客に合わせた訴求をすることで、より興味を持ちやすい訴求内容に変更でき、かつROAS(Return On Advertising Spend|広告経由での売上)を上げることができます。
例えば、ターゲットとなる優良顧客の属性が男性か女性か、独身か既婚か、収入は高いか低いかなどでキャンペーンの内容は大きく変わりますし、訴求内容も変わってきます。
また代理店としてクライアントに提案するのであれば、広告の配布・配信先を選定した際のエビデンスとしても活用できます。
そのため、ベースとなる顧客はカスタマージャーニーやペルソナとして言語化することで、集客・収益状況に合わせてスムーズにキャンペーンを始められるようになります。
出店から繁盛店になるまでの営業・運営までサポート
出店時に調査した条件やターゲット属性は、その後の営業・店舗運営まで大きくサポートしてくれます。
商圏内にいないターゲットの集客は、周辺環境に大きな変化がない限り、集客の難易度は高いでしょう。
そのため、出店時に定めたターゲットを効率的に集客できるか、ターゲットを集客しきれているかはその後の販促次第になりますが、
- 販促ターゲットは出店時の企画と合致しているか
- 集客の達成率などをもとにまだ集客プロモーションを続けるべきか
- 新しいターゲット属性にアプローチすべきか
- 別のターゲット属性のためのサービス/商品を確立すべきか
などを判断できる材料になり、より効率的な集客を実現するでしょう。
既存顧客の分析を行ったうえでの新規顧客開拓へ
既存顧客の分析は、新規顧客開拓のための商品/サービスを提供するための貴重なデータとなります。
例えば、既存店舗の売上が一定に達し、さらに売り上げを確保したいとなった場合、既存顧客以外からの収益確保などを検討するでしょう。
その場合、既存顧客とはどんな属性か、既存の業態から少しの変化で集客できそうなターゲットはどのような属性かなどを分析することで、新しい優良顧客を見つけることができるでしょう。
たしかに、既存の業種・業態や店舗の外部要因なども影響してくるため、今すぐに始められるような施策ではありません。しかし、変化させる商品/サービスの内容によっては、より短期的な企画と準備によっては十分な売上を見込めるでしょう。
まとめ:状況に合わせたエリアマーケティングの手法を選択して効果の最大化を
エリアマーケティングは、対象となる地域からどの程度集客できるかの分析に始まり、新規開拓のため、事業の展開のため、店舗・会社の発展のためなど、経営全体に関わる重要な施策であり、手法の一つです。
選択すべき手法はさまざまですが、ご紹介した手法を用いて出店地選定に活かし、販促・プロモーションの効果を最大化していきましょう。
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